スウェーデンに、すべての労働者を対象とする長期休暇法ができたのは1938年。これ以前からホワイトカラー層では休暇を取ることが始まっていたが、すべての労働者は平等であるべきという観点から、当時の共産党が議会に長期休暇の議論を持ち込み、社会民主党のペール・アルビン・ハンソン首相時代に制定された。
長期休暇の導入を紹介する当時のニュースクリップでは「すべての労働者に12日間の休暇」と説明されており、この頃は当然土曜日も働いていたのでこれは年に2週間の有給に相当する。
驚くべき、というか「あ、そうだったのか! やっぱり」と思ったのは「休暇は普段はできない活動にあて、リフレッシュすることを目的としてしっかり計画する」とされており、「だらだらと過ごすために使ってはいけない」と当初は理解されていたことだ。疲労回復のために使ってもいいとの理解はその後でてきた割と消極的なものだった。
私はスウェーデンで仕事についてから日本に行くなど長期の出張にでることが多かった。出張から戻ると、家でゆっくり過ごしたーい、と思っていても、その間家にいた夫は、私が戻ったら一緒に出かけたい旅行の計画をぎっしり立てて待っていてくれた。時差で朦朧としたまま、また旅にでかけ最初の2,3日は記憶がない夏休みも結構ある。
そっか、私の長期休暇に対する態度は最初からずれていたのか! 疲れは毎日8時間以上は働かないことでこまめにとって、長期休暇はだらだらしてはいけないのか。引越してきて20年も経つのに、今頃はっきり気がついたこの休暇に対する感覚のずれ…… うすうすは感じていたけれど。
さて、1938年には12日、まとめてとれば2週間だった有給は、現在では最低でも年間25日と制定されている。「年に5週間の休暇」があるときけば、日本の感覚ではすごいな、となるけれど、年に有給が25日ある人は日本でもざらにいるはず。だたスウェーデン人のように、毎年使い切ってしまうことを半ば義務だと思っていたりしないだけである。
いやー、困った。今日はだらだらしたいなと思っていたけど、昨夜夫が話していたお出かけ先に一緒にいくか? あ、でも今日は基本的にはただの(?)週末だからダラダラしててもいいんだっけ? それもだめなのかしら? あー、休暇が辛い。