一昨日のノルウェーでの事件のようなことが起こると、「近年犯罪は増えている」との私たちの理解にますます拍車がかかりそうだが、その認識は間違ってるという調査結果が今週発表されていた。
スウェーデンのスウェーデン国家犯罪防止委員会(Brottsförebyggande rådet)の
調査によると、今スウェーデン人の5人に4人までが、過去3年間で国内の犯罪が増えたと回答してる。犯罪学の研究者のマンネ・ゲレルは、この結果は想定通りだが、認識としては間違っていると解説する。
この調査(NTU・Nationella trygghetsundersökning)には16歳から84歳までの7万4千人が回答し(すごい数だな!)、その8割の人が「過去3年間でスウェーデンでの犯罪は大きくもしくは少し増加した」と思っていると回答した。一方、同じ調査で「犯罪にの被害にあったか?」との質問に対し「はい」と回答した人は、2019年の22.6%と比べて2020年では20.2%と減っている。
マンネ・ゲレルは、この現実とみんなの認識のズレは、銃撃事件など大きく注目を集めるタイプの犯罪が目立つことに起因すると説明する。この認識のズレはスウェーデンだけではなく、アメリカでもイタリアでもイギリスでも見られるといい、実際に犯罪が増えているか、減っているかに関わらず、毎年毎年犯罪は増え続けていると考えている人が多いという。
ゲレルによれば、この傾向が目立つようになったのは、当時犯罪が減り続けていた2000年代の頭の頃。私たちのメディアへの接触状況が変わってきたり、ソーシャルメディアが生活の中に入ってきた影響もあるだろうと言う。
しかし、生活の中で犯罪を経験した人が2割もいるって、びっくりするほど多い数字だと思うのは私だけか? この個人への犯罪には暴行、脅迫、性的犯罪、強盗、スリ、各種詐欺、サイバー犯罪などが含まれるそうだが、そう言えば自転車泥棒というのもあったな。
今回、犯罪遭遇率に関する結果はパンデミックの影響も考えられるということで、減少傾向が長期的なトレンドなのか、一時的な傾向なのかは、この先の調査も含めて考えなくてはいけない。
そして、犯罪の増減を届け出や検挙された件数でなく、遭遇率で考えるというのは理にかなっているように思う。これまで考えてみたこともなかったけど。