首相の不信任案可決の騒ぎの影で、昨日新しい移民法がスウェーデン国会で採決された。今回の主な変更点は、スウェーデンへは基本的には一時的な滞在許可のみが与えられること、また移民が親族を呼び寄せることが難しくなるという点。
(どういうことがこれまで議論されていたかについてはこちらの記事に書いた)
スウェーデンにやってくる日本人にも関係のありそうな、いわゆる永住権の獲得の際に導入が検討されていたスウェーデン語や社会公民のテストに関しては、引き続き議論が続けられることとなり、今回は採択されなかった。
今回の改正案に左党と中央党を含み、現政権担当の社会民主党、環境党からなる多数派に支持されて採決されたが、仮にこの夏はなくても、来年の9月には必ず実施される次の総選挙で右派側が政権を取れば、移民法はもっと厳しくなることは確実だ。
穏健党、スウェーデン民主党、キリスト教民主党は、今回の法案改定はスウェーデンの現状にあっておらず、移民を減らすことにはまったくをもって不十分だと考えている。
今のスウェーデンの政治的危機打開のための切り札として、党首のアニー・ローヴがスウェーデンの首相に担ぎ出されるのではないか、との味方をする専門家もでてきて、注目を集める中央党。
その名の通り中道で、以前は中道右派の穏健党と一緒に政権を担当してしていた時代もあったが、穏健党が極右政党のスウェーデン民主党との協力体制を公言し始めてからは、スウェーデン民主党ひいては右派連合側からはっきりと距離を取るようになった。
今回の移民法に関しても「どうやったら一番多くの人を拒絶できるだろうかという競争」には参加しない、と中央党の移民政策担当者がコメントしている。
アニー・ローヴは中央党の党首の立場でも長く育児休暇を取っていた時期があって、育児休暇明けに出演したテレビのインタビュー番組でとても印象に残るエピソードを披露していた。
党首として活躍する彼女は知名度も高い。上の娘と一緒にスーパーに行くような時にも人から呼びかけられることも多く、話しかけられると対応する。それに気がついたこのまだ小さな子どもである娘さんが、彼女の注意を引きたい時にはママとは言わずに、大きな声で「アニィー・ローヴ!」と叫ぶようになったというもの。
これからしばらくは「アニィー・ローヴ!」との連呼があちこちで聞かれることになりそうだ。