「この映画が多くの内なる革命に火をつけ、今も私たちを覆うこのクソな家父長制をぶっ壊す勇気を与えることができれば」と、スピーチをしたのは、昨夜のスウェーデンの映画祭で、最優秀作品、監督、脚本を含む5部門で受賞した『クララ・ソーラ(Clara Sola) 』の監督、ナタリー・アルバレス・メセン。
スウェーデンのアカデミー賞と言われるグルドバッケ(金のカブトムシ)賞の大賞を受賞したこの映画は、監督自身が育ったコスタリカの村を舞台をしており、米アカデミー賞の国際長編映画賞(外国語映画賞)にはコスタリカからエントリーされたというちょっと変わった「北欧映画」だ。
監督自身のスピーチによると映画は「超能力を持つ、40歳のコスタリカ人女性が、森の中で蛍と一緒にオナニーをして幸せになる」という話だそうで、そんな映画でいくつもの賞を受賞したことに、監督は深く感動していた。
映画をもう少し普通に説明すると、これは、厳格な宗教心を持つ母親に束縛されていたクララが、宗教的、社会的な規範からゆっくりと脱却し、自身のセクシャリティを自分の手に収め、自由で自立した人間になっていく話である。
私が年末に映画館で見た『移民者たち(Utvandrarna)』も、オナニーこそでてこなかったが、映画の裏の主題として流れていたのは、女性が社会的な規範から脱却していく姿であった。
映画祭では、以前のニュースレターで取り上げたロサンゼルスのポルノ業界を舞台にした『プレジャー(Pleasure)』の主演俳優ソフィア・カッペルが受賞した。
近年は男優、女優という区分をなくす映画祭も出てきているが、ゴールデン・ビートル賞は今のところ、まだ主演や助演賞は男女別に別れている。
『クララ・ソーラ』はまだ見ていないので、これは絶対見なくちゃだな。