swelog ニュースで語るスウェーデン

スウェーデンの気になるニュースを毎日伝えるブログです

2023-09-01から1ヶ月間の記事一覧

週4日労働が広がっていく際のリスクとなるのは何か?

多くの場合週5日労働から週4日労働にしても出せる成果は落ちることなく、社員のウェルビーイングは高まると、いいとこだらけのような週4日労働にも、社会全体でみればネガティブな影響がでるだろうことをルンド大学の社会学の研究者が指摘している。週4…

北欧通信 120 あれから5年、何が変わった?

この週末もストックホルムをはじめ、スウェーデンそして世界各地で気候変動のためのデモが行われているが、今年は2018年にグレタ・トゥーンベリが国会議事堂前でひとりで学校ストライキを始めてから5年ということで、様々なインタビューや取材記事などがメ…

「紙の新聞の死」と、これからの地方ジャーナリズム

新聞出版事業者団体のヨハン・タウベルトCEOは、地方や田舎に「紙の新聞の死」がやってきたという。紙の形態の新聞は、大都市ではこれから先も残り続けるであろうが、地方や田舎で存続するのは難しい。紙の新聞への広告出稿は減り続け、インフレで紙や配送に…

軍隊部隊で、女性が多数になるとどうなるか

今週、リンショーピングのヘリコプター飛行隊に今年の徴兵で集まった新兵86人が入隊したが、このうちの19名が女性だった。最近の徴兵の傾向として、訓練される兵士の数は増えており、また女子の割合も増えている。 7週間前に19名の新規徴兵が同飛行隊に配置…

新しく発表された予算案では気候変動目標は達成できない

スウェーデンは「SDGs達成度ランキング」では世界2位だそうだが、そのスウェーデンでさえ気候変動に関する目標では進展が遅く、または後退している。昨日発表された政府の予算案では、スウェーデンの気候変動対策予算は193億クローナ(約2561億円)にとど…

PFASとザリガニ

つい最近になって、PFAS(ピーファス)という言葉やその問題を知り、へー怖いな、とおもっていたところに、スウェーデン産のザリガニで高濃度のPFASが検出されたというニュースを読んだ。 PFASとは1万種類以上ある有機フッ素化合物の総称です。水や油をはじ…

移民統合に関するデンマークの「ゲットーパッケージ」と言語政策

受け入れを厳しく制限するなど、移民に対して2000年代以降スウェーデンとはまったく異なるアプローチを取ってきたデンマーク。 現中道右派政権も、デンマークの厳格な移民政策、ギャング対応策に学ぶべきだと度々言及してきたが、2014年から2022年の8年間政…

認知能力とヨガ

情報を受け取り、記憶し、処理するなどの脳の認知能力は、短時間の運動を行うことで向上することは既に研究で明らかになっているが、ヨンショッピング大学の研究者たちは、老化する脳には、筋トレやランニングなどの有酸素運動とヨガのうち、どの運動が認知…

北欧通信 119 スウェーデンの医療体験記・帯状疱疹の場合

今週のニュースレターでは、ニュースではなくて、私が帯状疱疹になり、スウェーデンの医療機関がどのように対応してくれたか、の話を書いています。よろしければどうぞ♡ 痛いよ! 月曜日のブログにも書いたけど、帯状疱疹になった。なにかおかしいと思っても…

過半数のスウェーデン人は市民的不服従に否定的だけど

SVTとKantar Publicが、18歳から79歳のスウェーデン人1118人を対象に行なったインタビュー調査では、53%が政治や政府の決定を変えるために法律を破る市民的不服従活動に、とても、もしくはかなり否定的な考えを持っていることがわかった。 市民的不服従をと…

市民的不服従のためのトレーニング

人気テレビの生中継番組に横断幕を持って侵入したり、国会で講義の叫び声を上げて引きずり出されたり。 このブログを読んでくれている人にはおなじみのアクティビストグループ「湿地帯を回復せよ」が、この週末のWeek of Actionなどで計画している「高速道路…

伝えなければいけないニュースばかりなのに、ジャーナリストは減っていってしまうのだろうか

私は取り上げてはいないけど、ここ数日どんなことがスウェーデンのニュースのトップを飾っているかというと ウプサラで続く銃殺事件。昨夜はストックホルムの中心地で20代の男性が銃殺される ウクライナの戦況 16日(土)に予定されている国王の即位50年の祝…

「給与はそのままで週4日だけ働く」をやってみたら

「うまくいかないほうがおかしい」のである。 人気のサステナブルなリュックのメーカーSandqvistは、今年の2月のスポーツ休暇以降週休3日制になった。週に働くのは4日だけだが、給与は以前のまま。すばらしい。 CEOのカロリン・リンドさんは「実施までには…

スウェーデンの夫婦別姓

スウェーデンでは1983年までは結婚した女性は夫の名前を名乗るのが一般的だったが、その後名前に関する新しい法律ができ、夫婦の名字として、夫か妻かどちらかの姓を選べるようになった。 しかし妻の名字を選ぶ夫婦は稀で、名前の研究者カタリーナ・ライブリ…

感染症の季節。エリスとピロラ

パンデミックの際に、何度も何度も根気よくコロナについて説明を続け、スウェーデンに安心を与えてくれたヤン・アルベルト教授を久しぶりにニュースで見かけた。秋の感染症の季節がやってきたので、私たちはどう振る舞えばいいかと、今の新型コロナウイルス…

北欧通信 118 Week of Action! と「ママたちの気候正義座り込みデモ」

来る9月15日(金)から22日(金)は社会と気候正義のための行動週間、Week of Action。スウェーデンでは100を超えるNGOや各種団体が、社会と気候正義のためのアクションを呼びかけているが、とりわけ注目したいのが「反抗するママたち」の気候正義座り込みデ…

職場からコーヒーが消える時

事態は恐ろしく深刻である。これがこの先、どのような問題を引き起こしていくのか予想がつかない。 財政難に陥ったフィンスポングス・コミューンは、職員へ無償で提供していたコーヒーのサービスを廃止する。同コミューンは、今期4800万クローナ(約6億4000…

スポティファイでマネーロンダリング

スポティファイについてはこれまでもいろいろな側面からの記事を取り上げてきたし、スポティファイで再生回数をさまざまな方法で水増するという手口についても書いたことがある。 swelog.miraioffice.com 今回明らかになったのは、犯罪集団が麻薬取引で得た…

猛暑の中の労働生産性から、新しい労働環境基準へ

一時は8月なのに手袋がほしい!と思うほど寒くなりかけていたけど、今週は25度前後の暑い日が続くよい天気。オフィスには短パン姿の男性がまだ大量にいる。 アメリカでの調査によれば、気候温暖化による生産性の低下は社会に多大な損失をもたらしており、暑…

テロとAIとDechefr

Dechefrというのは、ストックホルム大学のAI研究者も開発に関わったAIツールで、SNSやネット上のディスカッション・フォーラム、またメールのやりとりなどの文字によるコミュニケーションの中から、テロリストを見つけ出そうをするものだ。 Dechefr | AI bas…

肉泥棒

続くインフレで、スーパーの肉売り場から牛肉の盗難が増えたとか、高い肉のコーナーには鍵がかけられて、店員さんに言わないと買えないようになったとか、肉の盗難についていろいろ小耳に挟んでいたけど、私はどうやらこのニュースを勘違いしていた。 『万引…

フィンランドの大量のプラスティックゴミをスウェーデンで再生

マルメで稼働している最新式のテキスタイルの再生用選別工場のことをエルの連載で取り上げたことがあるけど、先日ニュースになっていたのは、モタラ(Motala)という街にできる「Site Zero」というプラスティックゴミの選別・再生工場。 11月から稼働する予…

北欧通信 117 「高度な近未来のAIは人類を滅ぼす」

本日配信したニュースレターの話は、MIT教授のマックス・テグマークが警鐘をならす、今そこにあるAIの脅威。 マックス・テグマークはマサチューセッツ工科大学(MIT)教授で理論物理学者。宇宙論の研究者だったが、超知能AI による人類絶滅の危険性に注目し、…

40代50代でも大胆にキャリアチェンジ! スウェーデンのリスキリングとこれからの仕事 【スウェーデン発 みんなと地球の“ラーゴム”なくらし vol.24】

Patrik Svedberg/imagebank.sweden.se やりたいことがわからない時は、やりたくないことを考えてみるといいかもしれない とうことで、今月のエルのラーゴム連載は「リスキリング」について。新しいスキルを身に着ける“リスキリング”で国から補助金をもらえる…

アビスコの「北極を感じる」アートが気になる Sensing the Arctic

5_SensingTheArctic_Photo_Jean-BaptisteBeranger スウェーデンの最高峰キブネカイセの溶けていく氷河にカバーをかけてみたり、気候問題を話し合うための黄金に輝く卵型のサウナ、ソーラーエッグを作ったりと、気候危機問題にとことんコミットしているアーテ…

スウェーデンは今も豊かな国なのか?

ダーゲンス・ニュヘテルの「ファクトでわかるこの問題」シリーズが、世界で一番豊かな国のひとつだと言われていたスウェーデンだが、今は他国と比べてどうなのか?を統計数字から確認する記事を出していた。続いているインフレやクローナ安で、生活の豊かさ…

© Hiromi Blomberg 2023