スウェーデン語の「ヤハ!(Jaha!)」を、私は日本語のへえ!とかそうなの? とか、とにかくちょっと驚いた時に使ってしまうのだけど(使い方間違ってます😅)、今朝SVTのサイトにいったら、スウェーデンとフィンランドのNATO加盟をトルコが承認したというニュースよりも「SASのパイロットストライキは回避された」というニュースがトップにきていて「ヤハ!」である。
NATO加盟は大きなイシューだけど今日の暮らしには直接関係ないが、ただでさえすごいことになっている今の空港での混乱に加えて、パイロットがストに入ってしまうとその影響を被る人は多いので、当たり前といえば当たり前か。
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SASパイロットたちは経営陣と合意しない場合、昨日深夜からストライキに入るはずだったが、ストはとりあえずこの先72時間は回避されることになった。この3日間のうちに合意に至らず、3日後にストに突入すると一日に数万人の乗客に影響がでる見込み。
パイロットの労働組合は、SASがパンデミック時に解雇した560名のパイロットを再雇用せず、代わりに子会社の人材派遣会社SAS LinkとSAS Connectからパイロットを調達していて、これが労働協定に規定されている再雇用の権利を侵害していると主張している。
昨日は数年前にSASとおさらばしたノルウェー政府が「もう一回株主になってもいいよ」発言をしたけれど、これはノルウェーがSASに資金を投入し続けることを意味せず、一定の条件のもとで15億クローナの負債を株式に転換し引き受けるという今回の提案は、SASが長期的な解決策を見つけるまでの一時的なサポートに過ぎないようだ。ノルウェーは今回助け舟をだしても、この先遅かれ早かれまた株式を売却することになるだろうとの業界アナリストが解説していた。
SVTのニュースサイトはまた、この夏ストの可能性のある他の航空会社をリストアップしていて、そこにはライアンエアー(すでにスペインなどで先週末も54便が欠航するなどの影響があった)、EASYJET、ブリティッシュ・エアウェイズ、ルフトハンザなどの名前が挙げられている。
この夏ヨーロッパに来る人は、混乱はあると覚悟してのんびりした気持ちで旅行するほうが、精神衛生上よさそうである。
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一方NATOの方は、スウェーデン、フィンランドの両国首脳との長時間にわたる会談で、トルコが両国のNATO加盟に関する拒否権を放棄するとことで合意した。共同声明の後で、スウェーデンのアンデション首相は「長時間話し合った中で、何が(トルコの)決定を翻す要因となったのか、ピンポイントではわからない」と話している。
共同声明では、北欧諸国はPKKはテロ組織であることを再確認し、YPG/PYDなどへも支援することはないこと、スウェーデンとフィンランドはトルコに対して攻撃を行うすべてのテロ組織を明確に非難すること、この3国間で武器禁輸措置がないこと、などが盛り込まれた。(トルコが出していた要求は下記に記事にまとめて書いた)
SVTの政治解説委員マッツ・クヌートソンはこの声明にはいくつかの疑問符が残るとして、例えばテロ組織PKKの一派であるシリアのクルド人組織YPGを支援しないことをこの北欧2国は約束したが、それが具体的に何を意味するかははっきりしていないことを指摘。
また今回の合意がスウェーデンとフェンランドの交渉力によるものなのか、それともアメリカなど他のNATO諸国からのトルコへの圧力によるものなのかは不明だともいう。スウェーデンとフィンランドはNATO加盟国にとって地理的に最重要拠点になることは明確で、またトルコはアメリカの対空システムの購入を望んでおり(トルコがロシアの対空システムを購入してから、アメリカはトルコに提供していない)、そのための裏約束を取り付けることで今回譲歩することに合意したのでは、という見方もある。
しかし、そうなのか、これでスウェーデンはNATOに加盟するのか。残念だな。
追記・6月30日。昨日の夜でていた毎日新聞の深堀り記事がよかったので、リンクを張っておきますね。北欧2国のNATO加盟 トルコ一転支持 外交巧者ぶり示す | 毎日新聞
解説・この夏ストの可能性について警告をだしているのはこちらの航空会社(SVT)