swelog ニュースで語るスウェーデン

スウェーデンの気になるニュースを毎日伝えるブログです

医療・健康

妊婦とトレーニング

スウェーデンでも運動は妊婦や胎児にとって有害であるという俗説がまだまだ根強いそうで、この度これを覆す、妊婦とトレーニングに関する新しい教科書がまとめられ出版された。本は助産師や理学療法士になるために勉強をしている人向けのもの。 1980年代には…

肥満治療薬ウゴービが脅かす世界のスナック菓子や人工関節の売上

生きていくのに必要なものを食べる、というシンプルな考え方からは遠く離れ、私たちの体は世界中の大企業が取り分を争う、巨大なマーケットでしかないのだろうか? デンマークの製薬会社ノボノルディスクのCEOのもとに食品業界の重役たちから思いがけない電…

300万人の飲み過ぎ

アルコールを飲むスウェーデン人の大半は、危険な飲酒の基準値を超えて飲んでいる。スウェーデンアルコール・薬物情報センター(CAN)がこのほどまとめた報告書によると、成人人口の41%が飲み過ぎで、これは人口が1200万人程度のスウェーデンで330万人に相…

PFAS許容レベルの大幅引き下げで、多くの自治体で汚染水浄化が課題に

PFASに関する新しいニュースがでていた。これは現在水1リットルあたり90ナノグラムであるPFASの許容レベルが2026年1月1日から1リットルあたり4ナノグラムまで引き下げられるというもの。SVTの調査によると、いくつかの自治体で将来の基準値を上回るPFASを含…

うつに効く合唱隊

ストレス解消にはひとりカラオケだろうか? スウェーデンの新しい調査研究は、合唱など他の人と一緒にする文化的な活動はストレスや不安を和らげ、精神的健康を改善するのに効果的であることを示した。 ヨンショーピング地方自治体の依頼で行われたこの研究…

へその緒を切るタイミングに関するスウェーデンの研究が未熟児を救う

昨日発表されたBBCの今年の「100 Women (100人の女性)」に、五ノ井里奈さんが選ばれたことが日本でも大きく報道されればいいなと思っているが、今年の100人にスウェーデンから選出されたのは、以前このブログでも取り上げた、世界で初めての女性の骨格をベー…

小児科学会が「2歳未満の子どもはスクリーンタイムなし」を推奨

スウェーデン公衆衛生庁は現在、スマホやタブレットなどのスクリーンタイムはどうあるべきかを調査、推奨内容を策定中だが、おそらくあと1年か2年はかかるだろうその作業の完成を黙って待っていることはできないと、この度、スウェーデン小児科学会が発表…

「ラーゴム」にぽっちゃりで長生き

「みんなと地球のラーゴムな暮らし」という連載まで持っている私だけど、「ラーゴム(Lagom)」という言葉は日本語に訳すのに難しいと常々思う。デンマーク語の「ヒュッゲ」は言葉自体がポジティブだと思うのだけど、「ラーゴム」は多くもなく少なくもない、…

認知能力とヨガ

情報を受け取り、記憶し、処理するなどの脳の認知能力は、短時間の運動を行うことで向上することは既に研究で明らかになっているが、ヨンショッピング大学の研究者たちは、老化する脳には、筋トレやランニングなどの有酸素運動とヨガのうち、どの運動が認知…

北欧通信 119 スウェーデンの医療体験記・帯状疱疹の場合

今週のニュースレターでは、ニュースではなくて、私が帯状疱疹になり、スウェーデンの医療機関がどのように対応してくれたか、の話を書いています。よろしければどうぞ♡ 痛いよ! 月曜日のブログにも書いたけど、帯状疱疹になった。なにかおかしいと思っても…

科学的な根拠は大切だけど、科学的な根拠は時々、ちょっと変わったりもする

この度、科学的根拠に基づき出されていたガイドラインが変わることになったのは、男性のアルコールの摂取量について。SVTが入手した情報によると、社会庁が出している飲酒量のガイドラインが引き締められる予定。 これまでスウェーデンの推奨レベルは他国の…

15%の人が春に落ち込み、やる気がでない理由

ストレス研究所のトビヨン・オーケステッド名誉教授によると、スウェーデンに住むおよそ15%の人が、春の気分の落ち込みを経験する。日が長く暖かくなり、気分が上向きになってもいいこの季節に、気分が落ち込んだり身体が重くてやる気を感じないのは、日光…

後々まで続く仕事上のストレスの影響。そして自己裁量権

ネガティブなストレスは健康上よくないことは広く理解されているが、この度ヨンショーピング大学でまとめられた職業環境医学に関する研究結果では、働いている間に受けたストレスの悪影響は、人生のずっと後まで残ることがわかった。この研究は40年以上に渡…

PCOS

スウェーデンでは約5%の女性がPCOSと診断されています、と記事に書かれていたのだけれど、PCOSってなんだろう? 日本婦人科医会のホームページによると、PCOSとは以下の通り。 多嚢胞性卵巣症候群 (polycystic ovary syndrome : PCOS)とは、「両側の卵巣が…

自分の体を憎む少女たち

摂食障害、なかでも拒食症は精神科系の病気に中でも一番死に至る確率が高い、とこの記事には書かれている。摂食障害と診断された女性の間では自殺を試みる確率が2倍から4倍高くなる。 ……摂食障害に関しては、スウェーデン皇太子からグレタ・トゥーンベリ、…

塩だらけのランチ

これまでに何度かレストランで塩辛すぎるスープを出されたことがあるのだが、これが違うお店の異なる機会に繰り返して起こることから考えると、きっとスウェーデン全体で塩分量に関するなんらかの傾向があるのだろうと思っていた。 スウェーデン食品庁がこの…

子どもと睡眠薬

スウェーデン社会庁の統計によると、睡眠薬や鎮静剤の処方を受ける子どもはこの10年間で5倍に増えた。睡眠薬の処方を受ける子どもの数は2011年には1万6000人だったが、2021年には8万4000人となった。 背景にあるのは、睡眠ホルモンであるメラトニンが処方で…

10万人の医療事故

選挙の前に、スウェーデンの医療現場では毎年10万人が医療事故で負傷しているというギョッとするような記事がでていたのを思い出したので取り上げておく。 スウェーデンの病院はどこも人手不足で、病床もいっぱいいっぱい。本来ならそこで治療されるべきでな…

パンデミック下で増えた、治療を求める女性のアル中

マルメの依存症治療クリニックは、新型コロナの感染拡大状況や国営種類販売店システムボラーデットの売り上げ高の推移と、アルコール中毒問題でヘルプを求めてクリクニックを訪れる患者の増減に関連性がないかを調べたが、そのような関連性は見つけることが…

やめたい医師たち

スウェーデンの医師たちのための労働組合(Läkarförbundet)が、1万6000人近くの現職の医師会員から回答を得た労働環境調査によると、5人に1人は医師という職業を離れたいと考えていることが明らかになった。要因は厳しい職場環境で、多くの医師は強いスト…

子どものメンタルヘルス問題を引き起こす親のタイプはこれ

10代、20代の若者の精神疾患が増加傾向にあるスウェーデン。 『こんな風に感じるものなの?(そしてその他の難しい問題)Ska det kännas så här? (och andra svåra frågor”)』など、子ども向けに書かれた心の健康問題を扱った本の著者で、児童心理学者のレ…

スウェーデンと「超加工食品」

昨年12月の調査によるとスウェーデンはヨーロッパで最も「超加工食品」を消費している国で、スウェーデン人のエネルギー摂取量の40%以上が超加工食品によるものであることがわかった。 「超加工食品(Ultraprocessad mat)」という言葉、私はこちらの記事で…

片足立ちと早死の関係

英国の医学誌に掲載された片足立ちと早死にの関係についての研究結果に、理学療法の大学教授がコメントを寄せていたのを読んだ。 この研究は51歳から75歳の男女1700人に片足で10秒間立つことができるかをテストし、その後の生存確率や疾病に関する追跡調査を…

健康格差の解消はそんなに簡単なことじゃない

昨日はジェンダー間の賃金格差の話だったが、今日は学歴による健康格差の話を。 スウェーデン政府は2018年に「2048年までに改善できる余地のある健康格差をなくす」という目標をたてたが、先日公衆衛生庁から発表されたのは、この目標を期限までに達成するの…

スウェーデン当局はなぜ小さなこどものスクリーンタイム制限推奨をしていないのか

先日、ノルウェーの公衆衛生に関する行政機関、公衆衛生研究所が発表したのは、2歳までの子どもはスマホやタブレット端末などスクリーンの使用をすべて避けるべきだという推奨。これは2019年WHO(世界保健機関)が発表したスクリーンタイムに関する新たなガ…

寝て痩せる

以前「よい睡眠に関するルール」をまとめた時に参考にした睡眠本の著者である、ウプサラ大学のクリスチャン・ベネディクトさんが、朝のニュースで最新の睡眠学の研究結果を紹介していた。 このアメリカで行われた研究は、太っている人がそれまでよりもたくさ…

マルメの病院、待ち時間のイライラをクラッシック音楽で(ごまかす?)

私自身は経験はないのだが、骨折したとか、子どもが急に熱を出したとか、急に脇腹が痛くなったとかで病院の救急窓口に行くと、3、4時間ならまだいい方で、時には7、8時間も待たされたという話も聞く、悪名高きスウェーデンの救急医療の待ち時間。 マルメにあ…

子どもの近視から、眼病になるリスクをおさえるには

私が子どもだった頃(はるか昔だ)、確かテレビを見る時は2メートル離れてと言われていたような気がするのだが、スマホが世の中にやって来た時は、そんなこと誰も言わなくなってしまっていた? ともかく現在約3分の1の人が近視と考えられているそうだが、…

オンライン診療で増え続ける健康な患者

このブログで初めてオンライン診療について取り上げたのは3年前。その時にも既に顕著だった傾向が、さらにはっきりしてきたようだ。 swelog.miraioffice.com ルンド大学の社会法学者が昨年まとめたところによると、オンライン診療を最も利用しているのは大都…

サウナが処方薬に?

クリスマスは心臓発作のリスクが高まる時だ。 スウェーデンでは毎年5000人以上の人が心臓発作で亡くなるが、クリスマス・イブ(今日だ!)には、心臓発作の数が通常の日に比べて40%近く増加する。 クリスマスに心臓発作を起こした人を対象にした調査による…

© Hiromi Blomberg 2023