ここ数年で、食品の容器もまた表記も気候危機への配慮が感じられるものや、謳ったものがずいぶん増えた。ポテトチップスがやめられない私は、最近の袋には「従来の包装と比べてCO2を50%削減」などの表記に気がつくことになる。このポテチ袋の言及には問題はないが、これらの主張のおよそ半分は「グリーンウォッシュ」であると題した記事が、ダーゲンスメディアに掲載されていた。
グリーンウォッシュ 企業やその商品・サービスなどが、消費者らへの訴求効果を狙い、あたかも環境に配慮しているかのように見せかけること。「ごまかし、粉飾」を意味する英語「whitewash」と、「環境に配慮した」という意味の英語「green」を合わせた造語。コトバンク・知恵蔵「グリーン・ウォッシュ」の解説より
記事で紹介されていたのは、デジタル広告とマーケティングの業界団体IABスウェーデンのセミナー。登壇した弁護士は、根拠のないグリーンウォッシュ広告や表記で訴えられる企業の数は増加しており、ヨーロッパの消費者関連当局は、気候に配慮したという主張のおよそ半分は根拠のないものとみていると紹介する。
スウェーデンでは、6年前から気候問題に配慮したというマーケティング手法が急増しているそうだが、多くは中身に具体性がかけ、科学的な裏付けが不足していることが消費者オンブズマン(KO)により明らかになっている。
今、スウェーデンの消費者庁はグリーンウォッシュ対策を優先課題のひとつとして位置づけており、消費者の理解のレベルを調査したり、どのような法的規制を強化していくべきかを検討している。
スウェーデンがベースとして使っているのは、昨年11月に更新された国際商工会議所(ICC)の包括的な「倫理的で責任あるマーケティングガイドライン」の中の「サステイナビリティ・コミュニケーション」に関する章だ。
この章には最近よく使われるようになった、気候言及の妥当性のガイダンスやマーケティング担当者のためのガイドラインがある。これに基づき、広告オンブズマン(RO)と広告オンブズマンの意見委員会(RON)が実際の広告を審査している。
(オンブズマンに関してはこちらもどうぞ。オンブズマンにまつわる誤解 | swelog weekend )
今後スウェーデンでは、グリーンウォッシュ広告を行った企業にはより厳しい罰則が与えられることになる。現時点では、気候問題に関して根拠のない主張を行った企業へのペナルティは100万〜200万クローナ(約1300万〜2600万円)の罰金が目安となっているが、これが今年の5月28日からは、マーケティング法関連罰則が厳しくなり、将来的には、現在GDPR(EU一般データ保護規則)に違反した時の罰則として決められている「全世界の売上高の最大4%」の金額が罰金として課せられる可能性がある(すごいな!)。
スウェーデンでは、2019年にハンバーガーチェーンのMAXが「一口食べるごとに気候問題を改善できる」と謳ったキャンペーンが、広告オンブズマンから訴えられたことが有名だ。MAXは、カーボンオフセットの活動を行う団体に資金を提供していることを根拠として提出したが、オンブズマンは、プロジェクトは意味のあるものだが「食べると排出量を削減する」とまでは言い切れないとの判断を下している。
IABはヨーロッパ各国に支部があるが、スウェーデンのIABはセミナーの情報をレポートやYoutubeで配信している。今回のセミナーも無料で見ることができるので、興味のある方はぜひ↓(スウェーデン語なのだけど……)