swelog ニュースで語るスウェーデン

スウェーデンの気になるニュースを毎日伝えるブログです

エンタメ・文化・スポーツ

「ユーロビジョンへのイスラエルの参加を認めるな」

1005名のスウェーデン人アーティストが、ユーロビジョン・ソング・コンテストを主催するEBUとスウェーデンの公共テレビ局SVTに対し、今年の5月マルメで開催される大会からイスラエルを排除するように共同の嘆願書を提出した。 アーティストたちはEBUがウクラ…

スローランニング

スローランニングというのは、私のようにゆっくりとしか走れない人のことを指すのではなくw、これまではタイムを競うような走り方をしていた人たちもゆっくり走ることを選び始めているという最近の傾向を指すのだそう。 スローランニングのファンで、2年前か…

39巻、3万3111ページ、107キロのスウェーデン語辞典、140年の歳月を経て完成、の舞台裏

「Rまでに関わった人はみんな死んでしまったが、S以降の人はまだ10人ほど存命だ」 とか書かれていると、なんだかミステリーでも読んでいるような気がするが、これはスウェーデン語の辞書の話だ。 すでに一ヶ月ほど前にAFP通信も配信し、世界中のメディアが報…

Dad Harmony

(追記・2024年8月13日 この記事に関してセシルさんからいただいたコメント、それに対して私からの返答が記事下にありますので、よければそちらもご参照ください) スウェーデン北部では白夜ならぬ極夜が始まり、最北の地ではこれから1月12日までは日が登ら…

SVTの歴史大作番組『スウェーデンについての歴史の話』に驚く

Photo:SVT 冒頭、約6000年前にスウェーデン南部に農耕とともにやってきたとして登場した人たちが「片岡鶴太郎とシャルロット・ゲンズブールに似てる」と思ったら(個人の感想です☺︎)、その後登場した約1万4500年前にそれまでは氷で覆われていたスウェーデン…

北欧通信 123 AIがつくるもうひとつの『仮面/ペルソナ』

AIが支配すると映画はどうなるか? スウェーデン最大の映画祭であるヨーテボリ映画祭は世界で最も議論されてきたイングマール・ベルイマンの『仮面/ペルソナ』を題材に壮大な実験を計画している。そしてこの試みに参加するのはトーベ・ヤンソンの映画やカウ…

北欧のノーベル賞受賞者の、受賞の瞬間のいつもの日常

コロナのワクチンの話と違って、「アト秒」と言われてもよくわからないのだけれど、今年のノーベル物理学賞のうちの一人は、その「アト秒」で光出する手法を開発したルンド大学教授のアンヌ・ルイエさんだった。 受賞の発表の瞬間、彼女は大学で講義中で、早…

アビスコの「北極を感じる」アートが気になる Sensing the Arctic

5_SensingTheArctic_Photo_Jean-BaptisteBeranger スウェーデンの最高峰キブネカイセの溶けていく氷河にカバーをかけてみたり、気候問題を話し合うための黄金に輝く卵型のサウナ、ソーラーエッグを作ったりと、気候危機問題にとことんコミットしているアーテ…

映画『ブレイキング・ソーシャル』の波、始まる Breaking Social

以前ニュースレターで紹介した、フレドリック・ゲルテン監督によるドキュメンタリー作品『ブレイキング・ソーシャル (Breaking Social) 』のスウェーデンでの一般公開が始まっていて、昨日はルンドの映画館Kinoで、映画の上映とパネルディスカッションが行わ…

オッペンハイマー 2論、その2

さて、もうひとりの論者はダーゲンス・ニュヘテルの文化局長のビョーン・ヴィーマンで、彼はマンハッタン計画、トリニティ実験が「世界を破滅へと追い込むかもしれない」可能性がありながら進められた当時と、気候変動問題が危険な領域に入っているのに、そ…

オッペンハイマー、2論 その1

この人の書くものならいつでも読んでみたいと思っている人たちが、揃って『オッペンハイマー』について書いていた。いや、正しくはオッペンハイマーの映画そのものを批評しているのではなく、オッペンハイマーを見た後で、この世界の中で見えてくるものにつ…

ソーンと夏至祭

スウェーデンで最も著名な画家の1人、アンデシュ・ソーン。高揚した瞬間を捉えた絵であると共に、とても物悲しい、彼の最も有名な夏至祭の絵は、スウェーデンに興味のある人ならきっとどこかで見にしたことはあるはず。 夏至祭は夏の盛りを祝う日であると共…

音楽で喜びと愛を届ける、スウェーデンの歌姫ロレーン 【スウェーデン発 みんなと地球の“ラーゴム”なくらし vol.21】

今月のラーゴム連載はロレーンについてです。 こちらの記事では書き忘れたけど、私がロレーンってすごいなと思ったきっかけは、ユーロビジョンのスウェーデン国内予選中に起こった、彼女のパフォーマンス中に気候アクティビストが乱入するという事件。 その…

インフレの中での「文化」の値段

食品を始めとする様々な分野でここまでインフレが進んだスウェーデンで、コンサートや映画、本など、文化関連のモノやコトの値段はどうなっていたかという記事を読んだ。 インフレ率の調査は、コロナの前の2019年の1年間とこの4月までの直近の12ヶ月の平均消…

ユーロビジョン・ソング・コンテスト、勝利のあとの開催費問題

土曜日に行われたユーロビジョン・ソング・コンテストで、スウェーデンのロレーン(Loreen)が自身で2度めとなる優勝をとげた。彼女のパフォーマンスは素晴らしく、またこれでスウェーデンは合計7回優勝したことになり、アイルランドと並んでトップの座に…

北欧通信 101 ロイ・アンデション監督の『思いやりのない世界』

今日から夏時間で、ゆっくり寝ようと思っていたのに、逆に早起きしてしまってくやしい。。日本との時差は7時間になりました。 ニュースレターの方はロイ・アンデションが1985年に作ったCMを紹介しています。 数々の話題作を世に送り、国際映画祭でも重要な賞…

映画で健康に

スウェーデンの職場には健康管理手当(Friskvårdsbidrag)と呼ばれる制度があって、雇用主は従業員の満足度と健康促進のために、ジムやヨガの会員費やマッサージ費用などに一人あたり年間最大5000クローナ(約6万2000円)までを非課税で提供することができる…

北欧通信100 『ブレイキング・ソーシャル』・金持ちを養っている余裕なんてない

今週のニュースレターはウェブで公開していますので、内容に興味もっていただければぜひみなさまの方でも、こちらの映画をご紹介いただければ幸いです。よろしくお願いします! swelog.theletter.jp 目下開催中のコペンハーゲン・ドキュメンタリー映画祭で、…

「本」は2022年も好調だった

「本」とはいってもこれには電子書籍もオーディオブックも含まれているが、スウェーデンでの書籍全般の売上は、これまでの統計で最高だった2021年よりは2.4%減少したが、それでも49億クローナ(約640億円)で史上2番目という結果になった。 インフレや紙不…

ストックホルムで活況を取り戻しつつあるライブミュージック・シーン

過去10年で三分の一が姿を消したとの報道もあったストックホルム中心部のライブミュージック・シーンが、活況を取り戻しつつある。 今年は多くのライブハウスがオープンする予定で、さらには、この変化はストックホルムだけではなく、スウェーデン全国で見ら…

新しい映画製作補助金制度に再度批判の声

すみません、このニュースに興味があるのは私くらいなのかもしれないけど、前に取り上げたニュースの続報ということでよろしく♡ その前の記事というのはこちらです。 swelog.miraioffice.com 上にリンクをあげた記事は、今年から実施されるこの補助金の大枠…

ルーベン・オストルンドが語る「映画館で映画を見る」ということ

『逆転のトライアングル』で米アカデミー賞の主要3賞(作品賞、監督賞、脚本賞)にノミネートされているルーベン・オストルンド監督は、映画館で映画を見ることの重要性を強調する。 開催中のヨーテボリ映画祭で「映画を見る観客に映画の見方を指導する」と…

沖縄とラップランド

遠い沖縄とラップランドをつなぐのは、その土地を権力に蹂躙されてきた歴史だろう。昨日発表されたスウェーデンのアカデミー賞であるグルドバッゲで、ラップランドのサーミの戦いの歴史を刺繍作家の目から捉えた映画が最優秀ドキュメンタリー賞を受賞した。…

『ノースマン』にみる、スウェーデンと日本の映画宣伝の大きな違い

スウェーデンでは昨年春に公開された映画『ノースマン 導かれし復讐者』が昨日から日本でも劇場公開されている。私が見たのはウクライナでの戦争が始まったショックが毎日を暗くしていた時期だったこともあり(それは未だにそうかもしれないが)、この映画の…

いま「北欧映画」が面白い! 作品に潜むジェンダーやマイノリティの問題とは 【スウェーデン発 みんなと地球の“ラーゴム”なくらし vol.16】

謹賀新年。みなさん、こんにちは。2023年もよろしくお願いいたします。 2週間お休みをいただいていた上、書き始めようとしたタイミングで、見事に風邪をひいてしまい久しぶりの投稿になってしまいました。風邪の方は、今はもう大丈夫ですが、いやー、久しぶ…

ギャング団と犯罪小説 swelog weekend 88

今週はこちらのレターをお送りしました。 swelog.theletter.jp ****** 昨夜、生中継されていたノーベル賞の晩餐会、私はちらっと見た時にちょうどスヴァンテ・ペーボさんのインタビューをやっていて、あらためて、この人すてきな人だなぁ、と話を聞いている…

AI演劇

『ベッドサイドテーブル(Nattygsbordet)』と名付けられた人工知能によって書かれた演劇がスウェーデンを巡回中だ。劇団Revetによる、おそらくは世界初のこのAI演劇は、800万件のウェブサイトの内容を読み込んだコンピューターが、そこから人々が使う表現方…

国立美術・博物館の入場料無料が終わるなんて……

昨日は突然廃止された電気自動車購入の際の補助金の話だったが、今日はスウェーデンの国立美術・博物館の入場無料措置が廃止される決定について。右派連合による新政府は、来年1月から国立のミュージアムへの大人入場料を徴収することを決めた。 スウェーデ…

仮想世界の限界・ゲームの中のイケア

28歳のジェイコブ・ショーが一人で作った「The Store is closed」は、閉店後の大型家具店を舞台とし、店員の妨害と闘いながら、迷路のような店内から逃げ出すというサバイバルホラーゲームだ。 当初ジェイコブはフルタイムでこのゲーム制作ができるとは考え…

国民的文化作品リストは必要か? swelog weekend 82

新任のパリサ・リリエストランド文化大臣が土曜日のダーゲンス・ニュヘテルの一面に登場 今週のレターはこちら。 右派連合による新政権は、スウェーデン文化を代表する作品を選んで発表したいと考えている。既にヨーロッパでは、国民的文学作品を選んでいる…

© Hiromi Blomberg 2023