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高校の授業をめぐる議論で思い出す、スウェーデンのとってきた長い道のり

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コロナ禍でも、小中学校にあたる基礎学校は閉鎖しなかったスウェーデンでも、高校と大学の授業は春以降リモートで行われていた。が、その高校生たちがもう一週間もすれば秋の新学年期からは学校に戻る。

高校生たちが一斉に学校に戻ればバスなどの公共交通機関が混み合うのは確実で、各関係機関はどう対応するかのプランづくりに追われている……というよくありそうな記事を読んでいて、いかにもスウェーデン的だなと思ったのは、こんな短い記事の中でもこの出来事をめぐる関係者のそれぞれ異なる立場と意見をきちんを網羅してあることだ。

記事はまず、スウェーデンに来てまだ2年しかたっていない移民の高校生が学校に戻ることを楽しみにしていると話す短いコメントから始まり、続いてコミューンの学校教育の担当者が授業の時間割や食堂でのランチのとり方をどう工夫するか知恵を絞っている話へと続く。

授業の開始時間を遅らせることに話が及んだ後は、教育担当大臣のアンナ・エクストロームの「学生が通学に使える交通機関をきちんと運行させる責任は、まずは公共交通機関側にある」というコメントを載せるが、話は教職員組合の副代表が「リモート教育や授業開始時間を遅らせることは、生徒を困惑させ、教師の仕事量をぐんと増やすことにつながる」と述べるインタビューへとつながっていく。

教師側の立場で話す彼女は「通勤通学時の混雑を減らすことは、高校が対応する問題ではなく、まずは公共交通機関の問題として捉えられるべきだ」と付け加える。そして記事は最後に、ウプサラではコミューンが生徒の自転車通学を促すための活動が始まったと書いて締めくくられている。

学校の授業開始時間を遅らせたり、リモート授業へと切り替えたりすることで交通機関の混雑には対応できそうだが、そうすると教師にしわ寄せがくるとはっきり示されているのが記事のキモで、「誰か」だけが我慢を続けることが前提の、持続可能性のない枠組みは避けるべきなのだ。だから、これからも異なる立場の人達が意見を戦わせながら落とし所を見つけるための努力を続けていくことになる。

スウェーデンはコロナに限らず、これまでもずっとこうして異なる立場と意見の人が議論を重ね、社会的問題や課題を解決し続けてきた、とまではいわないけれど、少なくとも前に進めてきたことに改めて思いを馳せる。議論し続ける、声を上げ続けてくのは大変だけど大事なこと。だれかが声を出さずに我慢をするということを続けていけば、社会はもっと軋むだろうから、ね。

高校はリモートでも授業ができることに