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育児休暇取得のよくない傾向

日本の人から「スウェーデンはほとんどのお父さんが育児休暇を取得するんですよね、すごいですよね。100%ですか?」と聞かれることが時々あるのだけれど、すべての父親が2週間や1ヶ月程度育児休暇をとったところで、男女平等という点ではあまり意味はないし、そのような統計もないと思う。

(日本の内閣府もスウェーデンで父親の育児休暇取得率が高い点に注目しているが、まあこちらは男女平等というよりも少子化が問題の中心にあるのだろう)

(1)育児休業―各国で制度化、スウェーデンで高い取得率 2 仕事と家庭の両立支援: 子ども・子育て本部 - 内閣府

スウェーデンで問題にするのは、子どもの両親が、合計480日間ある育児休暇を男性、女性でより平等に取得すること。母親だけに育児休暇が集中すると、それは女性の賃金の低下、労働条件やキャリアの形成機会の損失、そして年金の減額につながる。男女間の年金格差は現在30%だ。

この度まとめられた新しい調査報告書によると、2019年に生まれた子どもの場合をみると、女性は男性よりもおよそ9ヶ月も長く育児休暇をとっていることがわかった。子どもが生まれてから最初の2年間でも育児休暇取得を社会保険庁の数字から見てみると、女性は有給休暇で8ヶ月、そして無給休暇分も合わせると13ヶ月近く仕事を離れていることがわかる。同期間で男性の場合は有給、無給の育児休暇を合わせて3.4ヶ月である。

そして問題なのは、最近の父親の取得状況にに減少傾向が見られるという点。レポートをまとめたTCO(労働組合連合組織)の責任者は「男女平等が停滞している」と言い、男女間の経済的な平等性を高めるには、育児休暇をより均等に取得する必要があると強調する。

ウプサラ大学のジェンダー研究者アネリー・ヘイレーンも「職場や家庭において、女性は多くの無償の仕事をするということに社会が慣れきっており、これが女性の経済条件を厳しくする」と、この調査結果にコメントしている。

ジェンダー平等の推進のためには、私たち女性は、この仕事なんで私だけやってるのかな?と疑うところからどうぞ。よければこちらの記事も。

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育児休暇取得傾向は以前よりも不平等に(SVT)

© Hiromi Blomberg 2023