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きちんと反論する場

ちょうど1年ほど前、テレビのインタビュー番組で一人の医師の話を聞いたことを発端として私の生活の形が少しづつ変わっていった。そこで話していたのはアンダース・ハンセンという精神科医で、話はスマホ、SNSアプリと心身の健康の関連性についてだった。

早速、彼の本(『Shärmhjärnan』)を買った私は、本で説明されていたスマホにハックされる脳、生物学的視点から説明されたストレスなどを理解し、スマホからSNSアプリを削除し、生活を変えていった。

新しいデジタル生活のルール|ブロムベリひろみ|note

この時私は知らなかったが、ハンセンはこの本の前にも、運動と脳、精神の持ちように関する本を書いており、こちらはすでに日本語にも訳されていたので(『一流の頭脳』)私は引き続きこの本も読んだ。そして私は走る人になった。

新しい運動のルール|ブロムベリひろみ|note

結果、私は毎日気分よく過ごせるようになり機会があれば人にもこのことを話していたが、ハンセンの本が話題になると「彼は何でも進化論に結びつけて話を単純化しすぎる」という意見の人にも最近よく出会うようになった。

そして昨日スウェーデン最大の日刊紙、ダーゲンズ・ニュヘテル(DN)がヨーテボリ大学で博士号をとった社会学者、ヨハン・アルフォンソンによるハンセンへの反論を掲載した。

昨日すぐにアルフォンソンの反論を読めなかった私は、今朝一番にこれを読んだのだが、まずこの記事に既に70以上のコメントがついていることに驚いた。(DNのコメントは一応パーソナルナンバーと連携する仕組みで、匿名性はあまりなく、割ときちんとした意見が並ぶ)

アルフォンソンの主旨は、ハンセンはストレスをスマホの扱い方や運動といった個人の努力でなんとかするものにしてしまっており、ストレスを生む社会的構造(長時間労働など)を曖昧にするというものだった。

アルフォンソンの言いたいこともわかるが、そうだからといってハンセンの説明する頭が冴えたり、気分がよくなる手段を放棄する必要はない、と私は思う。

思い出したのは、これもちょうど1年前くらい前にベストセラー本『ファクトフルネス』へ反論をDNが掲載したこと。SNSでのガヤガヤ舌足らずの言葉の礫の応酬を見るより、編集者が掲載に値すると判断したきちんとした反論をしっかり読める方がよほどいい。

ファクトフルネスとグレタ・トゥーンベリ swelog weekend - swelog 今日のスウェーデンのニュース

そのためにも、これまでの新聞と同様の役割をはたすメディアはやはりなくなってほしくない。DNの経営はうまくいっているようだが、他の新聞はどうなのだろうか?

ヨハン・アルフォンソン「アンダース・ハンセンの極端な単純化は個人に責任を押し付ける」