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シュールストレミング危機

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以前より「解禁日」感が薄れてきたとはいえ、昨日はシュールストレミングの解禁日だった。こちらの映像では解禁日を楽しみにして、70年の長きに渡り、毎年シュールストレミングを食べ続けてきたボーさんが、正しいシュールストレミングの食べ方を教えてくれているが、その実、今年は、シュールストレミングに使われるニシンが不漁で、関係者の間では「シュールストレミング危機」と呼ばれる状況だった。

シュールストレミングの缶詰工場を経営するするハンスさんは、不漁の原因は特定するのは難しいといいつつ、5月の産卵期に気候が冷えていたため、ニシンが浜辺に来なかったこと、またバルト海の大型トロール船による漁獲量増大による魚の枯渇、さらにアザラシや鵜といったニシンの天敵の個体数が増えすぎてしまったこと、などを理由として上げている。

幸い? 去年パンデミックでシュールストレミングはあまり売れなかったので、今年は昨年仕込んでよい具合に発酵している缶詰を市場に送ることができたそうだが、ハンスさんの工場では例年8000缶ほど仕込むところ、今年作れたのは約半分ほどの4000缶に過ぎなかった。この劇的な現状はニシンの漁獲量が減ったというだけでなく、痩せた個体が目立ちシュールストレミング缶詰用に使える太ったニシンが少なかったことによるという。

これまで普通にあったものは存在が脅かされて、さまざまな外来種は猛威をふるうというニュースをよく見かけるが、もっと心配した方がいいのだろうか?

(シュールストレミングの写真がなかったので、この間ストックホルムで食べた牡蠣の写真をどうぞ。スウェーデンでの牡蠣を出す店増えたなぁ。牡蠣は日本からの外来種が猛威を奮ってます。)

バルト海でのシュールストロミング危機(SVT)

© Hiromi Blomberg 2023