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Heimstaden

このブログを読んでくれている人の中にも、もしかしたらHeimstadenの所有する賃貸住宅に住んでいる人がいるかもしれない。Heimstadenはスウェーデン、ドイツ、デンマーク、チェコ、オランダを中心に、合計約16万戸のアパートを所有する不動産会社。株主は創業者でもあるノルウェーの不動産王のIvar Tollefsen。

Heimstadenはドキュメンタリー映画『Push』に描かれているやりくちで、古くなったアパートを改修し、家賃を大幅に上げるというビジネスモデルで儲けてきた。

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現在スウェーデンで4万5000戸のアパートを所有し、スウェーデンで最大、ヨーロッパで第二位の賃貸住宅供給企業となっているHeimstadenは、高騰する金利コストを入居者に負担させる形で、大きな賃貸料の値上げを行っている。

Heimstadenはインフレの前、スウェーデンの不動産価格が一番高かった時期に多くの不動産の取得を行っており、その結果現在は約2000億クローナの負債を抱えている。スウェーデンの株式市場で今一番問題を抱えているのは不動産業界で、なかでもHeimstadenは最も問題のある企業として際立つと専門家がコメントしていた。

年金運営会社Alectaの問題は数ヶ月前のブログでも書いたけれど、AlectaはHeimstadenの最大の株主でもあり(Heimstadenは従来の意味でも上場はしていないが、いわゆる優先株で上場してるとの説明がある)、この株の価値はこの1年間で60%も下がっており、4月末にAlectaはHeimstaden株を30億クローナ評価減することを余儀なくされた。一方で、Heimstadenは3月に株主に67億クローナの配当を分配している。

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SVTの取材に対して、Heimstadenは「財務も資金の流動性も業績も良好。金利の上昇に伴い、借り主にコストの一部を負担してもらうことは合理的だ」と回答している。

ストックホルム郊外でHeimstadenから50㎡のアパートを借りて今9800クローナ(約13万円)の家賃を払っている人は、「Heimstadenのアパートの賃料は他と比較しても高めなのに、ここからさらに値上げが続くと、払っていくことは不可能」だと話す。

『Push』と見た時は、スウェーデンに、アメリカの悪名高きBlackstoneが迫ってきていると背筋が凍ったけど、そのBalckstoneも手をつけなかった物件をHeimstadenが買い漁り、今、借り手たちが窮状に陥っているということだろうか? Heimstadenという企業名は覚えておかなくては。

数万人の借り主が家賃値上げショックに(SVT)

© Hiromi Blomberg 2023