スウェーデン政府は昨日2022年度の予算案を提出したが、その中にファミリー・ウィークと名付けられた4歳から16歳までの子どもいる親にむけた新しい休暇制度の導入案が入っていた。これは年間6日まで子どもと一緒に過ごすための休暇をとることができ、その場合給与の80%までを政府が支払うというもの。
休暇は子どもが両親と暮らす場合は片親につき3日づつ、シングルペアレントの場合は一人で6日と提案されている。
マグダレーナ・アンデシュソン財務大臣は、今回の予算案は「警察官を増やし、コロナで増大した医療への待ち時間を短縮し、国の隅々にまで緑の投資をすることで、雇用を拡大するだけでなく、社会の安心へとつなげるものだ」と説明する。
家族の日休暇を導入するのに必要な予算額は35億クローナ(約445億円)だが、野党の中道右派の穏健党や極右政党のスウェーデン民主党は、家族休暇導入に必要な予算と比べて犯罪対策強化のための予算が少なすぎ、政府は予算の優先順位を間違えていると批判する。
予算全体をみると、目立つのはやはりコロナ関連予算、高齢者福祉、失業対策、そして気候危機対策関連だろうか。個人的には、例えば自転車などの「修理」関連費用にかかる税金を引き下げることでサーキュラー・エコノミーを促進しようとしているのは面白いと思ったし、増え続ける廃棄物の不法投棄に対処するための予算が新しく提案されていることから、スウェーデン社会が変わってきていることもよくわかる。
どの項目をみても、このまますんなりとは国会で決議されるような印象は受けないし、下手をするとまた政府不信任案がだされて解散総選挙となる可能性もゼロではない。
さて、家族の日休暇は導入されるのだろうか?
この予算の背景には、コロナ禍でも誰もが家からリモートワークできるわけではなく、特にエッセンシャルな仕事に付く人にも、もっと子供と一緒の時間をとってほしいという政府からのメッセージがあるようだ。スウェーデンの国会にはこの切実な状況を実感できそうな国会議員は、まぁ、日本よりはたくさんいそうだけど。