無茶苦茶するよね、である。いや、私が言いたいのは、イーロン・マスクではなく、今のスウェーデン政府の話なんだけど。
2018年に導入されて以来今年の7月まで27万人以上の気候変動に配慮した車の購入者に支払われてきた政府補助金が、突然廃止された。どれくらい突然だったかというと、月曜日に発表があって、水曜日からなくなった。
新車の購入を計画していた人にも、水曜日に新型フラグシップ電気自動車の発表を計画していたボルボなどの車業界とも、何のすり合わせもなく発生した超突然の出来事で、廃止に至った理由は「気候変動補助金がなくても、このような車の所有・運転コストは従来のガソリン車やディーゼル社の所有・運転コストと同じになった」というもの。補助金の額は購入した車がどれくらい二酸化炭素排出するかに合わせて計算されてきたが、最大で7万クローナ(約94万円)の補助金がもらえるものだった。これにより今年の7月までに合計100億クローナ(約1338億円)が支払われてきたと交通庁はまとめている。
この突然の発表をスウェーデンの自動車業界団体とこれまでの補助金政策を進めてきた環境党などの野党は猛烈に批判。政府の廃止理由には根拠がなく、またこの補助金の廃止は消費者行動に影響を与えるだけでなく、自動車業界の変革も足止めするとの声が巻き上がっている。
9月の選挙前の公約では、穏健党などほとんどの与党はガソリン車やディーゼル車を購入した場合のペナルティ税は撤廃したいが、電気自動車への補助金は残すといっていた。今回起こったことはその反対。選挙期間中から補助金の撤廃を掲げていたのはスウェーデン民主党のみで、今回のこの急な発表の影にはスウェーデン民主党の影響力がある。
昨日COP27からのニュースと同時に報道されていたのは、スウェーデン民主党の国会議員たちが、”国連総長が指摘するような気候危機はない、私たちは今気候危機のどこにいるとか、気候危機が存在するとかという科学的根拠はない”、と発言したり、アンケートでそう答えていること。スウェーデン民主党党首のジミー・オーケソンは、気候危機に「懐疑的」で、今の議論は宗教のようなものだと言う。
スウェーデンのこれまでの取り組みが「スウェーデンで昔は環境問題で進んでたのよね」というように、あっという間に過去の話となってしまわないといいんだけど。