swelog ニュースで語るスウェーデン

スウェーデンの気になるニュースを毎日伝えるブログです

2022-06-01から1ヶ月間の記事一覧

犯罪者とミュージックアワード

スウェーデンのミュージックアワードの一つ音楽出版協会賞(Musikförläggarna)が、今後は「加害者や犯罪者」には賞を授与しないと発表したことで、議論がわき上がっている。 芸術と、その創造者は区別されるべきか、優れた芸術を生み出した人が罪を犯したり…

SASのストライキのニュースに負けた(?)NATO加盟関連ニュース

スウェーデン語の「ヤハ!(Jaha!)」を、私は日本語のへえ!とかそうなの? とか、とにかくちょっと驚いた時に使ってしまうのだけど(使い方間違ってます)、今朝SVTのサイトにいったら、スウェーデンとフィンランドのNATO加盟をトルコが承認したというニュ…

夢と現実・クラーナの場合

スウェーデンフィンテック企業クラーナ(Klarna)の評価額がこの1年で360億ドル(約4兆8700億円)も下がった。5兆近くのお金はどこへいった。 クラーナはこれまでに最大で460億ドル(約6兆2200億円)の評価額獲得を狙っているとブルームバーグが報道したこと…

SPACとサーバントエコノミーにさよならする夏

SPAC(特別買収目的会社)とは 未公開会社の買収を目的として設立される法人のことを指し、読み方は、「SPAC(スパック)」です。英語のSpecial Purpose Acquisition Companyの頭文字を取ったものです。SPAC(特別買収目的会社)は、上場した時点では、自らは…

インフレと賃金 swelog weekend 64

ここ数ヶ月でスウェーデン経済はすっかり様変わりしてしまった。スウェーデンは30年来のインフレで食品の価格はこの1年でほぼ9%上昇した。住宅ローンに光熱費も直撃されているし、それにやっとコロナからの開放感でいっぱいなのに、レストランもホテルの価…

すべてが悪い方向に向かっている時に悲観主義は役に立つのだろうか?

賃金格差、健康格差が広がってしまった話を一昨日、昨日とこのブログに書いていたら、アメリカでは昨日連邦最高裁が人工中絶権の合憲性を認めないという判決がでた。そして、今日のニュースは、スウェーデンでの温室効果ガスが増加したというものだ。排出量…

Hövding、頑張れ!

ショック。 私の愛用している自転車用エアーバッグ、Hövdingに暗雲立ち込める。 世界で最も安全な自転車用ヘルメットとして発売されているHövdingだが、今回ドイツの国家検査機関BaSTが行ったテストでは、40Kmの速さで走行する自転車と衝突した場合、エアー…

健康格差の解消はそんなに簡単なことじゃない

昨日はジェンダー間の賃金格差の話だったが、今日は学歴による健康格差の話を。 スウェーデン政府は2018年に「2048年までに改善できる余地のある健康格差をなくす」という目標をたてたが、先日公衆衛生庁から発表されたのは、この目標を期限までに達成するの…

広がった男女間賃金格差

新しいトレンドの兆候か? パンデミックの影響による一時的なものか? その背景にある要因はもう少し時を経てみないとわからないが、スウェーデンでは2017年以降で初めて、男女間の賃金格差が拡大した。比較する期間をもっと長くして、より長期的な視点で見…

除草剤がエコな家庭菜園へ混入して作物を打撃

クロピラリドという除草剤が、有機肥料や有機植物栄養剤に混入し、これを使用した家庭菜園家たちのトマトやじゃがいも、豆類などに生育不良の被害を与えていることが昨日大きく報道されていた。 クロピラリド(スウェーデン語の記事ではpyralid)は穀物やナ…

人々はなぜ事実から目をそらし、環境党を毛嫌いするのか

スウェーデンの国会議員を選ぶ選挙では、政党として最低4%の支持率を得なければ議席を獲得できないという決まりある。ここしばらく、世論調査では環境党の支持率は4%を下回っており、9月の選挙以降は環境党議員が国会からいなくなってしまうことも起こりう…

子どもを取り込む犯罪組織 swelog weekend 63

今週の記事はこちらです。 犯罪組織が年齢の低い子どもたちを取り込むことが増えている。成人と比べて子どもへの罰則が厳しくないことを背景に、武器や麻薬の売人として時には10歳に満たない子どもたちが犯罪に手を染める事例もでてきた swelog.theletter.jp…

スウェーデン当局はなぜ小さなこどものスクリーンタイム制限推奨をしていないのか

先日、ノルウェーの公衆衛生に関する行政機関、公衆衛生研究所が発表したのは、2歳までの子どもはスマホやタブレット端末などスクリーンの使用をすべて避けるべきだという推奨。これは2019年WHO(世界保健機関)が発表したスクリーンタイムに関する新たなガ…

マイナーな楽器と公立音楽教室の民営化問題

9月の国選選挙を前に、さまざまな特集が組まれるようになってきたが、SVTが各政党により異なる文化政策で、各地方自治体にどのような変化が出てきているかを取材している。 取り上げる地方自治体は、中道右派の穏健党が最大政党で裕福な家庭の多いストックホ…

ウクライナの戦争で何が起きているかわからなくなってきた理由

私も4月12日以降、ウクライナの戦争に関連した記事を書いていないことに気がついたが、スウェーデン防衛研究所のアナリストが、なぜこの戦争について見聞きすることが減ってきたかを解説してた。 理由は3つほどあって、1つ目はロシアの攻め方が変わったこ…

変わるヘルシンキのヴァンター空港

ストックホルムのアーランダ空港の長蛇の列のことばかり書くのに疲れたのか、スウェーデンのメディアが北欧隣国の空港の状況を詳しく取り上げている。昨日はノルウェーのオスロ空港について書いている記事を紹介したが、今日はフィンランドのヘルシンキの空…

なぜストックホルムの空港は大行列でオスロの空港には行列はないのかの件と、この夏は電車の旅も大変そうという件

本格的な夏休みシーズンが始まり、これまでもニュースになっていたストックホルムのアーランダ空港でのチェックインやセキュリティチェックの待ち時間が、さらに大変状況になっているようだ。 待ち時間の長さは主にセキュリティチェックの職員不足によるもの…

国が独占で酒を売るとどれくらい売れるのか?

学校も終わり、気温も上がり、夏休みシーズン感の盛り上がるスウェーデン。 夏には酒量が増す人が増えるが、スヴェンスカダーグブラーデット(SvD)がスウェーデンで一番売れているお酒のリストを掲載していた。この国ではお酒は国営の種類販売店のシステムボ…

女性の職業選択と「女性初」問題 swelog weekend 62

今週はミュージアムの展示で知った「カメラマン」という職種に関するちょっとした驚きと、スウェーデン人「女性初」のソロコンサートをヨーテボリのアレーナで行ったアーティスト、Laleh(ラレー)に関して書いています! swelog.theletter.jp 先週訪れたミ…

新聞社業界団体が公共テレビをEUに訴えると脅す

スウェーデンの新聞社の業界団体が公共放送SVTを欧州委員会に訴えると脅している。 私が今まさに、この記事を書くために参照しているSVTニュースのサイトの各記事のテキストが長すぎて、競合する新聞社が打撃を受けており、これが改善されないのなら欧州委員…

エーランド島で数千の新種の昆虫が見つかる

スウェーデンではこれまでに確認されていなかった2300種以上の新種の昆虫が見つかった。これらの中にはまだ名前もなく、説明もされていないものもある。 2003年から大規模な昆虫採集の研究を行っていたのはエーランド島にあるステーション・リンネ(Station …

「SASは”まだ”倒産しない」。でも、倒産のリスクより高いリスクは?

スウェーデン政府が火曜日にSASにもうこれ以上資金を投入しないと発表したことで、SASの未来にはこれまで以上の暗雲が立ち込めている。SVTの経済解説員は「SASは当分は倒産しないが、将来の見通しは不透明である」という。 swelog.miraioffice.com スウェー…

スウェーデン国会は何をやっているのだろう?

右派ポピュリズム政党のスウェーデン民主党が提出し、最大野党の中道右派穏健党などがその尻馬に乗って支持した法務大臣への不信任案は、昨日の国会で結局過半数を獲得せず決議されなかった。 残ったのは、この決議案投票で鍵を握ったのが「野放し議員」のア…

過去最高のスウェーデン国籍取得者数を単純には喜べない

昨夜ストックホルムのスカンセンで行われたナショナルデーのお祝いで、国王が「夏至祭おめでとう!」とスピーチを締めくくったことが話題だ。 王室の広報担当者によると「国王はその日は皆様にナショナルデーをお祝いしていたが、もう夏至祭も間近なことから…

「ニレの木の戦い」と2022年の市民的不服従とエコサイド

昨日配信したニュースレターで取り上げた「ストックホルム+50」関連の論評で、50年前の市民的不服従と今日の市民的不服従を比較して取り上げているものがあったので紹介したい。書いているのはダーゲンス・ニュヘテルの文化編集局長ビョーン・ヴィーマンだ。…

ストックホルム+50 swelog weekend 61

今週は6月2-3日に開催された国際環境会議「ストックホルム+50」に関して書いてます。 swelog.theletter.jp 「あまりにも準備不足で、明確な目標もない」。開催前から批判的な声ばかりが聞こえてきた国際環境会議「ストックホルム+50」。各国の首脳級閣僚も集…

小型原子炉では放射性廃棄物が大幅に増える可能性

スウェーデンでも電力会社が次世代の技術だとして注目している小型原子炉SMR。 swelog.miraioffice.com 安全性に優れ、工期が短かく、費用対効果に優れているということで多くの国で開発が進んでいるが、SMRでは従来の大型原子炉と比べて2倍から30倍もの廃棄…

ホワイトノイズのポッドキャストで月240万円稼ぐ

ポッドキャストは相変わらず人気だが、人々はお話系ポッドキャストに疲れてきたのか、雨や風や森の音、もしくは虫の声のようにも聞こえるホワイトノイズを延々と流し続けるジャンルのポッドキャストを聴く人が増えている。 (ホワイトノイズについてはこちら…

#swedengate ケチなスウェーデン人の真実

#swedengateというハッシュタグとスウェーデンの夕食に関する奇妙な習慣が世界中のSNSを騒がせている。 今回のことの始まりはアメリカの質問サイトAsk Redditで「誰かの家で、その家の文化的、宗教的な習慣のためにこれまでに遭遇した最も奇妙な体験はなんで…

深煎りの大量生産のコーヒーを飲んでいるあなたへ|スウェーデン発 みんなと地球の“ラーゴム”なくらしvol.9

本日公開されたエルの連載記事、今月はストックホルムのドロップコーヒーについて♡を込めて書きました。 6月5日の世界環境デー、今年はスウェーデンが主催国に。SDGsを牽引するスウェーデンの人気カフェ「ドロップコーヒー」で、おいしいコーヒーの真実とサ…

© Hiromi Blomberg 2023