swelog ニュースで語るスウェーデン

スウェーデンの気になるニュースを毎日伝えるブログです

ビジネス・経済・技術

Renewcell社の資金不足と倒産の衝撃

星の配置か、気圧の変化か?いや、そんなことはないのだろうけど、ここのところ気候変動対応系スタートアップの経営破綻のニュースを立て続けに取り上げているような気がするのだけど、今日のニュースもそんな一つ。 H&Mが大型投資していたRenewcellが倒産し…

北欧通信 138 破産したHövding 革新的な製品と特許の関係

今週は昨年末に破産申請をしたHövdingについての記事です。倒産までの経緯やその技術は今後どうなるのか、そして買収した後にすべてを失った投資会社のオーナーへのインタビューを取り上げています。 スウェーデン発の革新的で、世界一安全と言われたサイク…

肥満治療薬ウゴービが脅かす世界のスナック菓子や人工関節の売上

生きていくのに必要なものを食べる、というシンプルな考え方からは遠く離れ、私たちの体は世界中の大企業が取り分を争う、巨大なマーケットでしかないのだろうか? デンマークの製薬会社ノボノルディスクのCEOのもとに食品業界の重役たちから思いがけない電…

電気飛行機の方向転換

ヨーテボリに本社を置くハート・エアロスペース社は最近10億クローナ(約146億円)の新規資本調達に成功したが、現在200人いる従業員の約3分の1にあたる70人に解雇通告をだした。この会社については2020年のブログでも取り上げたことがある。 swelog.miraiof…

スウェーデンの気候変動関連テクノロジー資金不足に警鐘 Cakeは倒産

気候変動関連テクロノジーを開発するための資金がスウェーデンでは足りていないという記事を読んだ。 大きな注目を集めるノースボルトやH2グリーンスチールが記録的な額の資本を集める一方で、スタートアップからスケールアップしようとした段階で資本がつき…

北欧通信 137 白樺からゴム

今週のニュースレターはこちらです! ゴムは主に天然のゴムの木か、石油から作られている。持続可能なゴム生産を目指し化石由来のゴムをすべて天然ゴムに切り替えようとすると、新しいゴムの植林地のためには熱帯雨林を伐採し森の多様性を犠牲にすることも求…

自社製品の中古品販売で絶好調な子ども服ブランドPolarn O. Pyret

自社製品の中古品を新品と一緒に販売していると以前紹介した子ども服のポラーン・オ・パイレ(Polarn O. Pyret)の売上が絶好調だ。 スウェーデンの人気の子ども服ブランドPolarn O. Pyretは、2020年から自社店舗で自社の子ども服を引き取り再販を行っている…

プレラブド指数

スウェーデン商業連盟のまとめによると、2023年12月には10人に3人がセカンドハンド品を購入し、その売上高は10億クローナ(約約141億円)に達した。 最大の製品カテゴリーは衣料品で、連盟の代表は「セカンドハンド品は買うのが恥ずかしいものから魅力的な製…

「スノーボール」とアーティストへの権利

1974年に販売されて以来世界中で売れ続けている、オレフォーシュ・コスタボダ社のキャンドル台「スノーボール」。我が家にも3つほどある。 このスノーボールをデザインしたアン・ヴォルフさんが、当然受け取るべきロイヤリティを受け取ってこなかったと1500…

北欧通信 135 無人スーパー、無人図書館、無人ジム

1日24時間、1年365日、行きたい時にはいつでも入ることができるが店員や職員がいるのは1日のうち数時間だけというタイプのお店や場所が増えている。無人スーパーはパンデミックを契機としてその後も増え続けているが、セキュリティや犯罪防止に関してはどう…

スウェーデンのフォンド運用会社が、長引く労使闘争にテスラ株の売却も検討

長引くテスラでのストライキに、テスラに大型投資を行っているスウェーデンのフォンド運用会社数社は今の状況に進展がみられなければ、この春の株主総会で従業員の団結権を認めるよう要求する計画をしている。またそれが認められない場合は、テスラの持ち株…

進化するハッカー攻撃

私がルンドのアート系映画館でゆったりと『PARFECT DAYS』を観ていた頃、もう一つのシネコンではこんなことが起こっていたのか。 土曜日にスウェーデンの映画館チェーンFilmstadenや小売店のRustaなどの決済システムがハッカー攻撃を受け、販売システムが停…

トップ法律事務所のChat GPTベースAIツールの使い方

スウェーデンを代表する企業向け法律事務所のVingeのマリア=ピア・ホープCEOが、Chat GPTを法律事務所の仕事に合わせてカスタマイズしたHarvey社のライセンスを100購入したとコンピューター・スウェーデンのインタビューに答えている。Open AIも投資してい…

AIによる知的労働者の解雇が始まった・ヨーテボリのゲーム会社で

ゴールドマン・サックスとマッキンゼーの分析によれば、知的労働者の仕事の約3分の1から3分の2は、この先AIに取って代わられる可能性があるという文章で始まる記事は、かつて溶接工や倉庫の作業員の仕事がロボットに取って代わられたよりも、このシフトはも…

気候問題とお金の使い方:私の年金積立が!

スウェーデンの基礎年金積立には自分でフォンドを選べるプレミア年金部分がある。 2000年から年金積立の2.5%分をプレミア年金(PPM)として、自分でフォンド(投資信託)を選択できるようになったスウェーデンの年金制度。が、大多数の人(400万人)は積極的…

持続可能なロウソク

スウェーデン人はヨーロッパの中で最もロウソクを消費する国民で、その消費量は一人当たり年平均4キロ。スペインではこれが0.5キロになる。北欧の冬にロウソクの明かりは欠かすことのできないが、ロウソクは原料に気をつけなければいけない商品でもある。現…

環境に配慮された「本当に欲しいモノ」を実現する女性起業家たち 【スウェーデン発 みんなと地球の“ラーゴム”なくらし vol.27】

少しいつもよりゆっくり目でしたが、今月のElleの連載公開されています。今回は 最新のエコフェア2023で見つけた…、出会ったバンブー紙おむつとオーガニック粉ミルク。そして、手が止まらないおいしいビーガン食品など…開発商品を通して見えてきた変革のとき…

森からのスーパー素材・リグニンでつくる日焼け止め

パルプ製造過程からでる産業廃棄物を利用した「木の電池」の実用化を進めるスタートアップのことを覚えている人はいるだろうか?「セルロース」をご存知なら、これからは「リグニン」もぜひ覚えておこう!と2年前に取り上げたことも。 swelog.theletter.jp …

北欧通信 128 2030年のイケア

気候変動、パンデミック、そして戦争。世界で製品の製造と販売を行うイケアは、ここ数年何度もチャレンジに直面したが、今は2030年に達成すべき目標に向かって邁進している。その目標とは、2030年には30億人の顧客を獲得し、気候ニュートラルな企業になるこ…

安全性より強欲さが勝つ・Open AI騒動の影で解任された二人の女性取締役

Open AI CEOのサム・アルトマンが解雇されたり復職したり。 この一連の騒動の中で、スウェーデンのメディアはAI研究者のマックス・テグマークに取材しないのかなと思っていたが、昨夜やっとインタビューがでていた。マックス・テグマークはマサチューセッツ…

北欧通信 127 ストックホルムの空飛ぶ(ような)電気フェリー

来年の夏、ストックホルムに行く人は特別な体験ができるかもしれない。2024年7月から空中を浮遊するような電気フェリーの試運行が予定されているからだ。電力のボートは既にもう珍しいものではないし、スウェーデンでは数年前から大型電気フェリーも運行して…

フェイスブックやインスタグラムでの、広告なし課金サービスの真の意図

久しぶりにインスタグラムを使おうと思ったら「課金すると広告がなくなります。これまで通り無料でも使えますが、その場合広告があります」みたいなメッセージがでた。ああ、これがニュースでやってた、メタのGDPR対策か。ついに始まったなか、と思いながら…

グリーンなアスファルトはサウナの香りで

ウクライナとロシア、そしてイスラエルとハマスの戦争も膠着して長引きそうだとニュースは伝える。パレスチナへの爆撃をやめろとイスラエルに抗議する大規模デモが各地で開催される一方で、ヨーロッパ各国でユダヤ人へのヘイトクライムは激増している 。ふと…

Hövdingのニュース

私のHövdingは、おばあちゃんを避けようとしてよろけた時に爆発してしまい、2回めに買おうと思ったときには高すぎて、それ以来自転車に乗るときには普通のヘルメットを被っている。でもまたいつか、Hövdingの価格が下がったり、より軽量になったりした時に…

スウェーデンと資本関係が切れたSASと、その小口株主、そしてユーロボーナス

長い間、経営危機に陥っていたSAS・スカンジナビア航空だが、この度エールフランス-KLMオランダ航空が大株主になることが決まり、同時に株式の上場廃止が発表された。新しいSASの株主はエアーフランス-KLM(19%)の他に、デンマーク国(25.8%)、資産運用…

セルフスキャニングはスーパーでの労働をこう変えた

スウェーデンのスーパーにハンドスキャナーを使ったセルフレジができてずいぶん経つ。スウェーデンではIcaが早くも2004年にパイロット店舗で導入したのが最初だが、最近はお店が提供するスキャナーではなく、スマホのアプリを使ってのスキャン方式も広がって…

スポティファイでマネーロンダリング

スポティファイについてはこれまでもいろいろな側面からの記事を取り上げてきたし、スポティファイで再生回数をさまざまな方法で水増するという手口についても書いたことがある。 swelog.miraioffice.com 今回明らかになったのは、犯罪集団が麻薬取引で得た…

テロとAIとDechefr

Dechefrというのは、ストックホルム大学のAI研究者も開発に関わったAIツールで、SNSやネット上のディスカッション・フォーラム、またメールのやりとりなどの文字によるコミュニケーションの中から、テロリストを見つけ出そうをするものだ。 Dechefr | AI bas…

北欧通信 117 「高度な近未来のAIは人類を滅ぼす」

本日配信したニュースレターの話は、MIT教授のマックス・テグマークが警鐘をならす、今そこにあるAIの脅威。 マックス・テグマークはマサチューセッツ工科大学(MIT)教授で理論物理学者。宇宙論の研究者だったが、超知能AI による人類絶滅の危険性に注目し、…

スウェーデンは今も豊かな国なのか?

ダーゲンス・ニュヘテルの「ファクトでわかるこの問題」シリーズが、世界で一番豊かな国のひとつだと言われていたスウェーデンだが、今は他国と比べてどうなのか?を統計数字から確認する記事を出していた。続いているインフレやクローナ安で、生活の豊かさ…

© Hiromi Blomberg 2023