ストックホルムのカロリンスカ大学病院は、性同一性障害を持つ子どもへのホルモン治療を中止することを決定した。治療法はまだ不確実で、患者へのリスクを伴う可能性があるとの判断からされたこの決定への、反論の声も高くなっている。
ストックホルムのKIDと命名された、子どもや若者の性同一障害の治療に特化した医療チームが発足したのは2000年。これまでに700名以上の子どもや若者が性同一性障害であると診断され、診断された患者はカロリンスカ大学病院で性別適合のためのホルモン治療を受けることができた。
しかしこれまでにも、この治療はしっかりとした科学的根拠に基づいたものではなく、同時にホルモン治療による深刻で取り返しのつかない影響を及ぼす可能性があることが指摘されていた。
さらにイギリスでは、同様の治療をとても若い時期に受けた女性が治療をうけたことを後悔し、医療機関を提訴。それにより18歳以下に対する性別適合ホルモン(思春期成長阻止剤や性転換ホルモン剤)の使用が禁止されたという事例も、今回のカロリンスカ大学病院の治療方針の変更決定の背景にあるようだ。
しかし、性的マイノリティーの権利のために活動するスウェーデンの全国組織RFSLは、この決定を批判。どこに住むかで、性同一性障害に悩む人たちが受けることができる治療方法が異なる状況は間違っていると指摘し、さらには子どもへのホルモン治療もすでに治療方法による実証はあるとして、治療を必要とする子どもや若者への提供は継続されるべきだとコメントしている。
昨夜のニュース番組では、社会庁の担当責任者が出演し、どこに住んでいるかで、受けることのできる治療方法に違いがでないようにすると回答していた。
うーん、治療を受けたいという子どもたちの切実な願いは、将来的に後悔へと繋がったり、健康への影響を引き起こす可能性があるという難しい問題。簡単には決着しないだろうけど、議論は小さくまとまらず、大きくなった方がよいように思える。だれもが「ほんのちょっと当事者」になって考えてみることがいいのかな?