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歴史的なEUの気候変動対策関連案が可決されたのだけれども

4月18日(火)に欧州議会で、気候変動対策関連法案が可決された。これが何を意味するのか、SVTの気候変動問題解説員が説明していたので紹介したい。

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今回、欧州議会が承認したのは、2030年までに二酸化炭素排出量を2005年比で62%削減するという改革案。同時に環境規制の緩い国からの輸入品に、事実上の関税を課す「国境炭素税」の導入も承認された。

世界初の取り組みとなるこの国境炭素税は、鉄鋼やセメント、アルミニウム、肥料、電子機器、鉄鋼などの輸入品を対象とし、2026年以降でEUへの輸入品に課税される(ただし150ユーロ未満は無課税)。これによりEU内の企業が、環境規制の緩い地域からの輸入品への競争力を保つことや、EU内の企業がそのような地域へ移転することを防ぐのを目的とする。

さらに同時に二酸化酸素排出量の取引権に関わる取り決めも変更され、これまでは取引権の対象外だった航空や船舶も枠組みに入ることになり、これによ航空機やフェリーなどの料金が高くなることが予想されている。

化石燃料を使った電気料金も同様で、これがEU域内の生活者の暮らしを直撃する可能性が高いので、そのような生活者や中小企業のために、社会的な気候基金も導入される予定であることをこの記事は伝えている。資金の申請は各国政府だけができる仕組みだが、政府はこれで補助金をだしたり、また再生可能性エネルギーの促進にも使われる想定なのだとか。

18日には欧州環境庁(EEA)によるEUの新たな排出量統計も発表され、パンデミック後の2020年から2021年にかけて排出量は増加したものの、大きな流れではEU全体の排出量は減少を続けており、温室効果ガスの排出量は1990年以来30 %減少した。EU全体の経済は同時期に61 %成長したのに関わらずだ。

世界の中ではかなりラディカルな今回のEUの取り決めを手放しで喜べない、複雑な気持ちなのは、これは今すぐ全世界でやらないといけないレベルのことだと思うのだけれど、まだまだそこまで議論が向かっていない国がたくさんあるという…いや、きっとこのEUの取り組みが世界を変えていくと信じるべきかな。

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© Hiromi Blomberg 2023