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「正気を失ったパイロット」と「非礼なSAS」。乗客への補償は不明

交渉が膠着しているSASのストライキだが、昨日はパイロット組合はSASを「信頼できない非礼な会社」といい、SASの方はパイロット組合を「正気を失った責任感のない人たち」と強く非難しあう事態に至った。

SASとSASのパイロット組合は、現在バカンス先に取り残されて戻ってこれない旅行客のために、木曜日には一旦はこれらの顧客を帰国させるためのフライトを飛ばすことを約束した。続く金曜日と土曜日にはこの目的で51フライトが運行され、また昨日の日曜日も21フライトが運行されたが、その後パイロット組合は「乗客が帰国できるように手を尽くしたが、SASの言っていることは信頼できず、月曜日以降は協力できない」と声明を出すに至った。

組合側は、取り残された旅行客たちは自力で帰国する選択肢があると主張しているが、ヨーロッパ中のフライトが混乱しており、またハイシーズンでホテルも満室が続いており、宿泊先の確保が難しいことは自明。SASはパイロットたちに責任意識を持って乗客を帰国させるため、フライトを運行するよう強く求めている。

一方、このような憂き目にあった旅行客たちがSASのストライキの影響により被った経済的な損失をどこまで補償してもらえるかは、今のところはっきりとはわからない。フライトがキャンセルされた場合最大で600ユーロまでの補償金も含めた対応をとってもらえる可能性があり、現在消費者庁が運営しているネット上の補償返還金見積もりサービスへのアクセスが殺到しているが、SASの財務状況を考えると補償が行われるかどうかは怪しく、一般顧客に代わって補償金請求を行うサービス企業などは現在SAS案件の取り扱いを中止している。このような会社は通常は戻ってきた補償金の3割程度のサービス手数料と引き換えに面倒な補償金請求を代行してくれる。

SVTの記事はフライトがキャンセルされた場合の乗客の権利がまとめているが、それによると、航空会社はフライトを再予約するか、航空券の代金を払い戻す必要がある。また乗客は欠航により必要になった食事代や宿泊代を請求する権利があり、さらに欠航によって生じた損失補償を請求できる権利もある。これの上限がEU内のフライトの場合は250〜600ユーロとなっているが、SASからはいまのところこの補償に関するコメントはない。

SASで2019年に起こったストライキの時には、SASはこのストライキは悪天候や政情不安と同様の「避けることのできない異常事態」として補償金を支払いを拒否している。この時はスウェーデン国内の苦情総合処理庁(ARN)ではSASの訴えが認められたが、この件はその後欧州司法裁判所に持ち込まれて、SASはそこで敗訴している。今回はどのような扱いになるかは不明だ。

戻ってこれない方々は「私たちはどうして飛行機でバカンスにでてしまったのか?」とちょっと考えてみるのもいいかもしれない。

SASのパイロットはバカンス旅行客の帰国便を取りやめ(SVT)

多くの人がSASに補償を求めているが、それが支払われるかどうかは不明(SVT)

© Hiromi Blomberg 2022