オペラの新作にはどのような題材が選ばれるであろうか。
このあたりの話にはまったく疎いが、ノーベル賞文学賞の選考機関であるスウェーデン・アカデミーの一連のスキャンダルが新作オペラの題材になるというのは、やはりちょっとめずらしいのではないだろうか。
(これがどのようなスキャンダルであったかについてのすばらしいまとめはこちら)
この一連の事件で毅然とした態度をとり続け、辞任したサラ・ダニウス前事務局長は以前から患っていたガンでこの10月に57歳の若さで他界し、この 金曜日に葬儀が執り行われた。一方で、ヘルシンボリのコンサートホールで来年3月を目指す新作オペラの制作が進んでいたとは。なんだか彼女の息吹が続いていくようである。
Makten och härligheten | Helsingborgs KonserthusHelsingborgs Konserthus
作曲はコンサートホールの責任者でもあるフレドリック・オステルリングの手によるもので、以前より彼は「今どきの話題も取り入れたオペラ作品も発表していかないと、コンサート会場はは高齢者ばかりでそのうち衰退してしまう」との危機感について話していた。
「権力と栄華(Makten och härligheten)」というタイトルになるこの作品は、ユーモアに満ちながら人々に深い印象を与えるものとなることを狙っている。リハーサル風景を撮影したビデオでは、サラ・ダニウスの古いアカデミー体質への戦いの象徴となった「ボウタイ・ブラウス(Knytblus)」のウィキペディアの説明が高らかに歌い上げられる様子が紹介されていた。
知性と教養に満ちてモードにも高い関心をもっていたサラ・ダニウスの魅力のひとつは、そのユーモアとインテリをひけらかさない気さくさにあった。本当にかっこよく美しく暖かい魅力にみちた人だった。彼女を偲ぶためにも「おもしろい」オペラへ、会場も大好きなコンサートホールだし、ちょっとでかけてみようかな?