あまりにも突然だったので、最初はフェイクニュースや冗談のたぐいなのかと思ったが、ステファン・ロベーン首相の辞任の意向は、本当の話だった。夏休みの間に自身と政党とスウェーデンの将来を、ゆっくり時間をかけて考えた上での決断だったようだ。
スウェーデンのロベーン首相が辞意、11月に与党党首も退く意向 - Bloomberg
夏休み明けのスピーチで突然伝えられた彼の辞意を知ることになったのは、大臣を含む、社会民主党のリーダーたちの間でも同様だったようで、多くの人がこの青天の霹靂にショックを受けていたが、同時にロベーンの決意を尊重し、2012年から党首を、そして2014年からはスウェーデンの首相を努めてきたロベーンに感謝の気持ちを表している。
考え方は違えども、対立政党の党首たちからもその熱心さ、誠実さ、スウェーデン政治に対する思いの深さなどを褒め称える言葉がよせられたロベーンは、最も困難に見舞われた首相として人々の記憶に残るだろう。(スウェーデン民主党のオーケソン党首だけはまったく褒めていなかったが)。
ロベーンはパンデミックに対応し、そしてスウェーデンの首相として初めて不信任案を出され、辞任にいたった首相でもあった。
危機に次ぐ危機の中を進んできたロベーンに、誰もがお疲れ様と声をかける中、今後の一番の注目は、スウェーデン初の女性の首相が誕生するのか、どうなのか? ということだろう。ロベーンの後継者として最有力視されているマグダレーナ・アンデション財務大臣は、彼女がNOと言わない限りは、11月の社会党の党大会で次期党首に選出されるはずである。
ステファン・ロベーンは明らかに疲れていたが、トップに立つものが権力に執着せず、役目を終えたらさっさと退場する決意をするのをみるのは、結構気持ちのいいものだと知りましたよ。