swelog ニュースで語るスウェーデン

スウェーデンの気になるニュースを毎日伝えるブログです

政治

左側から綱を引く

ダーゲンス・ニュヘテルがIpsosと共同で行った最新の有権者バロメータ調査では、スウェーデンは過去9年間で最も左よりに傾いていることがわかった。仮に今日選挙が行われたら、社会民主党、左党、環境党の支持者合計で50%を上回る。現政権側の穏健党、スウ…

高度人材労働移民のためのファストトラック

国際的に競争力のある高度人材労働移民のために、政府は移民庁に新しく対応部門を設立する。この年末から、高度な能力人材への労働許可を専門に扱う部署ができ、人材が必要な企業のニーズを優先させる。申請許可は迅速に処理される予定で、高度人材だと認め…

防衛費増額のために、なくなる祝日

今日は、え、お隣でこんなことが起こっていたんだ、というデンマークの話。デンマークは、NATO加盟国の目標である、GDP2%の防衛費を2030年までに達成するために、337年間の伝統であった祝日を廃止するというのがそのニュース。 廃止が決まり、昨日が最後と…

支持者を失う極右政党

「今選挙があったらあなたはどの党に投票するか?」を聞いた最新の世論調査では、極右政党のスウェーデン民主党が躍進した前々回の選挙の前の2017年11月と同レベルまで支持を減らし(16.4%)、投票者数に換算すると25万人相当の有権者の支持を失った。 同党…

「スウェーデンはもっとスウェーデンらしく」

昨日のメーデーに、去年までの8年間、政権を担っていた中道左派の社会民主党が行った演説を、SVTのマルモステイン政治解説員が分析していた。 社会民主党は昨年9月の選挙で、左派連合としての選挙には負けたものの、極右政党であるスウェーデン民主党と戦う…

なんのためにレジ袋税を廃止するのだろう

税制が変わるのは修繕費についてだけではなかった。現行のレジ袋への課税はこの年末から廃止されるかもしれない。電気自動車への補助金の停止もそうだし、どうしてこれまで進めてきたポジティブな政策をいちいち変更しなければいけないのか。 swelog.thelett…

修理・修繕に関する消費税率を今引き上げるなんて、政府はアホなのか?

H&Mなどスウェーデンのファスト系ファッション企業が揃って、スウェーデン政府が行った今回の税率変更を批判している。4月1日から6%だった修理・修繕費の消費税を12%にする税改革が行われていた。見逃していたけど昨年10月30日にはこんな記事がでていた。…

「国勢調査」か? 抑圧的尋問か?

極右政党スウェーデン民主党党首ジミー・オーケソンが「スウェーデンは住民に関するコントロールを失った。ここには我々の知らない影の社会が存在する」と言って、これから国税庁が5億クローナ(約64億円)かけて国勢調査を実施することを発表したが、人口学…

フィンランドの選挙結果で落ち込まないために

フィンランドでの国政選挙に伴い、先週スウェーデン民主党のジミー・オーケソン党首が、この国で同様の位置づけの極右政党フィン人党の応援にかけつけているとのニュースを目にしたので、これはフィンランドでも昨年8月のスウェーデンでの選挙と同じようなこ…

北欧通信100 『ブレイキング・ソーシャル』・金持ちを養っている余裕なんてない

今週のニュースレターはウェブで公開していますので、内容に興味もっていただければぜひみなさまの方でも、こちらの映画をご紹介いただければ幸いです。よろしくお願いします! swelog.theletter.jp 目下開催中のコペンハーゲン・ドキュメンタリー映画祭で、…

医療従事者の市民的不服従「私たちは通報しない」

国が作った枠組みにどうしても賛成できない時には「不服従」というやり方がある。 つい最近では、風力発電パークがサーミの人たちの権利を侵害しているというノルウェーの最高裁での判決にも関わらず何もしない政府に怒った若者たちによる、官庁の封鎖行為が…

ノルウェーでは風力発電パークをめぐりサーメの若者たちが大規模抗議

土曜日からアクティビストのことばかり書いているが、私がスウェーデンのポンテュスさんやデイビッドさんのことを取り上げている間に、ノルウェーではサーメの若者による激しい抗議活動が行われていた。 抗議先はノルウェー政府で、これは、500日以上も前に…

うちの近くにまた原発?

昨日はせっかくキルナの話を書いたのに、近くで新しく発見されたレアアースのことを書くのを忘れた。もう既に日本語でもニュースになっているので、リンクを張っておこう。 www.bbc.com この記事によるとスウェーデンで発見されたレアアースの量は世界全体の…

どこへ向かうスウェーデン swelog weekend 90

今週のswelog weekendはこちらです。 スウェーデンの政治家は甘いことは言わない。クリスマス気分が漂う中、財務大臣が記者会見で話したのは、これからやってくる不景気、厳しい財務状況、増える見込みの失業者という見解だ。寛容だった難民の受け入れや移民…

スパイ活動防止法で憲法改正

かねてより議論されていた、いわゆる「スパイ活動防止法」が、昨日スウェーデン国会で可決された。これは国外との関係に関わるスパイ活動を、報道の自由と表現の自由を侵害するものとして犯罪化するもの。報道と表現の自由を規定した法律はスウェーデンの憲…

食料自給率から国内食料供給能力へ

スウェーデンの農協、LRF(Lantbrukarnas riksförbund)は、深刻な危機に対応するため、これからは食料は自給率だけをみるのではなく、食料を生産するのに必要となる燃料、電力、農薬や肥料などの国内供給能力も考慮していくべきだという。 経済学者には、スウ…

国民的文化作品リストは必要か? swelog weekend 82

新任のパリサ・リリエストランド文化大臣が土曜日のダーゲンス・ニュヘテルの一面に登場 今週のレターはこちら。 右派連合による新政権は、スウェーデン文化を代表する作品を選んで発表したいと考えている。既にヨーロッパでは、国民的文学作品を選んでいる…

27秒間の沈黙

自身の給与を一気に30%近く昇給させる決議をしたノールテリエ市の市長が、その昇給の妥当性をカメラの前で記者に質問されたが、その後27秒にわたって沈黙し、答えることができなかった。 SD i Norrtälje gick till val på lägre politikerarvoden. Resultat…

歴代環境大臣11人のプロテスト

新政府の環境省を閉鎖するという決定は間違っていると、これまでに環境大臣を務めた11人がダーゲンス・ニュヘテルに共同で寄稿した。元環境大臣たちは「この環境省の閉鎖が、環境問題が今後優先されなくなることの始まりとなるのではないかと大いに憂慮して…

「国外に刑務所をつくるのはやめておけ」

デンマークは来年の1月からコソボにある刑務所に囚人を送ることにしたが、この計画は現在頓挫しており、関係者はスウェーデンに同様の計画はやめておいたほうがいいと警告している。スウェーデンでは新政府が「刑務所の収容場所不足を解消するために、近隣国…

叫びとささやき

月曜日の国会での首相選出投票は予想されていた結果に終わり、その意味では今日の火曜日に閣僚が発表されるまで、穏健党のウルフ・クリステルソンが首相として選ばれたことは順当なニュースで驚きもないが、昨日はアレっと思った小さなニュースがいくつかあ…

リベラル(党)が死んでいく

そして、スウェーデンの移民政策は大転換し、原子力発電所新規建設と再稼働はエネルギー政策の中心に添えられ、「スウェーデンの文化」をもっと行き渡らせるような文化政策がとられる。昨日、右派陣営が発表した今後の政権運営に関する合意の大枠は、ざっと…

貧しいスウェーデンに備えよ

今年のベストセラー本『金儲け スウェーデン(Girig-Sverig)』のアンドレアス・セルヴェンカがアフトンボラーデットに書いている経済コラムが面白い。今日紹介するのは、福祉国家として名を馳せたスウェーデンで貧困層が増えているというもの。 swelog.thele…

移民に関するデンマークからの助言

デンマークの二人のジャーナリストが書いた「スウェーデンよ、デンマーク流にようこそ」と題した長い寄稿記事がダーゲンス・ニュヘテルに記載されていた。今回の選挙で極右政党が大躍進したことを背景に、20年以上歴史のあるデンマーク流の移民政策から、ス…

この先いったい誰が政治家になりたいと思うのか?

選挙の後のこのちょっとどんよりした感じとは自分でも区切りをつけたいと思っているので、もうそろそろ選挙のことばかり書くのはやめようと思うが、最後に、今回の選挙の後で辞任した中央党の党首、アニー・ローブのことを。 まだ40歳にもならないのにこれま…

”Make Sweden Great Again”?

今回のスウェーデンでの選挙結果が、アメリカのオルタナティブSNSやThe Gateway PunditやInfowarsといった極右サイトで注目を浴びている(オルタナティブSNSとは、ツイッターなど大手SNSから追放された人たちのSNS)。トランプの元顧問だったスティーブ・バ…

そして文化はどうなる? swelog weekend 76

選挙の投票日から一週間が経った。長らくスウェーデン第2の政党で、これまでも首相経験者を輩出している中道右派の穏健党の今の党首、ウルフ・クリステルションが首相になるだろうと見方はかわらないものの、右派陣営のどの党から誰が大臣になって政府を構成…

「投票してもなにも変わらない」

スウェーデンでの選挙の投票率は過去4回上昇していたが、今回の選挙では全体の投票率は84.1%にとどまり、前回の87.2%から低下した。大都市郊外の選挙区では投票率が35%〜40%のところもあったし、また社会経済的に困難が多いとされている地区での投票率が…

危険な時代の危険な道

30%の支持を集めた社会民主党が政権の座を明け渡さないといけないなんて、ちょっと割り切れない気もするが、木曜日を待たずに、昨日のうちにすべての開票は終わり、マグダレーナ・アンデション首相は辞任を表明した。社会民主党は過去20年で一番高い得票率…

投票率と選挙への関心

期日前投票と在外選挙でのまだ数えられていない票が23〜24万票あると見られているが、今の右派陣営が1議席の差で優位にたっている状態がこの先くつがえるのは難しいだろうというのが、数学者から政治学者まで大方の専門家の意見。 すべての票が集まり、また…

© Hiromi Blomberg 2023