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10万人の車通勤者に2週間の電車バス定期券を無料で提供

画像・Västtrafik

このキャンペーンで車通勤者の習慣を変え、一人でも多く公共交通機関の利用者を増やそうとしているのは、スウェーデン中西部地域の公共交通の運行を担うヴェストトラフィック社(Västtrafik)。同社はヨーテボリを中心としたこの地方に住む人のサステナブルな移動習慣への行動変容を促すというタスクも担っている。

温室効果ガスの削減のためにガソリン車から電気自動車への移行が注目が集めているが、ヴェストトラフィックがスウェーデン環境研究所IVLのデータを用いて。交通手段による二酸化炭素排出量の差を比較したところ、上のグラフのように非常に大きな差があることがわかった。

二酸化炭素排出量は電気バス(50人乗車で計算)、電気自動車、ガソリン車の間で、それぞれの生産から運用までのライフサイクル全体で計算している。自動車では、2021年のスウェーデンの平均値である、1台の自動車には1.4人が乗車しているとして数値をだした。

結果は一目瞭然だが、電気バスと電気自動車では11倍、電気バスとガソリン車では実に36倍の差があるという結果になった。気候目標の達成を本当に望むのなら、電気自動車に乗り換えただけではだめで、公共交通機関を使うことをもっとアクティブに選択しなければいけない。

ヴェストトラフィックでは、似たようなキャンペーンをもう10年ほど続けていて、そこでは電車やバスやトラム(ヨーテボリの市街地を走っている)などを試した人のうち、だいたい8〜10%が、その後公共交通機関での移動を選ぶようになるという結果を出しているという。

ヴェストトラフィックのCEOは、今日取り上げたこの記事の中で、現政府がガソリンや自動車移動への補助金の継続や増額を検討していること、また公共交通機関を使用する従業員の交通費を、企業が負担しやすくするような規制改革を真剣に取り上げていないことを鋭く批判しており、これまでずっと車に乗っていた人には、行動変容のためのきっかけが必要で、それは政策や施策でカバーできると話す。

ヴェストトラフィックのあるスウェーデン中西部は、ボルボなどスウェーデンの自動車産業のお膝元だが、このキャンペーンのポスターで、ガソリン車がまるで廃棄されるもののように高く高く積み上げられている構図はなかなか皮肉が効いている。

さて、電気で走るバスのことを今日は電気バスと書いたけれど、これは電気バス? 電化バス? それとも電動バス? 日本ではあまり見かけないだろうから呼称も確定していないのだろうけど、みなさんはどの呼び方が一番しっくり来ますか?

10万人ドライバーに無料のバス券で「固定観念を覆す」(ダーゲンス・インダストリ)

© Hiromi Blomberg 2023