この7月から税率が25%から6%へと変更されたスウェーデンの電子書籍、オーディオブックの消費税。(変更の背景はこちらの記事をどうぞ)
下がった消費税分を価格に反映させ値段を下げたところもあれば、消費者への価格は据え置きで増えた利益を出版社や著者への支払いを増やしたところもあり、書籍Eコマースサイトやオーディオブック・サブスクリプション・サービスは会社によってその対応はまちまちだ。
スウェーデンにはアマゾンはないが、AdlibrisとBokusという2つの大きな書籍Eコマースサイトがあり、両サイトとも1つタイトルにつき紙の書籍、電子書籍、オーディオブックを提供している。
7月の税制改定に合わせて、Adlibrisでは下がった消費税分をすべて価格に反映させたが、Bokusでは価格は下げたもののやりかたはもっと複雑でどの価格帯が適切か様子をみながら決めている。結果、スウェーデン書店組合の質問に対しAdlibrisは「デジタル本の売上は伸びており、消費税率を反映させたこともその要因の一つ」と回答しているのに対し、Bokusは「価格改定を行ってからまだ日が浅く、結論を出すには至っていない」とのコメントをだしている。
ちなみに、Storytel, BookBeat, Noxtoryの主要3社のオーディオブック・サブスクサービスではサブスクリプション月額価格には変更はない。StorytelとBookbeatでは国税庁に収める消費税が減った分を出版社や著者への支払いに反映させると回答。一方、Nextoryはユーザー体験を向上させる製品開発に使うそうだ(たしかにちょっとUIがしょぼい)。
この消費税率変更という出来事ひとつとっても日本のような横並び意識はまったくなく、みんな各社の状況に合わせて自分が最適と思うやり方なのがみごとにスウェーデンらしい。
さて、昨日鳴り物入りで発売開始された『ミレニアム』シリーズの6作目、また4作目からの著者であるダヴィド・ラーゲルクランツの書く『ミレニアム』としては最終作となることが決まっている『Hon som måste dö (”死ぬべき女”の意味)』の価格はどうなっているのか確認してみた。
Bokusでは書籍が189クローナ(約2200円)、電子書籍とオーディオブック単品はそれぞれ129クローナ(約1500円)。さらにはBokusが最近はじめたオーディオブックサブスクサービス(プレミアム月額139クローナ・約1600円で聴き放題)でも聴くことができる(これはすごい!)。
一方、Adlibrisでは書籍はBokus より高く、デジタル版は少しだけ低い。
他のオーディオブックサブスクサービスでは、ぶっちぎり一位のStorytelには含まれているが、BookbeatとNextoryでは提供リストに含まれていない。
先日ざわっと話題になった大人気のカミラ・レックベリの新刊の販売時(のちょっとした事件に関しては下記のリンクのnote記事をどうぞ)もそうだったが、本の読み方(というよりはテキストベース・コンテンツの消費の方法、というべき?)がこれほど多岐に渡り価格も違うとなると、買う方も今回は紙で読むのか? 電子で読むのか? それとも聴くのか? どのサイトから買うのか? も悩むなー! 日本の本はまだ紙の書籍と電子書籍の間で悩むだけですんでますけど!
まだ金曜日ですがこの記事、少し長くなったのでswelog weekendにしちゃおう! Trevlig helg!よい週末を!