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スウェーデンでも伸びるフェムテック(といけてない従来診療)

「投資家が男性だった場合、まず一生を通じて女性の体にはどういうことが起こるのかを説明します。初潮から月経、そして妊娠から更年期障害まで」と話していたのは、スウェーデンでフェムテック事業を手掛けるスタートアップ企業起業家、リディア・グラフルンドさん。

女性対象の健康関連デジタルソリューション事業、フェムテックはパンデミックの影響もあり、記録的なペースで伸びている。マッキンゼーは2021年にフェムテックに投資された金額は25億ドル(約3430億円)で、2019年と比較して約2倍となったと発表しているし、Future Market Insigntsはフェムテック市場は10年後には全世界で40億ドル近くの市場規模になると予測している。

フェムテックの中で一番伸びているは生理周期と妊活アプリだが、その他にも女性だけを対象とした医療サービスや、思わぬ失禁を防いだりよりよいセックスライフのための骨盤底筋トレーニング(スウェーデン語ではKnipövningキュッと締める運動と呼ばれる)やデジタル母乳ポンプまで。

先のグラフルンドさんたちは、スウェーデン初のデジタル婦人科クリニックEster Careを設立したが、その背景には婦人科診察の待ち時間が長いという現状もある。婦人科のニーズは高いのに、地域によっては申し込んでから実際に診てもらえるまで1年近くかかることもある。

(実際私もルンドの大学病院に不妊治療の診察を申し込んだら、診てもらえるまで10ヶ月待たされた。そしてやっと診てもらえた際には「あなたは対象年齢を超えているのでここでは治療できない」と言われ(最初からそう言ってくれ!)、その後マルメの私立の不妊治療専門医院に行ったという経験がある。あの時最初からすぐに診てもらえる私立クリニックに行っていたら、今頃子どもがわさわさいる暮らしだったかもしれない。ちょっとバカで、その頃は仕事を優先させていた自分に後悔はしていないけど、人生ってこういう風に進むのかと今でもしみじみ思ったりする)

他にも最近伸びているサービスとして、更年期障害に悩む女性のために「Womni」が紹介されていて、更年期障害に対応しているサービスは地域によって限られているので今後の伸びしろは大きいという。

スウェーデンの婦人科産科医組合も、現在の婦人科医不足による待ち時間が長さから今後のフェムテックの盛り上がりを歓迎しているとコメントしているが、従来の診察などと比べて費用がかかる可能性や、またすべてがデジタルで完結する場合はいいが、今のところは検査や実際の診察が必要となった場合は他の病院や診療所と連携していない場合は、また最初からステップをやり直す必要があるリスクなどを指摘していた。

しかし、冒頭の男性投資家への説明の仕方を聞いて改めて思ったけれど、男性の体って成長期が終われば、あとはそんなに変わるものじゃないのか? 体のリズムに耳を済ませながら暮らすってそういう感覚はないのだろうか? (わかっているようでわかってないなー、私も)

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日本には一般社団法人フェムテック協会まであって、こちらよりはもっとずっとフェムテック関連が進んでいるよう。これがなぜなのか分析してみるとおもしろそう。

© Hiromi Blomberg 2023