swelog ニュースで語るスウェーデン

スウェーデンの気になるニュースを毎日伝えるブログです

教育

PISAの結果でお嘆きの皆さまへ・先生の給与を上げよ!

先週発表されたPISA(OECD生徒の学習到達度調査2018年調査)で、スウェーデンの生徒の読解力が低下していることがニュースになっていたが、これに関してダーゲンス・ニュヘテルで人気コラムを執筆しているアレックス・シュルマンが、簡単で強力な解決策を提…

中学2年生を対象にした民主主義理解度テストで、男女間格差拡大

日本は参加してないそうだが、世界には中学2年生を対象に、民主主義や市民参加についてどれほど理解し、21世紀の市民としての自分の役割を引き受ける準備ができているかについてを調べる、ICCSという調査があるそうで、この程2022年の調査の結果がまとまった…

「もうこれ以上、火消し役には回れない。火よ、燃え上がれ」

との抗議の声を上げていたのは、ストックホルムの教師、生徒、そして保護者たち。先週の土曜日に数千人が集まり、学校への予算削減に対抗するデモが行われた。 スピーチに立った教師の1人は「削減された予算を補うために、私たちが身を粉にして働くという状…

AI保護者

日本とスウェーデンの両方の国で中学教師として働いたことのある友人が、スウェーデンでの教職は自分の裁量部分も多く、その面でやりがいを感じるが、日本では誰でももっているような「先生」にたいするレスペクトのようなものがあまりないのが、時々つらい…

高校から育てるホワイトハッカー

エステルスンドにあるストールフォー高校(Storsjögymnasiet)では、来年度からサイバーセキュリティーと倫理的ハッキングのためのホワイトハッカーを育てるための新しいプログラムを開始する。ホワイトハッカーは注目の職業だが、高校での特化したプログラ…

スウェーデン当局はなぜ小さなこどものスクリーンタイム制限推奨をしていないのか

先日、ノルウェーの公衆衛生に関する行政機関、公衆衛生研究所が発表したのは、2歳までの子どもはスマホやタブレット端末などスクリーンの使用をすべて避けるべきだという推奨。これは2019年WHO(世界保健機関)が発表したスクリーンタイムに関する新たなガ…

負け組をつくったスウェーデンの学校改革の失敗

1990年代の終わりに行われた学校制度の改革が、生徒個人にも社会全体にも悪い結果をもたらしていることは研究などから明らかなのに、どの政治家もその問題を取り上げようとしない。 25年以上も前から毎年問題になっているのは、日本の小中学校に相当するスウ…

読書と階級 swelog weekend 46

swelog weekend nr 46 〈今週のトピック〉 読書と階級〈今週のブログ記事〉 オリンピックとメロディフェステバーレン〈今週のスウェ推し〉 大きなチャレンジは週休2日で swelog.theletter.jp 今週は、スウェーデンで格差の広がる教育の現場を取材した話題の…

スウェーデンのギフテッド教育

特に才能がある子どもたち、英語でギフテッド、スウェーデン語でsärbegåvadと呼ばれる子どもたちに、自治体はどう対応しているかがニュースで取り上げられていた。 スウェーデン学校庁のテーマページによると、スウェーデンではなんらか分野で同世代の標準よ…

学校株式会社 swelog weekend 40

swelog weekend nr 40 〈今週のトピック〉 学校株式会社〈今週のブログ記事〉 「大企業経営者のための気候変動学校」〈今週のスウェ推し〉 Veganuary swelog.theletter.jp 今週のトピック記事はスウェーデンで認可されている株式会社形式の学校について。 ス…

教育大臣が「世界の悪い見本」と嘆くスウェーデンの現状

「世界の中で悪い見本となっており、こんなことを続けているのは国際的にみてとても恥ずかしいことです」と話すのは、新しくスウェーデンの教育大臣になったリーナ・アクセルソン・シールブロム。 スウェーデンで初めて、トランスジェンダーで大臣となった彼…

コロナ禍で進む母国語デジタル学習相談

スウェーデンでスウェーデン語を勉強し始めた時に、学校には教科を教えてくれる先生以外に学習や進路相談や、勉強以外の相談もできる係の人がいると教えてもらって驚いた覚えがある。 そんな学習相談、特に新しくやってきた移民などスウェーデン語での学習が…

学校、株式と利益、そして格差

週末はずっとスウェーデンの基礎学校(日本の小学校と中学校相当)と、また進学と職業コースの高校でそれぞれ使用される社会科の教科書を読んでいて、本当に勉強になることばかりだったのだが、やはり一番関心したのは小学校向けの教科書である。「社会人」…

スウェーデンの変わる性教育

「セックスのやり方はアダルトサイトやポルノ動画からではなく、学校がきちんと教えるべき」。 若者がアダルトビデオなどを参考にして行う乱暴なセックスにより、怪我をしてしまったりセックスがトラウマになる女の子たちが絶えないことなどを背景として、こ…

高校の授業をめぐる議論で思い出す、スウェーデンのたどってきた長い道のり

コロナ禍でも、小中学校にあたる基礎学校は閉鎖しなかったスウェーデンでも、高校と大学の授業は春以降リモートで行われていた。が、その高校生たちがもう一週間もすれば秋の新学年期からは学校に戻る。 高校生たちが一斉に学校に戻ればバスなどの公共交通機…

旅行にもいけない若者は医療を目指す

今年ぐんと増えた大学への出願。その中でも目立ったのが看護師や医師など、医療従事者養成コースへの出願だ。出願者の中で今年高校を卒業したばかりの人たちの出願傾向をみれば、看護師へのコースは前年比で28%、医学部への出願は26%増えている。 コロナで…

増える学ぶ人

大学などの高等教育機関へのこの秋からの秋年度へ登録申込者数が、昨年比で13%増加した。スウェーデンでは年に2回高等教育機関への入学・受講申し込みができるが、今回はこれまで最高だった2014年の39万人と比べても約4%増となり、合計で41万人に迫る勢い…

「グルーミング」に対抗する知識をゲームで教える

(画像・「Parkgömmet」) 子供を性的に搾取することを目的として巧妙に取り入る手法を「グルーミング」と呼ぶそうだが(毛づくろいをするような優しさで子供に近づいていくらしい)、子どもたちがネット上で過ごす時間が増えるにつれ、その被害にあう子供も…

学校と自宅学習

オーランド(Åland)はスウェーデンとフィンランドの間のバルト海に位置する群島で、話されているのはスウェーデン語だが、政治的にはフィンランドの自治領だ。 そのオーランドへ、ある目的でスウェーデンから引っ越す人たちが近年目立っている。それは、子…

小学校でもマインドフルネス

マインドフルネスを積極的に取り入れる学校が増えている。 ヨーテボリにあるISGRインターナショナルスクールは現在4年生の3つのクラスで一日10分のマインドフルネスを取り入れているが、効果があまりにも目覚ましいため、今年から20のクラスに導入を拡大する…

小学校が備える無差別殺人対策訓練

スウェーデンの大都市の学校で働く職員に向けた銃などによる無差別殺人対策訓練が広がりをみせている。スウェーデン公共放送SVTの独自調査によると、マルメでは警察の協力を得た独自の訓練を2016年から今年までの3年間で市のすべての小学校の職員に実施した…

AIで中国に勝つためにスウェーデンの保育所は何をするのか? swelog weekend

保育所でのデジタルツールの使用を義務化 7月1日から施行された新学習指導要綱でスウェーデンの保育所でのデジタルツールの使用が義務化されたことで、幼い子供たちにタブレット端末を使わせることの是非を問う議論が再燃している。 スウェーデンでは保育所…

ジャンクフードをストライキで拒否する高校生

学校側がファーストフードで解決しようとした給食問題で、高校生がジャンクフードを食べることを拒否。学校給食をめぐる状況が変わりつつある。 スウェーデン西部のウッデバラにあるるトレーン・イノベーション高校では学校の移転に伴いそれまで学校が提供し…

何がテロを引き起こすのかを学校で考える

8年前の7月22日も、今日のような気持ちのいい夏の日だったことと思います。ノルウェーで77人が殺されたウトヤ島での悲劇を始めとする連続テロ事件が起こったのは2011年。 昨日、ノルウェーの文部大臣が発表したのは、このテロ事件を学校できちんを教えること…

スウェーデンの先生の状況から「恩師」という言葉を思い出す

5年毎に実施されるTALIS(OECD国際教員指導環境調査)の2018年の結果では、スウェーデンの先生の90%以上が自らの職業に満足していると回答。スウェーデンの先生、仕事大変だしお給料安いっていわれてるし、本当に大変だよなー、と常日頃思っていたので、こ…

ラマダンと給食と学力テスト

月曜日から始まった今年のラマダン。日中の断食は6月4日まで1ヶ月に渡って続く。 断食は大人がするもので成長期の子供はするべきではないとの見解が基本でも、自ら断食をしてみたい、もしくは友達グループの圧力で10歳くらいから断食をする子供もいる。中学…

子どもたちの心拍と成績

心拍数を上げる心拍トレーニングをとりいれる学校が増えている。 学校庁は、今年の秋の新学期から年に100時間を体育につかう課程要項を提案している。これは、今、男子の半数、女子に至っては5人に4人が1日に1時間体を動かす、という目標を達成できてい…

燃えつきる子どもたち

日本では高齢化した「引きこもり」問題が改めて大きな社会的課題として浮上してきているが、今日のニュースでスウェーデン語の「Hemmasittare (家で座っている人)」という新語をみた。 インタビューに答えていた11歳の少女アンナは9歳の時から2年、学校に…

家庭科で教えること

スウェーデンの小中学校にも「家庭と消費者」という科目があり、現在の教育要項では9年間合計で118時間学ぶことになっている。 この度、無作為に全国から選ばれた学校を対象とした実態調査で、学校検査局は、この科目のなかで料理に多くの時間が使われすぎて…

分断されていく学校

機能しない「選択の自由」 スウェーデンでは小学校から、生徒と保護者が望み、枠があいていれば通う学校を選択することができる。 制度は住居地により偏ったバックグランドの生徒ばかりになってしまわないようという意図もあり制定されたものだが、これがう…

© Hiromi Blomberg 2023