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自然享受権と「レインボー・ギャザリング」

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スウェーデンには自然享受権といって、土地の所有者に損害を与えない限り誰でも他人の土地に立ち入ってその自然の豊かさを楽しむことができるというおおらかな決め事がある。これは法律でも認められた個人に保証された権利。

しかし近年これをいいように解釈して、勝手に大きなスポーツの大会などの大規模なイベントを開催することによるトラブルが起こっている。現在では自然享受権は個人に与えられたもので団体に与えられるものではないとされている。

日本人の間ではお菓子屋さんの名前として知っている人も多いだろうスウェーデンの最北にある村ヨックモックの近くで、目下「レインボー・ギャザリンク」という名の下に1000人から2000人以上の人が世界中から集まって1ヶ月以上にわたるキャンプ生活が行われている。

ルーツは1970年代までに遡り、世界各地で開催されているらしいこの集まり。オーガナイズする責任者や団体がいるわけでもなく、各人がそれぞれの自由意志でてんでに同じ時期に同じ場所に集まってきただけ、とうのが参加者による説明だ。

ギャザリングは7月後半からこの先9月の第一週まで続く予定ということで、これだけの長期間、大勢の人が集まっている状態は自然享受権の適応範囲を超えていると、土地の所有者(ヨックモック・コミューン)は警察に立ち退き要請をするように依頼した。

これから強制の立ち退き要請がはじまるのだろうか? この件は自然享受権の新しい解釈例となりそうだ。

そういえば、ちょっと関係ないけど、先日の50周年の記念日にテレビで放送されていた1969年に40万人以上が集まったウッドストックのドキュメンタリー。とてもおもしろかったので未見の方はぜひ! もう会場の近隣の住民も「お互い様」の精神にあふれていてすばらしかった!

www6.nhk.or.jp

ヨックモック郊外の大規模キャンプに土地の所有者が警察に立ち退き要請

 

© Hiromi Blomberg 2023