swelog ニュースで語るスウェーデン

スウェーデンの気になるニュースを毎日伝えるブログです

軍事・安全保障

エル連載 「核兵器の持ち込み禁止」を求める平和団体。スウェーデンと日本…共通する裏の顔

今回は「スウェーデンの平和と調停協会」のリンダ・オーケストロームさんへのインタビューを中心にこの団体がこれまでに行ってきたこと、現在の課題についてまとめています。 「核兵器の持ち込み禁止」を求める平和団体。スウェーデンと日本…共通する裏の顔 …

「NATOは強固な壁でなく、薄っぺらなカーテン」

世界にはひとつくらい日本のように「戦争しません!」って国があったり、スイスやスウェーデンのように「中立でっせ」っていう国があるのがいいと思っていたので、このままトルコやハンガリーがスウェーデンのNATO加盟にいちゃもんをつけ続けて、加盟交渉は…

戦争に備える北極圏での裸の訓練と、デジタル化されるヴァーサ博物館

私は何を見せられていて、何を考えなくてはならないのか、を考える。 1つ目のニュースは北極圏のルレオにある空軍の基地F21航空団での徴兵された新兵への訓練の様子。マイナス10度で雪が降りしきる中、彼らはサリンなどの科学攻撃を受けた場合の除染のやり方…

戦争とトイレ

スウェーデン人は食料や水の備蓄したりや太陽電池で動くラジオを買ったり暖房対策を整えたりと、近くやってくるかもしれない戦争にせっせと備えているが、肝心なことを忘れているのではと指摘する記事があった。トイレ問題だ。 戦争で地域全体が停電すれば水…

兵役を望まない若者たちも徴兵へ

昨年から続いている『スウェーデンについての歴史の話』の最新回で扱っていたのは1600年代で、その中で兵隊に取られたくないので自分で自分の足を斧で切り落としてしまう(ことを想像させる)農民が描かれていた。 swelog.miraioffice.com 長く続いた平和を…

戦争に備えよ、と言われましても

テロの脅威が高まっているので注意せよ、というならわかる。スウェーデンでは去年の夏以降ずっとそうだ。(テロ警戒レベル4とは? - swelog ) 「戦争に備えよ」というのはちょっと違う。この言葉を受け止める私の方は、戦争はどんな時にも回避する努力を続…

2024年はこんな感じ? 軍事産業、徴兵制度、そして極寒の中のストライキ

世の中の雰囲気なんて、短い期間にすっかり変わってしまうのだな、スウェーデンってこんな国だったっけ?と昨夜のニュースを見ていて思う。 昨日、国王や皇太子も同席し開催された「国民と国防」会議での取材では、野党の社会民主党党首のマルガレータ・アン…

スウェーデン国防準備委員会が戦時重要企業指定制度、戦時警察の再導入を提案

スウェーデン政府が任命した国防準備委員会は、軍部、民間を問わず総合防衛力を強化する必要があるとの報告書を提出した。340ページに及ぶ報告書の中での政府への提案は多岐に渡るが、ニュースを読んでいてギョッとしたのが「戦時重要企業」や「戦時警察」の…

ロシアからの情報戦の激化、治安情勢の悪化の中で、自分の「ちょっと変だな」の感覚を信じる

スウェーデンには心理防衛庁という行政機関があって、様々な方面からのスウェーデンへの情報攻撃に目を光らせている。最近はイスラム過激派からの攻撃もすごいし、ロシアからの攻撃が拡大してきていることも常々指摘されてきた。 swelog.miraioffice.com 心…

嫌な予感しかしない、スウェーデンとアメリカとの防衛協力協定

NATO加盟の話、いろいろあってトルコも相当怒ってるだろうし当面進展はないんだろうなと思っていたら、昨日突然こんなニュースがあり驚く。普段アメリカ軍は沖縄から出ていってほしいとか、直近ではオスプレイ墜落のニュースとかに接しているので、嫌な予感…

軍事産業好調、女子中学生の体験入隊のニュースに、自分が受けた平和教育を思う

想像に難くないが、スウェーデンの軍事産業が好調だ。カールスボリで1870年代から弾薬を作っているNammo社では、ロシアのウクライナ侵攻後、北欧各国の軍隊からの注文が相次ぎ、今は人員を倍増させて3交代制でフル稼働している。 ニュースで印象的だったのは…

備えあれば憂いなし? 戦争に備え、大量負傷者受け入れ演習を行うスウェーデンの病院

ストックホルムの南部広域医療病院(Södersjukhuset)で、スウェーデンが戦争状態にあり、攻撃で負傷した人を一度に大量に受け入れるという想定の演習が行われた。 水曜日に行われたこの90分に渡る演習では、血糊で重症者に扮したエキストラ27人が、主にヘリ…

「軍に関するフランスの過ちをくり返すな」

激化する暴力の波を食い止めるため10月頭にスウェーデン政府が国防軍による警察の支援を決定したことに、フランスの研究者がフランスと同じような過ちを犯すな、と呼びかけている。 swelog.miraioffice.com 政治における軍隊の役割について研究しているChiar…

軍隊部隊で、女性が多数になるとどうなるか

今週、リンショーピングのヘリコプター飛行隊に今年の徴兵で集まった新兵86人が入隊したが、このうちの19名が女性だった。最近の徴兵の傾向として、訓練される兵士の数は増えており、また女子の割合も増えている。 7週間前に19名の新規徴兵が同飛行隊に配置…

「戦時配備要員」の暴力性

少し前から気になってブックマークしていた記事があって、今ちゃんと読んだら今年の頭に描かれた記事だったのだけれど、内容はやはり気になるものだったので書いておこう。 スウェーデンの軍隊の要員ではないけれど、行政や自治体、そして民間企業に働いてい…

防衛費増額のために、なくなる祝日

今日は、え、お隣でこんなことが起こっていたんだ、というデンマークの話。デンマークは、NATO加盟国の目標である、GDP2%の防衛費を2030年までに達成するために、337年間の伝統であった祝日を廃止するというのがそのニュース。 廃止が決まり、昨日が最後と…

プーチンのスパイ

少し前から、ロシアからのスパイに関するドキュメンタリーの告知をチラチラと見かけていたのだけれど、今朝起きたらSVTニュースサイトのトップが「プーチンのスパイ」関連ニュースで埋め尽くされていた。 今日放送されるSVTの人気の報道番組「Uppdrag gransk…

世界でも特出するスウェーデンやフィンランドの防衛費の伸び

スウェーデンは、2022年に世界で最も防衛費を増やした国のうちの一つで、この傾向はフィンランド、リトアニア、ポーランドなど、ロシアのウクライナ侵攻により軍備を補強してきた国でも同様だ。 国が小さいので防衛費総額で比較すると世界の中ではそれほど多…

世界14ヶ国から2万6000人が参加する「オーロラ23」軍事演習始まる

スウェーデンに引っ越してきて割とすぐの時期に、ルンドの広場に戦車が停まっていてその周りに軍服を来た人たちがいてびっくりしたことがある。それがどういう機会だったのか覚えてないのだけど、ある種の軍事演習だったのかもしれない。 昨日からスウェーデ…

中国系企業の安全保障上のリスクについて再び。

しばらくこの手のニュースを見かけなかったのだけれど、4連休明けの昨日の朝のトップニュースがこれだったので、書いておくことにしよう。スウェーデンには中国が所有する企業が1500社ほどあり、それはスウェーデンの安全保障上の脅威である、というのがその…

民間防衛隊への参加希望者が4倍に

スウェーデン防衛軍において、Hemvärnet(ホームガードの意味)と呼ばれるのは、民間人でありながら、危機の際には徴兵に応じ防衛軍に参加する人たちのことを指す。 防衛軍の重要な一部を占めており、救急隊員や救助犬に関わる人たちを除いて、ほとんどの人…

NATO加盟準備で増す、政府の単独決議権

戦争が勃発したり、領土に侵入される危険を防ぐために、スウェーデン政府は議会の承認を得ずとも、単独でNATOに軍事支援を要請できるようになる。スウェーデン国会はそんな歴史的な決定を今週行う見込みだ。昨日はこれまでスウェーデンのNATO加盟に難色を表…

第三次世界大戦は実はもう始まっている?

というタイトルのアフトンブラーデットの記事は、1937年7月7月の日本の中国侵攻への言及から始まる。ロシアの侵攻による今回のウクライナでの戦争で、プーチンはヒトラーと比べられることが多いが、実はプーチンがやっていることは、第二次世界大戦の前に日…

NATO加盟と核兵器の領土内所有について

昨日は原発の話だったが、今日は、原子爆弾、原爆の話です。 月曜日に報道されていたのは、フィンランドはNATO加盟に際して、領土内にNATOと加盟国の基地をつくらない、核兵器の持ち込みはしないといった制限はしないというニュース。サナ・マリン首相は土曜…

16歳よ、戦争に備えよ

社会防衛対策庁の「16歳」キャンペーンに使用されているビジュアル スウェーデンの社会防衛対策庁は、全国の16歳に向けて「戦争時の緊急事態に備えよ」という趣旨の手紙を来週から一斉に配送する。対象となっているのは、スウェーデンに住む、今年16歳になる…

ノルドストリームについてスウェーデン首相「情報は信頼できる情報源から」

あまりよくないことだと自分でも思うが、ここ数年、トランプが大統領になったり、コロナがやってきたり、近くで戦争が始まったりというニュースに触れていると、ちょっとしたニュースでは驚かなくなってきた。昨日の午後9時からアンデション首相を始め外務、…

スウェーデンの徴兵制 swelog weekend 77

今週はこちらです! 私がスウェーデンの今の徴兵の仕組みについて書こうと思っているうちに、ロシアでは部分動員令が発令され、徴兵から逃れようとする若者が出国する動きが相次ぐという事態になった。長く続いた平和を背景に、2010年にはいったい停止されて…

NATOへの加盟とトルコの戦闘機購入の関係

スウェーデンのNATOへの加盟手続きの状況が「新政府にとってもトルコの要求に答えていくはとても難しい問題となるだろう」という解説記事にまとめられていた。(政府の形はまだ決まってはないのだけれど) トルコはここのところスウェーデンでの選挙結果を見…

ロシアからの政治的難民を受け入れる

ロシアで投獄されている反体制活動家のアレクセイ・ナワリヌイの支持者の1人をスウェーデンが政治的難民として受け入れたことがニュースになっていた。 今回スウェーデンで難民として受け入れられることになったのはPavel Chuprunovさん。当初スウェーデン…

NATOと軍需産業 swelog weekend 66

ロシアが2014年にクリミアを併合して以来、スウェーデンの軍需産業は伸び続けてきたが、今回スウェーデンがNATOに加盟する道筋がはっきりとしてきたことで、軍需ビジネスはさらに伸びるだろうと各企業関係者たちが期待を寄せている ということで今回はスウェ…

© Hiromi Blomberg 2023