スウェーデン統計庁の最新のまとめによると、スウェーデンで貧困状態にある外国生まれの人と国内生まれの人の格差は拡大しており、EUの中でも一番大きくなった。非常に低い収入で働く人が増えており、統計庁が「物質的・社会的貧困」と呼ぶ状態の人が30万人強いる。これは、新しい服など物を買う余裕がなく、同僚とビールを飲みに行くなどソーシャルな活動を行う余裕のない状態を指す。この数値は16歳以上のスウェーデン人の3%強に相当する。
ヨーテボリ大学で貧困のついての研究を続けるビルギッタ・ヤンソン准教授は「労働市場はこの30年で大きく変わった。Eコマースで働く人、フードデリバリーやタクシーの運転手など、非常に低い賃金で働く人が増えている。さらにはこのような職場ではフルタイムで働けることがほとんどなく、状況を悪化させている」と話す。
2021年の状況をまとめた最新の報告書では、スウェーデン生まれで貧困状態にあるのは1.5%だが、外国で生まれた人の場合は10.3%。外国生まれの人は一般的に教育レベルがスウェーデン生まれの人よりも低く、職探しで不利な立場にあるが、同時に労働市場では、大人になってからスウェーデンに来た人は、同じ言語能力の若い人よりも仕事を得るのがずっと難しくなるなど、言語能力と年齢の両方の点での差別も見受けられるという。
この貧困状態は、予期せぬ出来事があれば対応できない、暖房費を節約する必要がある、借金を期限内に払えないなど項目で確認されているが、この状態は例えば子どもがサッカーチームに入るための費用や靴を捻出できない、友達の誕生日パーティーにもっていくプレゼントを買うことができないなどの状態につながっていく。
スウェーデンではまた最近、月曜日と金曜日には子どもたちが給食で食べる量が増えていることが確認されており、家庭で十分に食べることができていないことの現れではないかと言われている。そう言えばもうすぐやってくるイースター休暇の期間中も、子どもたちが十分に食べることができるように給食を出すことを決めた自治体のニュースを昨日ちらっときいた。
ヤンソン准教授は、貧困対策として、スウェーデンは児童手当や住宅手当などの給与を増やすこと、そして低所得の賃金やフルタイムで働くことのできる権利を見直すことが必要だという。
私たちの便利すぎるEコマースやフードデリバリーは、誰かの貧困の上で成り立っている。