swelog ニュースで語るスウェーデン

スウェーデンの気になるニュースを毎日伝えるブログです

環境・気候危機

スウェーデンの気候変動関連テクノロジー資金不足に警鐘 Cakeは倒産

気候変動関連テクロノジーを開発するための資金がスウェーデンでは足りていないという記事を読んだ。 大きな注目を集めるノースボルトやH2グリーンスチールが記録的な額の資本を集める一方で、スタートアップからスケールアップしようとした段階で資本がつき…

エル・ティルサマンス連載【母親たちが望み、示すデモの姿…「ママたちの反乱」という団体から見える理想】

今月のエル連載記事が公開されました。今回は「ママたちの反乱!」 「マザーズ・リベリオン(ママたちの反乱)」は、持続可能な社会の実現のため、そして現在と未来の子どもたちのために闘うことを諦めない母親たちが始めた市民活動で、活動名には「ママ」と…

スウェーデン元外相・ウクライナの戦火の中での環境問題取り組み提言書をまとめる

スウェーデンの元外相で、EUの環境問題委員としても活躍したマルゴット・ヴァルストロームが先週の金曜日キエフを訪れ、戦争による広範な環境悪化に対処するための対策提言書をウクライナのゼレンスキー大統領に提示した。 2022年秋の時点で、環境への悪影響…

湖の氷が語る気候変動

スウェーデン中部に位置し、南北135キロメートルに細長く伸びるヴェッテン湖はスウェーデンで二番目に大きい湖だが、気候温暖化で氷で覆われることが減ってきている。 水深のあるヴェッテン湖が隅々まで氷で覆われ、北から南までをスケートで移動する「ザ・…

気候問題とお金の使い方:私の年金積立が!

スウェーデンの基礎年金積立には自分でフォンドを選べるプレミア年金部分がある。 2000年から年金積立の2.5%分をプレミア年金(PPM)として、自分でフォンド(投資信託)を選択できるようになったスウェーデンの年金制度。が、大多数の人(400万人)は積極的…

PFAS許容レベルの大幅引き下げで、多くの自治体で汚染水浄化が課題に

PFASに関する新しいニュースがでていた。これは現在水1リットルあたり90ナノグラムであるPFASの許容レベルが2026年1月1日から1リットルあたり4ナノグラムまで引き下げられるというもの。SVTの調査によると、いくつかの自治体で将来の基準値を上回るPFASを含…

スウェーデン最大の環境スキャンダル、カリンゲのPFAS訴訟で住民側が最高裁で勝訴

ニュースの中で、ものすごく、ものすごく、喜んでいる人たちを久しぶりに見た。 スウェーデン最大の環境スキャンダル、カリンゲのPFAS訴訟で最高裁が先の判決を覆し、住民たちの損害賠償を受ける権利があるとの判決を出したからだ。カリンゲにはスウェーデン…

スウェーデン最大の環境スキャンダル・カリンゲのPFAS

やはり日本で問題になっているのと同じパターンだったのか!と思う。前回PFASの記事を取り上げた時に少し触れたブレーキングのカリンゲでの水道水のPFAS汚染の件だ。 これまでに他にもスウェーデンの湖とバルト海でとれた魚で同様の研究が行われ、やはり高濃…

気候温暖化は火山噴火の頻度も高める

いくら地球が温暖化したからといって火山噴火の頻度まで高まるなんて、それはないんじゃない、ほんまかいな! と記事を読み始めて3行目でその理由がわかった。アイスランドは目下、大規模な火山噴火の危機にさらされているが、今後も、より頻繁に、またより…

気候環境大臣が人気のインフルエンサーを批判して炎上

金曜日のダーゲンス・インダストリで公開されたロング・インタビューで、気候環境大臣のロミーナ・ポルモクタリが、人気絶大のインフルエンサーのビアンカ・イングロッソを名指しで批判したことから、ちょっとした騒ぎが沸き起こっている。「全員に好きにな…

世界中で座り込むグレタ

このブログは、ちょうどグレタ・トゥーンベリがスウェーデンの国会の前で一人で静かに座り込みデモを開始したのと、時を同じくして始まっているのだけれど、その5年の間に彼女は各地学校ストライキの原動力になり、世界をまわって講演し、しかしその訴えに…

北欧の温暖化、感染症、そして湿度に、アパートの虫!

地球温暖化は、北欧では世界の他の場所よりも「4倍」のスピードで進行している。(あれ、これ、以前は「2倍」と書いているものをよく読んだような気がしているのだけど、加速した?) 温暖化は多くの生き物の分布の北限が移動していることを意味し、それと…

世界で一番醜い芝生コンテスト

取り上げた方がいいような大きなニュースは他にいろいろあるものの、このゴッドランドからのニュースを見逃していたことに気がついたので、今日はこちらの「醜い芝生コンテスト」について書いておく。 ゴットランド島は長年水不足に悩まされていて、昨年は水…

極北の地でクラウドベリー

北極圏で急速にとけてなくなっていく氷。その状況に警鐘をならすためにスヴァールバル諸島での「氷の音楽」を以前紹介したことがあったが、今日のニュースはこのスヴァールバルで初めて熟したクラウドベリー(Hjortron)が発見されたというもの。数週間前に…

北欧通信122 経済界も地方自治体も心配する、スウェーデン政府の気候変動対応策

ガソリンとディーゼルへの減税を行ったことで、スウェーデンのクリステルソンは、気候温暖化ガスの排出量を意図的に増加させた近代初の首相となった。自治体との間の都市環境協定に基づく持続可能性型社会への移行を促すための資金援助の打ち切りも決めるな…

スウェーデンの環境アクティビズムはここから始まった!「ニレの木の戦い」と市民的不服従とは?【スウェーデン発 みんなと地球の“ラーゴム”なくらし vol.25】

本日10月1日公開のElleのラーゴム連載記事、今回は「ニレの木の戦い」の話です! 神宮外苑の再開発計画とそれに反対する市民のデモ活動のニュースをスウェーデンから見ていると、時と場所は違えども、樹木の尊さはいつの時代も私たちを結びつけ行動させる原…

パリ協定を守るためのワードローブ計画は85着で

大手セカンドハンドショップ、Myrornaの調べによると、スウェーデン人は年に50着の服を買うそうだ。ファッション業界は世界の排出量の10%ほどを占めていると言われており、世界の繊維生産量は2000年から2015年の間だけでもほぼ倍増した。 ベルリンのHot or …

気候変動と住宅ローン

この夏ハワイに行った時、赤道近くなのに猛暑とかに襲われることもなく、気持ちのいい気候ままでいいなぁと思ったのだけど、いや、これらの島は水没していく可能性があることを海岸線に並びたつ、大きなお家の前を車で走りながら教えてもらった。 スウェーデ…

北欧通信 120 あれから5年、何が変わった?

この週末もストックホルムをはじめ、スウェーデンそして世界各地で気候変動のためのデモが行われているが、今年は2018年にグレタ・トゥーンベリが国会議事堂前でひとりで学校ストライキを始めてから5年ということで、様々なインタビューや取材記事などがメ…

新しく発表された予算案では気候変動目標は達成できない

スウェーデンは「SDGs達成度ランキング」では世界2位だそうだが、そのスウェーデンでさえ気候変動に関する目標では進展が遅く、または後退している。昨日発表された政府の予算案では、スウェーデンの気候変動対策予算は193億クローナ(約2561億円)にとど…

過半数のスウェーデン人は市民的不服従に否定的だけど

SVTとKantar Publicが、18歳から79歳のスウェーデン人1118人を対象に行なったインタビュー調査では、53%が政治や政府の決定を変えるために法律を破る市民的不服従活動に、とても、もしくはかなり否定的な考えを持っていることがわかった。 市民的不服従をと…

市民的不服従のためのトレーニング

人気テレビの生中継番組に横断幕を持って侵入したり、国会で講義の叫び声を上げて引きずり出されたり。 このブログを読んでくれている人にはおなじみのアクティビストグループ「湿地帯を回復せよ」が、この週末のWeek of Actionなどで計画している「高速道路…

北欧通信 118 Week of Action! と「ママたちの気候正義座り込みデモ」

来る9月15日(金)から22日(金)は社会と気候正義のための行動週間、Week of Action。スウェーデンでは100を超えるNGOや各種団体が、社会と気候正義のためのアクションを呼びかけているが、とりわけ注目したいのが「反抗するママたち」の気候正義座り込みデ…

フィンランドの大量のプラスティックゴミをスウェーデンで再生

マルメで稼働している最新式のテキスタイルの再生用選別工場のことをエルの連載で取り上げたことがあるけど、先日ニュースになっていたのは、モタラ(Motala)という街にできる「Site Zero」というプラスティックゴミの選別・再生工場。 11月から稼働する予…

アビスコの「北極を感じる」アートが気になる Sensing the Arctic

5_SensingTheArctic_Photo_Jean-BaptisteBeranger スウェーデンの最高峰キブネカイセの溶けていく氷河にカバーをかけてみたり、気候問題を話し合うための黄金に輝く卵型のサウナ、ソーラーエッグを作ったりと、気候危機問題にとことんコミットしているアーテ…

北欧通信 116 気候変動のために自己の行動を変える動機となるのはなに?

今週のニュースレターはこちらです。 スウェーデン人の93%は気候変動が私たちの暮らしに影響を及ぼすと考えているが、気候変動のためにはよくないとはわかっていながら行動し、様々な理由をつけて自己のその行動を正当化する。わかってはいても変えることが…

「飛び恥」の現在

スウェーデンの10か所にある空港を発着する飛行機を利用した乗客数は、パンデミックの前の水準に戻った。インフレと戦争の影響があるにもかかわらず、この7月にこれらの空港で飛行機を利用した人は320万人で、昨年同月と比較して14%増加し、2019年10月以降…

通勤が減って二酸化炭素排出量も減っていたが、今はまた戻ってきた

知識と行動についてのラジオ番組の話の前に、もういくつか気になっている統計数字について書いておこう。 1つ目は、ストックホルム圏内では二酸化炭素排出量が減っており、それは人々の通勤が減ったからと伝える記事。ダーゲンス・ニュヘテルの依頼により携…

理解しているだけでは人々の行動は変わらない

火曜日に取り上げた、通勤手段を車から電動アシスト自転車に変えた人のインタビューでも「ガソリン代や駐車場代の大きな節約にもなり、彼女の場合は電動自転車で移動したほうが通勤時間も実は短くなる」と話していたのが、ちょっと気になっていたのだけど、…

すべてが始まった年。そしてスウェーデンのカビ問題

SVTの気候変動問題解説員エリカ・ビェーストロームは、「2023年はすべてが始まった年として記憶されるだろう」と話す。始まったのは、はっきりとは話されていなかったが、奈落へ落ちる8段階だろう。 swelog.miraioffice.com この夏の大規模洪水や森林火災、…

© Hiromi Blomberg 2023