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燃えるエスキルストゥーナ。沈みゆくマルメ。

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スウェーデンの中堅都市エスキルストゥーナで起きている車が燃やされる大量の放火事件。警察は日曜日の夜起こった一連の放火事件を、警察がギャング団の中心人物を逮捕したことへの報復行為ではないかと見ている。

逮捕されたのは35歳くらいの男性で、数週間前にエスキルストゥーナで起きた銃撃事件に関わっており、殺人未遂と銃器犯罪で目下身柄を拘束されている。

警察は放火事件の背景の分析はあくまで現時点では仮説であると断った上で、もしそうであってもこれは警察がギャング団を追い詰めていることの裏返しで、放火により手綱を緩める気はない、とコメントしている。

日曜日の夜に火をつけられ炎上した車は25台にのぼるそうだが、昨夜は人員配置を強化すると夜のニュースで伝えられており、今火曜日の朝5時半現在SVTのサイトをチェックしたところでは、昨夜の放火がどうなったのかはまだ報道されていない。

時差ボケの頭で読んだ今朝のニュースサイトでみかけたもう一つの「世の中ではえらいことが起きてるなぁ」は「沈みゆくマルメ」に関するもの。

地球温暖化の「最悪のシナリオ」と呼ばれるものは、このまま二酸化炭素の排出量が増え続けた場合は、2100年には世界の気温が4.9度も上昇するというもの。これにより世界の淡水の90%を蓄えている南極大陸の氷が溶けてしまう。

スウェーデン気象庁の計算によると、気温が4.9度上昇すれば、最悪の場合、例えばマルメでは水位は113センチメートル上昇する可能性がある。これは強風や高波時には街のいくつかの部分は水没する可能性へとつながる。マルメのあるスコーネ地方の水域計画の担当者は、保護堤防や運河を閉じるための新しい水門、さらには新規建設が行われる場合には地面を高さを上げるなどの計画が進められている、と話す。

世界的な環境科学の第一人者のヨハン・ロックストロームは、スコーネ地方のこの取り組みに対し、彼の「2100年の気温の上昇は、2.6度であるという中間シナリオで決着するのではないか、という見方は変わらないが、最悪のシナリオに今から備えることは、リスクアセスメントとしては正しい」とコメントしている。「なぜなら、南極大陸でもさらには北極大陸でも氷河の融解の閾値を既に超えたと考えられるから」と続ける。

ふむ。冒頭の写真は土曜日に関西空港から飛び立った時にきれいに見えた淡路島の沿岸の様子だ。沿岸部はどこもみっちり、ぎりぎりまで開発されている。

最悪のシナリオ時の113センチメートルの水位の上昇って、マルメにだけ起こるものなのだろうか? 淡路島や大阪湾の水位はどうなる計算なのだろう? 先週取り上げた「気候心理学者」のいうことを私たちもっと真剣にきいたほうがいいのでは?

警察のコメント「(放火は)重大な犯罪者の逮捕に関連してる可能性がある」(SVT)

最悪の事態に備えるマルメ(SVT)

© Hiromi Blomberg 2023