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涙と冷笑

水曜日の国会で、社会民主党党首で元首相のマグダレーナ・アンデションが、穏健党党首で現首相のウルフ・クリステルションとの答弁の最中に泣き出しそうになったことから、SNSは彼女を嘲笑う投稿であふれた。

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クリステルションは、社会民主党のジャマール・エル・ハジ国会議員が今年の春にマルメで開催されたパレスチナ会議に参加したこと、そしてこの会議の主催者がハマスの中心人物との報道があったことを受け、「社会民主党の中にはテロをロマンで語るような文化がある」と批判した。

アンデションはエル・ハジ議員を擁護し「彼の息子の妻の家族は数日前にみんな殺された。36人も。あなたはそれでも彼をテロリストのロマンティストだと避難するのか。ハマスを支援していると」と発言する前に声を詰まらせ、涙をこらえようとしているのは明らかだった。

「ひどい非難だ、一国の首相ともある人が、どうしてこんなことができるのか」との言葉で答弁を終えたアンデションだが、その後は右派系大手新聞の論客が「アンデションが披露したのは、哀れなパフォーマンスだ。大げさでバカバカしい」と投稿するなど、数多くの嘲笑にさらされた。

ダーゲンス・ニュヘテルの文化副局長のオーサ・ベックマンは、「感情表現としての涙は、女性らしさや弱さを連想させるため、馬鹿にされる。では暴言や憎悪や怒りも哀れな感情表現だろうが、そうはならないのはなぜだ」と力強く書くが、最後は落胆でこの小文を終える。

「すべてが疑われ、すべてが冷笑され、尊厳など残っていない」

「あまりにも悲しい時代だ」、と。

オーサ・ベックマン「尊厳はどこにも残っておらず、マグダレーナ・アンデションの涙は嘲笑される」(ダーゲンス・ニュヘテル)

© Hiromi Blomberg 2023