30%の支持を集めた社会民主党が政権の座を明け渡さないといけないなんて、ちょっと割り切れない気もするが、木曜日を待たずに、昨日のうちにすべての開票は終わり、マグダレーナ・アンデション首相は辞任を表明した。社会民主党は過去20年で一番高い得票率を記録したのに、政権を握れないとは皮肉なものだ。記事は、この党が北欧全体でも最大の支持を集める政党になったことも伝えているが、左派陣営全体では過半数を獲得できなかった。
社会民主党は国政選挙では破れたが、ストックホルムを始めとする、いくつかの地方自治体で右派陣営からの巻き返しを達成している。一方、これまでスウェーデン民主党が多くの支持を受けていた地方自治体では、スウェーデン民主党への支持はより強化されたこともはっきりしている。アメリカで起きたような地域による分断がよりわかりやすくなってきたともいえるだろう。
さて、これからは
この秋以降はあのアメリカが経験した「トランプ状態」がスウェーデンにもやってくると考えるとしっくりくる。 右派ポピュリスト政党がもたらす安全保障上のリスク より
である。
火曜日に出たダーゲンス・ニュヘテルの社説は「スウェーデンはこの危険に満ちた時代に危険に満ちた道を歩んでいる」という一文で始まっていた。長らく右派第一党であった穏健党は極右政党スウェーデン民主党に追い越され自信を喪失し、穏健党党首のウルフ・クリステルションが首相になるにしても、その首根っこはスウェーデン民主党に掴まれているから、というのが社説の論旨だ。穏健党は政策をまとめるために、これからは、より極端な思想をもつスウェーデン民主党の意見を取り入れていかなければならなくなる。
社説は穏健党はスウェーデン民主党と組まずに、マグダレーナ・アンデションの社会民主党と手を握るという道もあるが(右派陣営の自由党もスウェーデン民主党と協力体制を築くことに強く反対している)、それはかなり難しいだろうとまとめている。
クリステルション党首がアデンションと手を組むというそんなミラクルな技を使ってくれば面白いが、社説が指摘するように、支持を減らした穏健党がそんな手段をとるのは難しいだろう。アメリカがあんなことになっちゃって、という幾分他人事だった事態が、これからこの国でも始まるらしい。