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電力をめぐる危機と好機

さて、こちらのこのニュース、ちょっと読んだだけでは、どう評価したらよのかわからない。

『衝撃的な電気料金と電力危機にも関わらず、スウェーデンは電力輸出で過去最高を記録』

他の国に売っている余裕があるのなら、国内でもっと安く電力を売ってくれ、と私が思ってもおかしくない(ですよね?)。いったいどうなっているのか? 書かれていることを順番に要約してみる。

  • スウェーデンの家庭は電気料金の高騰で打撃を受けている
  • にも関わらず、スウェーデンの電力輸出は2022年過去最高を記録
  • スウェーデン環境保護庁によると、スウェーデンでの電力余剰はこれまでになく多く、またスウェーデンからヨーロッパに輸出された電力は化石燃料を使わないので、ヨーロッパ全体での発電による二酸化炭素排出量は大幅に削減された。削減量はスウェーデン全体の交通セクターからの排出量に相当する
  • 余剰電力は主に風力発電による電力生産が増えたことによるもの。2000年代にはスウェーデンが電力を輸出できるかどうかは主に降水量、水力発電に左右されていたが、2013年から2020年にかけて4基の原子炉が閉鎖されても、風力発電の増加はそれを補って有り余るものとなった
  • 昨年は合計170TWhの電力を生み出し、そのうち33TWhを輸出した
  • 輸出された電力のほとんどはスウェーデン北部で生産され、そのほとんどはフィンランドに輸出されたが、他の近隣諸国にも販売されており、またこれらの北欧諸国に販売された電力の一部は、最終的にバルト三国やドイツ、イギリスなどにも送られている
  • スウェーデンが電力を輸出する国の発電による二酸化炭素排出量は、1kWhあたり平均250gだが、実際には輸入された電力は化石燃料で作られた電力を代替することが多く、その場合の二酸化炭素削減量は1kWhあたり400〜800gに相当するとスウェーデン環境保護庁は試算する
  • つまり昨年のスウェーデンの電力輸出から、少なく見積もって800万トン、最大で1500万トン相当の排出量を削減した可能性がある。これはスウェーデン国内の全交通機関から排出される二酸化炭素排出量とほぼ同程度である

全体で二酸化炭素排出量が減ったのはいいが、私たちスウェーデンの南部に住む人の電力料金をどうにかしてくれないだろうか?

スウェーデンの各家庭での電力使用量は、みんなの涙ぐましい節約によって減っている。にも関わらず、12月の電気料金はものすごく高かった。うちではこれまで2500円程度だったものが、5000円程度になったくらいですんだが、2万円が4万円になったりした人たちは大変だろう。

そして、北でだぶつく電力は、北から北へとフィンランドへ流れ、こちらスウェーデン南部にはやってこない。送電網の問題の解消には時間がかかる。やはりこの先は住民をもっと北に移住させるというのが、てっとり早いのか?

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衝撃的な電気料金と電力危機にも関わらず、スウェーデンは電力輸出で過去最高を記録(SVT)

© Hiromi Blomberg 2023