swelog ニュースで語るスウェーデン

スウェーデンの気になるニュースを毎日伝えるブログです

2023-12-01から1ヶ月間の記事一覧

北欧通信 132 ハマーショルド

いろいろあった2023年、最期のニュースレターは「ハマーショルド」で。 ダグ・ハマーショルドはスウェーデン人の官僚、外交官で、1953年から1961年まで国際連合の第2代事務総長を務めた。国際政治紛争解決のために奔走し、1961年9月18日にコンゴでの和平調停…

持続可能なロウソク

スウェーデン人はヨーロッパの中で最もロウソクを消費する国民で、その消費量は一人当たり年平均4キロ。スペインではこれが0.5キロになる。北欧の冬にロウソクの明かりは欠かすことのできないが、ロウソクは原料に気をつけなければいけない商品でもある。現…

うつに効く合唱隊

ストレス解消にはひとりカラオケだろうか? スウェーデンの新しい調査研究は、合唱など他の人と一緒にする文化的な活動はストレスや不安を和らげ、精神的健康を改善するのに効果的であることを示した。 ヨンショーピング地方自治体の依頼で行われたこの研究…

テスラ批判したメディアに、Xでいやがらせ?

スウェーデン最大のニュースメディア、アフトンブラーデットが、最近テスラを批判する調査報道記事を出したが、その後Xで同紙がシェアした記事へのリンクをクリックすると「リンクは安全でない」との警告が出されるようになった。 記事は、マダガスカルの鉱…

スウェーデン国防準備委員会が戦時重要企業指定制度、戦時警察の再導入を提案

スウェーデン政府が任命した国防準備委員会は、軍部、民間を問わず総合防衛力を強化する必要があるとの報告書を提出した。340ページに及ぶ報告書の中での政府への提案は多岐に渡るが、ニュースを読んでいてギョッとしたのが「戦時重要企業」や「戦時警察」の…

本を消耗品として、捨てる

多くの本は古本としての価値がなく、セカンドハンドショップでも引き取ってもらえないためどんどん捨てられている。ストックホルムのリサイクルセンターでは2022年1030トンの本を回収した。本の平均的な重さを300グラムとして計算すると、これは約340万冊強…

AI生成インフルエンサー

考えているよりもずっと多く、私たちはすでに多くのAI技術に接していて、その中にはとても危険なものもある。今回例として出されていたのは、インスタグラム内で活躍するバーチャル・インフルエンサーだ。 この投稿をInstagramで見る Monica Roux(@monicarou…

北欧通信 131 ゲームの世界で右翼過激主義が広がる仕組み

今週のニュースレター記事はこちら。 スウェーデンのインターネット財団の調べによると、この国の12歳から19歳の10人に9人は過去1年間に何らかの形でビデオゲームで遊んだことがある。多くの子供たちにとって楽しく、友情を育む大切なものでもあるゲームは…

環境に配慮された「本当に欲しいモノ」を実現する女性起業家たち 【スウェーデン発 みんなと地球の“ラーゴム”なくらし vol.27】

少しいつもよりゆっくり目でしたが、今月のElleの連載公開されています。今回は 最新のエコフェア2023で見つけた…、出会ったバンブー紙おむつとオーガニック粉ミルク。そして、手が止まらないおいしいビーガン食品など…開発商品を通して見えてきた変革のとき…

森からのスーパー素材・リグニンでつくる日焼け止め

パルプ製造過程からでる産業廃棄物を利用した「木の電池」の実用化を進めるスタートアップのことを覚えている人はいるだろうか?「セルロース」をご存知なら、これからは「リグニン」もぜひ覚えておこう!と2年前に取り上げたことも。 swelog.theletter.jp …

北欧各国に広がるテスラへの同調ストライキ

クリスマスの休暇まで残すところ後一週間ほど。テスラでのストライキがどうなっているかというと、収まるどころか広がりそうだ。 スウェーデンの労働組合に同調する形で、デンマーク、フィンランド、ノルウェーの港湾関係者たちが加入する労働組合が、テスラ…

今年のクリスマスのヤギを襲った思わぬ災難

備えあれば憂いなしとは言うけれど、ある心配事に備えていても、それとまったく違うことろで、えー!嘘、と思うことが起こる、というのが私がこれまでの経験から学習したことである。何のことを話しているかというと、イェーブレという街に毎年この時期に作…

PISAの結果でお嘆きの皆さまへ・先生の給与を上げよ!

先週発表されたPISA(OECD生徒の学習到達度調査2018年調査)で、スウェーデンの生徒の読解力が低下していることがニュースになっていたが、これに関してダーゲンス・ニュヘテルで人気コラムを執筆しているアレックス・シュルマンが、簡単で強力な解決策を提…

大人のための子どもニュース

戦争、ギャング団による銃撃事件、テロの脅威、せまりくる気候変動危機に、インフレ。世界を覆いつくす暗く重いニュースを子どもたちにどう伝えるのか。 スウェーデンの人気の子どもニュース「Lilla aktuellt」は、子どもたちが世界や社会の出来事について疑…

科学と文学と平和への敬意が失落した時代のノーベル賞を思う

ノーベル賞がスウェーデン社会へ与えてきた影響は、案外大きいのかもしれないと、昨日のノーベル賞授賞式と晩餐会の様子をちらちらとテレビで眺めながら思った。 いうまでもなく、科学や文学や平和への努力をノーベル賞はずっと称えてきた。スウェーデンで育…

北欧通信 130 今こそ『ファクトフルネス』。世界でよくなったこと

根拠のないネガティブなものの見方はやめ、データを基に世界を正しく見ようと教えてくれた『ファクトフルネス』が日本でもベストセラーになったのはほんの数年前だが、それからパンデミックが来て、気候変動問題は深刻化し、世界平和が訪れるどころか戦争や…

39巻、3万3111ページ、107キロのスウェーデン語辞典、140年の歳月を経て完成、の舞台裏

「Rまでに関わった人はみんな死んでしまったが、S以降の人はまだ10人ほど存命だ」 とか書かれていると、なんだかミステリーでも読んでいるような気がするが、これはスウェーデン語の辞書の話だ。 すでに一ヶ月ほど前にAFP通信も配信し、世界中のメディアが報…

ロシアからの情報戦の激化、治安情勢の悪化の中で、自分の「ちょっと変だな」の感覚を信じる

スウェーデンには心理防衛庁という行政機関があって、様々な方面からのスウェーデンへの情報攻撃に目を光らせている。最近はイスラム過激派からの攻撃もすごいし、ロシアからの攻撃が拡大してきていることも常々指摘されてきた。 swelog.miraioffice.com 心…

嫌な予感しかしない、スウェーデンとアメリカとの防衛協力協定

NATO加盟の話、いろいろあってトルコも相当怒ってるだろうし当面進展はないんだろうなと思っていたら、昨日突然こんなニュースがあり驚く。普段アメリカ軍は沖縄から出ていってほしいとか、直近ではオスプレイ墜落のニュースとかに接しているので、嫌な予感…

スウェーデン最大の環境スキャンダル、カリンゲのPFAS訴訟で住民側が最高裁で勝訴

ニュースの中で、ものすごく、ものすごく、喜んでいる人たちを久しぶりに見た。 スウェーデン最大の環境スキャンダル、カリンゲのPFAS訴訟で最高裁が先の判決を覆し、住民たちの損害賠償を受ける権利があるとの判決を出したからだ。カリンゲにはスウェーデン…

ビデオ会議の労働環境

ビデオ会議への出席は従来の会議に出席するよりもストレスフルなので、スウェーデンの労働環境庁は、雇用主にデジタル労働環境との付き合いかたの指針を作成するように要求している。よりストレスがたまる一因は「常に見られている」という感覚だ。 通勤時間…

テロの危険とノーベル賞授賞式

今年のノーベル賞授賞式(12月10日)は、スウェーデンを巡る世界情勢が悪化し、テロの脅威レベルが引き上げられている中で行われる。11月には各種イベントでバッグの持ち込み禁止令も出された。 swelog.miraioffice.com 授賞式の会場となるコンサートホール…

北欧通信 129 インフルエンサー必殺監視人

今週はこちらのカミラさんのパワーあふれる監視活動に関して。人気あるインフルエンサーを批判すると、ファンたちからの攻撃もすごく、いつも(?)炎上してるみたいだけど、カミラの活動は続く。すごいです。 スウェーデンのインフルエンサーの倫理違反や違…

Dad Harmony

スウェーデン北部では白夜ならぬ極夜が始まり、最北の地ではこれから1月12日までは日が登らない。どんなに外界や世相が暗くとも、しかし再び日は昇る。今日はそう信じたい私たちに必要な歌声の話題で。とは、いってもこのブログを日本で読んでくれている人は…

狡猾なのかバカなのか? むちゃくちゃな国家公務員への賃金体系指令

先週末、極右のスウェーデン民主党の党大会で党首に再選されたジミー・オーケソンが「新しいモスクの新設は阻止し、反民主主義、反スウェーデン、同性愛嫌悪や反ユダヤ主義のプロパガンダがはびこる地域にあるモスクを没収し、取り壊したい」と演説し(この…

© Hiromi Blomberg 2023