swelog ニュースで語るスウェーデン

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持続可能なロウソク

スウェーデン人はヨーロッパの中で最もロウソクを消費する国民で、その消費量は一人当たり年平均4キロ。スペインではこれが0.5キロになる。北欧の冬にロウソクの明かりは欠かすことのできないが、ロウソクは原料に気をつけなければいけない商品でもある。現在スウェーデンの小売店で売られているロウソクの約7割は石油を原料とするパラフィンから作られている。パラフィンは安価だが二酸化炭素排出量も、発煙量も多い。

クリスマスの時期に年間売上の約40%を販売するという、1839年創業の老舗ロウソクメーカー、リリエホルメン(Liljeholmen)は、原料にステアリンと呼ばれる食肉産業から廃棄される動物性の油脂を使う伝統的な手法で今もロウソクを作る。

(リリエホルメンの最新のプラスティックフリーのパッケージ。ロウソクはもちろんステアリン100%)

リリエホルメンのロウソクの値段は高くて、なかなか気軽に買えないが、使い始めるとパラフィンのロウソクとはその品質において大きな違いがあることが実感できるし、気候危機にもよいので、お勧めする。そう言えば前にエルの記事でサステイナブル・クリスマスのトレンドに書いたことがあるのを思い出した。ロウソクについては、この記事でも触れている。スウェーデンで(いや、世界中でも?)一番よく使われているロウソクではないかと思われる、イケアのロウソクについても書いています。

www.elle.com

今日参考にした記事には、ロウソクに関する面白い逸話もたくさん書かれていた。今ではスウェーデンの教会でも当たり前になっている、訪れた人がロウソクを灯し、祈ることができる献灯台だが、以前は「カトリックすぎる」として受け入れられていなかったのだそう。

変化が訪れたのは1968年。ウプサラで予定されていた世界教会会議に参加する予定だったマーティン・ルーサー・キング・ジュニアが、会議の直前に暗殺され、その不在を象徴するために、2つの十字架をかたどった生命の樹・献灯台を設置し、これがその後全国に広がっていったのだそう。ということで、この時期教会に行く人も多いと思うのだが、スウェーデンの教会で献灯台を見かけたらキング牧師に思いを馳せよう。

明かりの工場での輝かしい時間・リリエホルメン(ダーゲンス・インダストリ)

© Hiromi Blomberg 2023