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若者の社会問題への関心低下と民主主義への信頼減少

スウェーデンで毎年行われている「若者バロメーター」調査。1万5000人の若者への最新の調査報告書では、若者たちの社会問題への関心の低下と民主主義への信頼の減少傾向が顕著に現れている。代わりに重要性が増しているのは友人の存在だ。

調査を担当している企業のCEOであるウルリック・ホフマンは、若者たちは未来に関して暗い見方をしているとまとめる。15歳から24歳の若者たちの間での政治への関心は2018年の50%から2023年には38%まで低下した。

自らを反人種主義者、フェミニスト、そして環境アクティビストとみる若者の数も減少している。ダーゲンス・ニュヘテルのインタビューに答えていた社会問題に関心のある女子高校生のひとりは、以前より人種差別的で反フェミニズム的なジョークを多く耳にするようになったと言う。

社会の最重要課題として気候・環境問題を上げる若者が一番多いことに変わりはないが、その関心は2021年以降14%減少して55%から34%になった。また若者の二人に一人は政治家を信頼しておらず、56%が政治家はスウェーデンが直面している問題を解決できないと考えている。

将来に対して暗い見方をする一方で、代わりに友人との時間など他のことに集中する若者が増えている。友人や両親などとの親しい関係を優先し、安心の象徴とも言えるペットに関心を持つ若者も増えている。

また、民主主義が最良の政治形態であるとは考えない人の割合は増加傾向にあり、男子に限ると今回の調査では5分の1にあたる19%の人がそう回答した。今年の頭に発表されていた別のオピニオン調査のVerianでは、以前より顕著だった若い男女間の政党支持率の差がますます拡大傾向にあることが指摘されていた。

18歳から29歳の男性では、極右政党のスウェーデン民主党が28%と最高の支持率で、2番めが右派中道の穏健党で21%。同年齢の女性では中道左派の社会民主党が37%でトップで、それに続くのは左党で17%だ。若い女性はジェンダー平等、教育、医療を重要視し、男性は法と秩序、移民問題をに関心を持つ人が多いということなので、これは至極当たり前の結果なのだろう。

こちらの調査ではこの男女間の政党支持率の差は、年齢が上がるほど縮まる傾向にあるのそうだが、まったく明るい話のない今も世界情勢を考えると、これからの世代では、ますます男女間の差が拡大していくのかもしれない。

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© Hiromi Blomberg 2023