新築賃貸物件の家賃を巡るなんかちょっとわかりにくい議論が盛り上がってるなぁ、落ち着いたらこのブログでも取り上げようと思っていたら、昨日の夜には、あれ、こんな展開? あらあらあらあら、というような流れで、スウェーデン民主党から今の政権への不信任案が提出され、週明けの月曜日には国会で不信任案投票が行われる流れになってきた。
これは、来年の選挙を待たずして今の中道左派から変わって中道右派政権が組閣される可能性が出てきたということになる。2018年9月の総選挙の後は、左派連合が圧倒的な多数決で組閣することができず、政権の形が決まるまでに3ヶ月以上の時間を要した。そして、その新政府への協力を右派側から取り付けるために、社会民主党ひいては現首相のステファン・ロベーンが当時行った約束が、今回の騒動の火種となっている。
背景にあるのは、スウェーデンでの賃貸物件の供給数の少なさ。現時点では借家人の保護の観点から、新しく賃貸物件を建てても家主は家賃を自由に設定することができず、儲けが少ないため、新規参入する人が少ない。
右派側はこの新築物件の家賃の設定をある程度自由にすることを条件に、前回の選挙時に社会民主党と手を握ったのだが、その時からこの家賃の自由化に強く反対していたのが左党。今回政府側が右派の穏健党やキリスト教民主党との約束を守るために提出を準備している家賃の自由化の議案にも強く反対していたが、国会では僅かな勢力でしかない左党の力では政府不信任案の提出などはできない。
しかし、この状況に便乗し首相への不信任案を提出したのが、現在スウェーデン国会で第三の党となっている極右政党のスウェーデン民主党というわけだ(ああ、ややこしい)。
左党にとっては賃貸住宅の借家人保護の立場からこの案に反対することは、党の存在意義をかける大きな問題なのはわかる。でもそこに極右や右派連合が便乗して政権そのものを右側にもって行かれたらそれはそれで大問題なのももちろんわかっているとは思うが、政党としてここはどうしても譲れないものを強く訴えるという手段にでたということであろう。
次の選挙で政権を取るために、目下極右のスウェーデン民主党と手を握りつつある中道右派の穏健党、キリスト教民主党とは異なり、中央党は極右とは協力しないことを明確にしている。
左党も今の流れにおいても、中央党の協力が得られることを当てにしており、不信任案が提出されても、内閣は再び左派を中心に組閣され、さらにはその時には家賃の自由化問題は廃案にされるというシナリオを描いている。
さて、月曜日の夜にはどういうスウェーデンになっているのだろう。国民は、ちょっとおいておかれちゃってる感が強いのですが…… (それよりも今日はロシアでEURO2020 のスウェーデン=スロバキア戦があるから、そっちで熱いな😅)
今日は金曜日だ〜♪、と油断してたら朝からえらいややこしいことを書くことになってしまった。みなさまにもこのややこしさがちゃんとお伝えできてればいいのですが。政局もサッカーも熱いが、今日は全国各地で気温も30度くらいになるのだそう。
熱くて暑いスウェーデンの夏。