スウェーデンにはストライキはほとんどないことを記事にしたけれど、労働条件に関するデモは時々見かける。少し前には助産師の労働条件に関する大規模抗議デモがあったし、先週くらいからデモを行っているのは消防士たちだ。これは現在の勤務シフト体系が、EUからの指令に合わせ、より短いシフトを数多くこなす形へとこの10月から変更されることになり、これに抗議するもの。
スウェーデンには5000人の常勤の消防士と1万人の非常勤の消防士がいるそうだが、これまでにそのうちの3000人が消防士の勤務体系をEU指令の適応から除外することを求める嘆願書に署名し、火曜日にはストックホルムで数百人の消防士によるデモも行われた。
このEUの指令は24時間のうち少なくとも11時間の休息を取ることを義務付けており、そのため、消防士たちは現在24時間続けて勤務する代わりに勤務日数は少ない形からの変更がなされ、よく多くの日数また1ヶ月の勤務時間が増えることにもなる。先にあげた嘆願書への署名を集めている消防士たちのグループは、このまま進めば消防士の大量辞職が発生するだとうとコメントしており、多くの消防士たちは、今の勤務体系の上に生活を乗り立たせており、変更があると職業と子育ての両立が難しくなる人も多いという。デモに参加していた消防士さんのほとんどは男性だったが、ここで子育ての話がでてくるところがスウェーデン。
突然湧き上がってきたこの消防士たちの勤務体系問題は、EUからの指令が新しく発令されたものだと思っていたが、インタビューに答えていた労働担当大臣によると、この指令は実は20年前からあるもので、加盟国が達成すべき目標で、実際の方法は加盟国が自由に決めることができた。記事からははっきりわからないが、今回はこの指令が強化されたのかもしれない。
いずれにせよ、スウェーデンには労使協約があるので、消防士たちは自分たちの職種に指令からの例外が適応されることを願っている。対するSKR(全国自治体雇用者連合)側は、例外は認められないとコメントしている。EUからの指令とスウェーデンの伝統的な労使協定が合わない例は、最低賃金制度にも見られたけど、そう言えばあの話はどうなったのかな?