swelog ニュースで語るスウェーデン

スウェーデンの気になるニュースを毎日伝えるブログです

事件・犯罪

AIボイス詐欺が蔓延し、私たちは合言葉の世界に戻る

1年近く前「声が盗まれる」という話題をニュースレターで取り上げた時には、この犯罪はまだアメリカでしか確認されていなかったが、声をAIで複製し行う詐欺行為は、スウェーデンでも耳にするようになってきた。 swelog.theletter.jp 詐欺師のためのAIボイス…

進化するハッカー攻撃

私がルンドのアート系映画館でゆったりと『PARFECT DAYS』を観ていた頃、もう一つのシネコンではこんなことが起こっていたのか。 土曜日にスウェーデンの映画館チェーンFilmstadenや小売店のRustaなどの決済システムがハッカー攻撃を受け、販売システムが停…

スウェーデン最大の環境スキャンダル、カリンゲのPFAS訴訟で住民側が最高裁で勝訴

ニュースの中で、ものすごく、ものすごく、喜んでいる人たちを久しぶりに見た。 スウェーデン最大の環境スキャンダル、カリンゲのPFAS訴訟で最高裁が先の判決を覆し、住民たちの損害賠償を受ける権利があるとの判決を出したからだ。カリンゲにはスウェーデン…

「軍に関するフランスの過ちをくり返すな」

激化する暴力の波を食い止めるため10月頭にスウェーデン政府が国防軍による警察の支援を決定したことに、フランスの研究者がフランスと同じような過ちを犯すな、と呼びかけている。 swelog.miraioffice.com 政治における軍隊の役割について研究しているChiar…

マルメでギャンクによる銃撃や爆発事件が減った理由

最近の銃撃や爆発事件はストックホルムやウプサラに集中しており、一時はスウェーデンで一番恐ろしいところだと悪名高かったマルメでの暴力事件は減っている。2017年をピークとして銃撃事件は半数以下、爆発事件は6分の1以下まで減った。この数字の背景にあ…

暗黒の9月と軍隊

ギャング団の抗争で吹き荒れる暴力の嵐で、この9月だけで命を落とした人は12人。11人が射殺で、つい先日ウプサラ郊外の住宅地で起こった爆破事件でなくなったのは、ギャング団とは関係のない、標的の隣に住んでいた若い女性だった。ギャンク団の抗争で1ヶ月…

ウプサラよ

私が週4日労働やオーガニック食品の消費傾向について書いていた間にも、スウェーデンでは次から次へと大きなニュースがあり、それは突然地すべりで崩壊した高速道路のことであったり、ひっきりなしに起きる銃殺事件や爆破事件のことであったりする。 ギャン…

スポティファイでマネーロンダリング

スポティファイについてはこれまでもいろいろな側面からの記事を取り上げてきたし、スポティファイで再生回数をさまざまな方法で水増するという手口についても書いたことがある。 swelog.miraioffice.com 今回明らかになったのは、犯罪集団が麻薬取引で得た…

テロ警戒レベル4とは?

英国の外務省が、スウェーデンではテロが起こる可能性が非常に高いとして、スウェーデンへの渡航に際して注意するように自国民に呼びかけても、基準が異なるのでスウェーデン政府からの警戒レベル指標は変わりませんと、クリステルソン首相が話しているを聞…

スウェーデンで一番ギャング団の抗争に詳しいジャーナリスト、ディアマント・サリーフ。

昨日の記事でも名前を出した、犯罪関連事件を専門に扱うSVTのディアマント・サリーフ記者の長いインタビューがダーゲンス・ニュヘテルに掲載されていた。記事を読んで、そう言えば彼のことを何度かこのブログでも書いたことあるなぁと思い、遡ってみてみると…

銃撃事件についてスウェーデンがフィラデルフィア、シカゴ、シンシナティから学べること

取り上げてなかったけど、ここ2、3週間ほどギャング団関連の銃撃事件の報道が続き、また被害者や加害者の年齢も若年化している。ストックホルムは安全な街だと思うが、ヨーロッパ内で比較すると、今のスウェーデンほど銃乱射事件が多発している国もないとS…

表現の自由? 市民の安全? テロ計画と、そして裁判で負け続けていた警察

昨日の夕方ヨガのクラスに行って、帰ってきたらスウェーデンの日本大使館からの安全情報メールが届いていた。「スウェーデンにある教会を標的としたテロを計画した疑いのある兄弟がドイツで逮捕された。テロの標的になりやすいところに行くときは注意し、安…

パルメGPT

もうみなさんもお気づきかもしれないが、このブログはしばらく前からAIが書いている。取り上げたいテーマの傾向を入力して、これまで書いてきたブログ記事の傾向を分析してもらい、翻訳アプリを間にかませると、毎日スウェーデン語の記事を選び、そこから日…

TikTokで起きている犯罪

アフトンブラーデットが「TikTok」という言葉が含まれるスウェーデンの裁判所での判決結果700件を取り寄せて調査したところ、そのうち150件がTikTokの中で起きたり、もしくはこのアプリを何らかの形で利用した犯罪を取り扱っていた。その中でもっとも多いの…

気が滅入るニュースばかり、でも「市民的不服従」に再びパワーをもらう

土曜日の早朝、SVTのニュースサイトを覗いてみると、トップニュースは50代の男性の射殺事件、3つ目にはマルメで銃撃事件があり10代の若者4人が負傷したというニュース。そしてそれらに挟まれて2つ目に掲載されているのは、英国で30年ぶりに炭鉱が開設される…

北欧通信 94 銃撃事件と社会に蔓延するドラッグ問題は、「恥」で解決できるのか?

今週は、今一番の社会問題ではないかと思う、犯罪組織間で頻発する銃撃、銃殺事件と、その背後にある、ごく普通の人の間にも浸透しているスウェーデンでの麻薬の蔓延問題をとりあげています。 swelog.theletter.jp ***** 「北欧通信」はスウェーデンの気にな…

銃撃事件は詳細に報道するべきなのか?

1960年代から70年代の頭にかけて大人だった人は、どういう気持でニュースをみていたんだろうかと、思いながら今朝は起きた。 目が覚める直前まで見ていたのは頼りない気持ちでパリで迷子になっている夢で、これは先週からこの週末にかけて、パリでのイランへ…

ギャング団と犯罪小説 swelog weekend 88

今週はこちらのレターをお送りしました。 swelog.theletter.jp ****** 昨夜、生中継されていたノーベル賞の晩餐会、私はちらっと見た時にちょうどスヴァンテ・ペーボさんのインタビューをやっていて、あらためて、この人すてきな人だなぁ、と話を聞いている…

新たな大規模サイバーアタック

先週、失業保険の申請システムから、信用情報提供企業のシステム、さらに住宅組合の洗濯室の予約システムに至るまで、広範囲なサイバーアタック事件が起こっていた。これは数百社の顧客を持つITシステム提供会社Softronic社がサイバー攻撃を受けたことによる…

なぜスウェーデンでスパイ活動が活発なのか

10年に渡りロシアの諜報機関に属してスパイ活動を行っていたと起訴されている2人の兄弟に対しての裁判が始まった。また別の事件で、長年普通の住宅地に住んでいたロシアからの夫婦がスパイ活動で逮捕されるなど、スパイのニュースが相次いでいる。 スウェー…

この殺し合いはどこまでエスカレートするのだろう?

少し前にコペンハーゲンの大型ショッピングセンターで銃撃事件があって嫌な感じだなぁ、と思っていたところに、昨日はマルメのエンポリアというこのあたりの人なら誰でも知っているショッピングセンターで、また発砲事件があった。この事件により男性1人が死…

凶悪化する発砲事件と、その犠牲者の命を救う医師たち

今年これまでにスウェーデンで銃撃により殺された人は43人(8月15日現在)。警察が2016年に発砲、射殺事件に関して特別な統計を取り始めてから最も多い銃撃による死者数となっている。昨年は通年での死者数が45人だった。 一方、発砲事件数は現時点までに251…

ドメスティック・バイオレンスとペット

暴力被害者がペットを飼っている場合、ペットと一緒に被害者を受け入れているシェルターはほとんどない。NPO法人のVOOV(「暴力被害者のためのアニマルケア」)はこのようなDVによる緊急避難が必要な人のペットの受け入れを行っている。 VOOVのスポースクマ…

人を殺す暴力が繰り返される2022年という年

この嫌な感じとどう付き合えばいいのだろう。 安倍元首相が銃撃され殺されたことが報じられた昨日からわずか二日前の水曜日、スウェーデンではこの国のオープンな民主主義を象徴するアルメダーレンという政治集会で、子どもたちの精神衛生に関する行政施策に…

子どもを取り込む犯罪組織 swelog weekend 63

今週の記事はこちらです。 犯罪組織が年齢の低い子どもたちを取り込むことが増えている。成人と比べて子どもへの罰則が厳しくないことを背景に、武器や麻薬の売人として時には10歳に満たない子どもたちが犯罪に手を染める事例もでてきた swelog.theletter.jp…

語り始めた性的暴行を受けた男性たち

ルンド大学で男性への性暴力を研究しているハーンス・クヌッタゴードは「男性へのレイプは女性がレイプされるのと同じような場所で、あらゆるところで起こっている」と言う。 昨年スウェーデンで報告されたレイプの件数は9360件。このうち8686年が女性や少女…

取るに足らない意見と感情の増幅

イースター週末に起こったコーランを燃やすデモとその後パトカーなどの炎上と多くの警官の負傷へと繋がった暴動を受けて、SVTが世論調査を実施していた。 特定の個人や集団を不快にさせるデモは禁止されるべきだと思うかという問いに対して、55%は反対して…

叫び、怒鳴る人たち

それなりに長く生きているが、これまでにこんなにも怒鳴っている人を近くでみたことはなかったように思う。 土曜日にルンドのお花屋さんの前で花を選んでいたら、向かいのパン屋さんの入り口のあたりで、1人の女性がありったけの怒りと力で、何かにむけて怒…

仁義なき戦いをなくすには

「犯罪集団間の権力闘争が死者を出す銃撃事件を発生させている」とSVTの事件記者が解説しているのを聞いて、思い出したのが「仁義なき闘い」という映画のタイトル。映画は観たことがないが(観るべきなのなのだろうか?)、たしか広島のヤクザの間での紛争を…

人が人を殺すということ

昨日の夜に「詳しいことはわかっていません」と事件現場である、とある高校からレポーターが繰り返すマルメからのニュース速報を見て、なんだこれは、と思っていたら、今朝起きたら、二人の職員が殺された殺人事件であることがトップニュースになっていた。 …

© Hiromi Blomberg 2023