swelog ニュースで語るスウェーデン

スウェーデンの気になるニュースを毎日伝えるブログです

2020-04-01から1ヶ月間の記事一覧

コロナの中の1トンの鶏糞

私の暮らすスウェーデン南部の街ルンドは、中世の面影が残る美しい大学都市だ。 この小さな街が世界の人々の記憶に残るなら、12世紀に建てられた威厳ある大聖堂や街中の瀟洒な石畳であったり、緑あふれるキャンパスのルンド大学の優れた学術研究だったり、世…

コロナ危機で気温は上昇

コロナ危機により世界中で様々な経済活動が減少すると、空気もきれいになって気候危機にもいい影響を与えるのかとなんとなく思っていたら、答えは逆だった。 大気汚染、空気中の微粒子などが減ると空気はより温まってしまい、直接的な結果として地球の気温は…

数字の後ろの物語

数字、数字、数字。 本来なら人がひとり死ぬということは、その人が築いてきた物語や絆や感情から私たちが切り離されてしまうという、とても大きな痛みとともにやってくる出来事だ。 自分が直接知っている人の死ではないとはいえ、毎日毎日こうした一人ひと…

決まらない対策。私はこの一日を前に送る

先日、新型コロナウイルスに感染すると症状が重篤化する可能性が高いとされる「高リスクグループ」という考え方について取り上げた。 コロナの「高リスクグループ」という考え方 - swelog 今日のスウェーデンのニュース 現時点では、自身がなんの病状もなく…

やわらかで自主的な全体主義が機能する国

どうしてスウェーデンに住む私たちだけ、こんなわが道をいく人たちになっちゃったんだっけ? と思って、久しぶりにマイケル・ブースの『限りなく完璧に近い人々』のスウェーデンの部分を読みかえしてみた。 「そうか、そうか、近代性志向と自主的な全体主義…

スウェーデン人の行動はどう変わったかと、今夜もやってくる変な夢

「スウェーデン人は普段通りの生活を続けているというのは、作られた神話にすぎません。(中略)多くの人は外出を自粛して、移動を減らしています。経済は縮小しているし、この先失業者の数は劇的に増加すると見られています。スウェーデンは完全封鎖こそ行…

コロナの時代のオンラインカジノとアダルト業界

世界中で多くの人が家に留まる生活を送っているので、オンラインゲーム業界が活況を表していることは想像に難くないが、スウェーデンではオンラインカジノとアダルトグッズも売上を伸ばしている。 オンラインカジノのあの手この手に、様々な規制を出すことで…

パンデミックに107歳ブロガーは何を思う

このブログでもいつもたくさんの人が読んでくれている107歳の現役ブロガー、ダグニー・カールソンの記事。 106歳ブロガー・ダグニーの今 - swelog 今日のスウェーデンのニュース 5月8日に108歳になるダグニーは、この不安な毎日をどう過ごしているのだろう?…

コロナが暴く「ニュー・パブリック・マネジメント」の危うさ

「(コロナの時代の)今、より明確になってきたのがニュー・パブリック・マネジメント(NPM・New Public Management)やジャスト・イン・タイムといった利益追求型の組織体制は、医療や福祉の場では提供側にも享受側にも機能しないという点だ」。 先日の日曜…

スウェーデンの外の激しい論争と、中の静かな緊張

ヨーロッパ各国が都市封鎖制限をゆっくり緩めはじめ、アメリカではロックダウン解除推進派と反対派の激しい意見の衝突が起こっているせいだろう、昨日はスウェーデンのコロナ対策をどう評価するかに関するニュースやSNSでの投稿を多くみかけた。 ツイッター…

デンマークとノルウェーを待つ長い道のり

これまで厳しい社会隔離規制をとってきたヨーロッパ各国でソロリソロリと社会の正常化の試みが始まっている。昨日の夜のニュース番組『Agenda』では、デンマークとノルウェーの公衆衛生庁の責任者とカメラをつなげて、これからの自国の課題やこれまでスウェ…

遠くて近い、コロナの中の親密な時間

スウェーデンでは今朝(というか真夜中?)2時からの放送となった『One World: Together at home』。 レディー・ガガの呼びかけで、WHO(世界保健機関)とGlobal Citizenが世界中のコロナ最前線で働く医療従事者を称える目的で実施されたこのヴァーチャルコ…

コロナの「高リスクグループ」という考え方

スウェーデンのコロナ対策では「高リスクグループ」という考え方が早くから繰り返し強調されてきた。 コロナについてはわかっていないことも多いが、感染しても無症状や軽症状の人が多いように、感染すると症状が悪化して重篤な状態に陥りやすいリスクの高い…

コロナの時代の政府への信頼・北欧編と、どこまでもすごいフィンランド

スウェーデン、デンマーク、ノルウェー、そしてフィンランド。コロナの危機の真っ最中の今、この北欧の4ヶ国では政府への信頼が高まっている。 他の三国とも(どころか世界のほとんどの国とは、といったほうがよさそうだが)異なる方針をとっているスウェー…

増える学ぶ人

大学などの高等教育機関へのこの秋からの秋年度へ登録申込者数が、昨年比で13%増加した。スウェーデンでは年に2回高等教育機関への入学・受講申し込みができるが、今回はこれまで最高だった2014年の39万人と比べても約4%増となり、合計で41万人に迫る勢い…

「無能な公衆衛生庁!」 アンデシュ・テグネルへの激しい批判 

22名もの大学教授や医師が名を連ねて「無能な公衆衛生庁に耳をかたむけることはやめて、一刻もはやく政治家は感染拡大阻止のため思い切った措置をとるべき」との署名投稿がスウェーデンを代表する新聞ダーゲンス・ニュヘテルに昨日掲載されたと聞けば、心配…

コロナの時代の柔軟性と想像力

これまでもコロナの影響で失業した航空会社の客室業務員が福祉の現場で働きはじめたり、レストランで働いていた人がEコマースで職をえたりといった話を取り上げたが、今日の話題は移民庁の職員の話だ。 多くの国境が閉ざされている今、スウェーデンの移民庁…

少しだけの明るいコロナニュース(でも気は抜いちゃだめ!)

これまでも何度も「医療がちゃんとまわるか?」「集中治療用のベットが足りるか?」がコロナ対策の鍵を握ると聞いていたが、昨日はこのあたりが目下どうなっているのかに関する少しだけ明るいニュースを聞くことができた。 現時点で、集中治療室で手当を受け…

コロナの今、スウェーデンで暮らして思うこと swelog weekend

今日は noteでこれまでのコロナ関連のブログ記事を振り返ってみようと思いたち、さっきまでその内容をまとめていました。まとめてみると、この激動の世界で自分がどう変化と落ち合いをつけてなんとかやっていこうとしているのかを振り返るよい機会になりまし…

睡眠アプリで眠れなくなる?

公衆衛生庁の最近の調査では39%の人がよい睡眠を取ることが難しいと答えているスウェーデン。不眠症と診断されている人の割合は全体の約10%のレベルで長らく大きな変化はないが、ちょっとした「寝付けない」「夜中に目が覚める」ことを気にする人が増えて…

コロナの時代のヘラジカスローテレビと、スウェーデン人と「恥」の文化

一昨日は、スウェーデンで世界のどこよりも大きく上昇を続ける気温の変化を取り上げたが、今日から始まったイースターの4連休も暖かい日が続きそうだ。 私もコロナ関連のニュースを追うのに忙しくすっかり忘れていたが、スウェーデンの最北の地ではヘラジカ…

農業は8000人のコロナ失業者を待っている

毎日、家の近所の同じような道を同じような時間に散歩していると、草木がすごい勢いで成長しているのがよくわかる。 この時期、スウェーデン全国の農家では合わせて約8000人の季節労働者を必要とするが、いつもの年はウクライナ、ポーランド、バルト三国やハ…

気候危機はスウェーデンで大きく表れる

このブログを書き始めたのは2018年の8月で、どんどん暑くなっていく夏に気候危機を肌身に感じたことと、9月頭に予定されていた統一選挙で排他的な極右政党が票をぐんと伸ばしそうな状況に、これはちゃんとニュースを追っておかなければだめだと思ったことが…

第4世代原発と放射性廃棄物と1000年続く電力?

「第4世代と呼ばれる原子力発電では、放射性廃棄物が燃料として使用され、これが私たちのこの1000年で必要な量の電力を供給する」。こんなにわかには信じがたいような研究がヨーテボリのチャルマース工科大学でも目下進行中だ。 研究しているのは核科学と呼…

子どもが願う「ヨハン(長官)、学校を休校にしないで!」

スウェーデンの公衆衛生庁長官であるヨハン・カールソンのもとには、最近子どもたちからたくさんの手紙が届く。書いてあるのは「お願い、学校を閉鎖しないで!」。 スウェーデンは、新型コロナウイルス感染が拡大しているヨーロッパ諸国の中で、今も社会的ロ…

危機を支える医療従事者と、彼らの危険の責任の所在

今朝の新型コロナ関連ニュースのトップに「雇用主や政治家は訴えられる可能性がある」と大きく書かれていてちょっと驚いて、内容を読んだ。 記事中でインタビューに答えていたのは雇用環境関連法の専門家トミー・イーセスコッグで、今スウェーデンの医療従事…

新型コロナと労働・滞在許可

国境をまたぐ移動が制限され、スウェーデンにやってくる移民も、スウェーデンから国外追放される不法滞在者もいない現在、スウェーデンの移民庁は何をしているのか? この先この官庁が扱わなければいけない大きな問題となってきそうなのが、スウェーデンへの…

無症状の感染者からも感染するのか問題を、新聞で読む

昨日取り上げたニュース(国民の半数が感染する日)のように、既に驚くべきほどの多くの人が感染しているのなら、無症状・無自覚の感染者からも感染するのかどうかが気になる。 感染したり、させてしまったりしないために私たちは何をどう注意しなければいけな…

国民の半数が感染する日

以前からこうなることは予想されていたとはいえ、スウェーデンで直近の24時間で確認された感染者数が500人を越え、59人の方が亡くなり、感染確認者数の合計が5000人近くになったと聞くと心がざわつく。数字の変化がこれまでとは明らかに違ってきている。 「…

2020年4月の空気

ヨーロッパの航空交通量は70%減り、ストックホルムの交通量は30%少なくなった。 外出が禁止されていないスウェーデンでも、特にストックホルムでは多くの人が自宅からリモートで働き、電車やバスを間引き運転となり、またトラックなどによる物流も減ってい…

© Hiromi Blomberg 2023