(2018年12月20日投稿)
概況
スウェーデンでは1990年近くまでテレビは公共の2局だけでそれも夕方から夜など限られた時間のみの放映だった。1987年にTV3がロンドンからの衛星放送で、また1991年にTV4が初めての民営地上波として開局するまでは受信料で運営されるスウェーデン公共テレビSVT(Sveriges Television) の2局のみだった。
2019年から公共放送は受信料から公共放送目的税を財源とする運営に切り替わる。
参考・当ブログ記事「受信料から公共放送税へ」
コマーシャルを主な財源とする民放や、近年ではネットフリックスなど有料ストリーミング放送の人気も高いが、スウェーデンの公共テレビもニュース、ドラマ、娯楽の分野で人気を誇っており人々の信頼も厚い。
ラジオ(ネット配信やポッドキャストを含む)の人気は根強く、日常的に聴く人は今日でもあまり減少していない。*1
公共テレビ局
現在スウェーデン公共テレビ放送 (Sveriges Television, SVT) は4つのチャンネルを運営している。
- SVT1 総合、ニュース、ドラマ、娯楽、スポーツ
- SVT2 ニュース、科学、文化、ドキュメンタリー
- Barnkanalen/SVT24 昼間は子供向けチャンネル。夜から朝にかけては主に他のチャンネルの再放送を行うSVT24
- Kunskapkanalen (UR (教育テレビ)との共同運営) 教育、教養番組
スウェーデン人のパブリックサービス・公共放送への信頼は厚い。2017年のSOM調査では78%の人が公共放送を信頼していると答えている。
【各メディアへの信頼度年齢別、年度別】
中でもニュースメディアとしてのSVTは信頼されているが、若い層ではネットで自分で直接ニュースを探したり深掘りするのを好む傾向がありニュースの入手先としてGoogleをSVTと同程度に信頼している結果になっている。
【2017年のメディアへの信頼度 メディア別、年齢別】
なお、SVTは国が所有するものではなく独立した委員会の元で運営されており、政権からの自立性を保った機関である。SVTは自らの最も大切な役割として「国民の生活に大きな影響を与える行政とさまざまな組織や企業を厳しくチェックすること」を上げている。
現在、新聞のウェブ記事は有料で購読者以外はアクセスできないことから、このブログでも国民の信頼度が高くかつ誰でもアクセスできるSVTのニュースサイトからの引用を優先的に採用している。
また、SVTで放送される番組は、2006年から始まったSVTのネット上のオンデマンドサービスSVT Playで、同時視聴並びに放映後も30日以上アクセスすることが可能である。
SVTの主なニュース番組は次の通り。
- Morgonstudio (SVT1) ニュース報道とゲストからのコメントを主体とする平日の朝の総合ニュース番組
- Rapport (主にSVT1) 今日の主なニュース。毎日18時、19時30分の他、一日数回放送
- Aktuellt (SVT2) ニュース解説、分析。 土曜日を除く毎日21時より
民放テレビ局
民放のテレビチャンネルは多数あるが独自でニュース番組を制作しているのはTV4とTV5に限られる。TV4ではSVTと同様、朝と夜に充実した内容のニュース番組を制作、放映。
公共ラジオ局
SR (Sveriges Radio)はP1からP4まで4つの主な放送局を運営している他、フィンランド語、サーメ語の局もある。
12歳から79歳のスウェーデン人の60%にあたる420万人が毎日SRのなんらかの番組を聴いており、中でもP4のリスナーが一多く、320万人となっている。*2
- P1 ニュース解説、ドキュメンタリー、文化
- P2 音楽(クラッシックとジャズ)とスウェーデン語以外の番組
- P3 若者向けのラジオ
- P4 各ローカル局のニュース、交通情報、スポーツなど