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自社製品の中古品販売で絶好調な子ども服ブランドPolarn O. Pyret

自社製品の中古品を新品と一緒に販売していると以前紹介した子ども服のポラーン・オ・パイレ(Polarn O. Pyret)の売上が絶好調だ。

スウェーデンの人気の子ども服ブランドPolarn O. Pyretは、2020年から自社店舗で自社の子ども服を引き取り再販を行っている。社の目標として掲げているのは同じ服を3人の子どもたちが着ること。使った服を持ち込んだ人は、Polarn O. Pyretで使用できるクーポン券をもらう。この取り組みは非常に好調だそうで、Polarn O. Pyretの服には子どもの名前を記入できるようになったものが多いが、その名前が書き換えられている写真がいい感じである。

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ダーゲンス・インダストリ紙がポラーン・オ・パイレのヨハン・ムンクCEOに行ったインタビューによると、現在同社の全売上に対する中古品の売上は5%を占める。

売上高全体で過去最高を記録しEコマースも20%成長して、スウェーデンでは売上高全体の52%を占めるまでになった。昨年1年間で9店舗閉鎖し、13店舗オープンした店舗での売上はプラスマイナスゼロの成長率だったが、2年間で18%も値上がりした家賃の高いストックホルムとヨーテボリの一等地にあった店舗は、採算性が合わないので閉鎖した。

ポラーン・オ・パイレにとって成功の核となっているのは、自社の中古品の扱いへの投資だ。昨年は同社にとってスウェーデンに次いで重要な市場である英国でドレイパー賞の最優秀サーキュラー・イニシアチブ賞も受賞した。自社中古品販売を成功させる秘訣として同社は

  1. 中古品を持ち込みやすい環境をつくる。洋服はきれいに洗濯されそのまま吊るして販売できる状態にして持ってくることをはっきりさせる
  2. 価格設定を明確にする。ポラーン・オ・パイレでは中古品の状態を査定して3つの価格帯に分けている。
  3. Eコマースに対応できる受け入れ体制をつくる。送られてきたものを修理して販売することにも対応できる専門の社員を配置する
  4. オゾンチェンバーを備えた物流パートナーと組む。オゾンは衣類から臭いを蒸発させ、中古品をより魅力的なものにする。
  5. は、これからの施策だが、同社では今、さらなる関心を喚起するため、ポップアップショップの展開を検討中だ。

なるほどと思ったのは、4番目のオゾンチェンバーで、セカンドハンドのお店に入ると独特の臭いがする。あまり気にしないようにしているが、これがなくなるのなら中古品がもっと魅力的になるのは間違いない。

ポラーン・オ・パイレは一着を最低3人の子どもが使うことを目標に、耐久性に優れた服を作り、つけられているネームタグには3人の子どもの名前が書けるようになっているが、この先はもっと多くの名前を書くことができるように列を増やすようにする予定だとか。

この春からはドイツ、デンマーク、フィンランドでZalandoを通じてのEコマースも始まる予定で、日本には進出していないがこのサーキュラーなビジネスモデルはどんどん真似してもらったらいいんじゃないかと思う。

ポラーン・オ・パイレが下降傾向から持ち直す。「翼に風を得た」(ダーゲンス・インダストリ)

© Hiromi Blomberg 2023