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スウェーデン国会のまったく「わきまえない女たち」

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不信任案を決議され首相を辞任した社会民主党のステファン・ロベーンは、国会議長による調整下でさまざまな経緯を経て(すみません、端折ったよ!)、昨日また首相として任命された。(このニュースは共同通信が配信しているので、こちらもどうぞ スウェーデンのロベーン首相、議会が再任 6月に不信任: 日本経済新聞

首相として任命されるには、ロベーンに反対する議員の数が国会の過半数となる175以上を超えないことが必要で、微妙なバランスでなりたっている今の国会の8つの党からの議員構成の中で、思わぬ形で鍵を握ることになったのが「野放し議員(Politisk vilde)」の元左党所属のアミナ・カカバヴェだった。

「野放し議員」とは、任期中になんらかの要因で所属する政党を離れた国会議員を指す。基本的に選挙は政党を選ぶ選挙で、また4%の得票率を獲得しない党からは議員は選出されない決まりのあるスウェーデンでは、このように無所属になってしまった議員は次の選挙では無所属のままでは決して再選されないが、任期中は議員として留まることができる。

カカバヴェは、名誉殺人問題や女性への暴力や虐待の防止活動で名を挙げた人物だが、政治家というよりは専門の問題に特化したアクティビストで、国会に出席しない、議会で投票しないなどの問題行動も目立ち、また意見の異なる人たちに誹謗中傷を行ったり、フェイクニュースを広げたりしたとして、左党から追い出された議員である。

Amineh Kakabaveh utesluts ur Vänsterpartiet

今回は彼女がどの票を投じるかがロベーンの運命を決めるためその動向が注目されていたが、個別に社会民主党と約束を取り付け、ロベーンの首相選出の邪魔をしないことを公表していた。

また、カカバヴェが既に自分の一票をロベーン側に投じることを約束したことで、実質的な意味は薄くなったが、ロベーンと対立する右派陣営についた自由党に所属しながら、自身の信ずるところを貫くために、ロベーンへの反対票を投じないことで意思表示をした議員もいた。

このニーナ・リンドストローム議員は2018年から19年にかけての政権成立騒ぎの中で、自由党が表明した「極右のスウェーデン民主党とは組まない」という決定が、今もとても重要な意味を持つから、と自身の投票行為について説明している。

”Därför gick jag emot Liberalernas linje och röstade gult” - DN.SE

カカバヴェもこのリンドストロームも、両者とも女性だったのは偶然だろうか?

自由党議員が党の方針に反して投票「選挙での公約を守ります」(SVT)

© Hiromi Blomberg 2021