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私たちはなぜ信じ、騙されてしまうのか?

今週ストックホルム大学で開催された知識の力に関する学際的コンフェランスで、ダニエル・シモンズとの共著『錯覚の科学』で有名なクリストファー・チャブリスによる「なぜ私たちは陰謀論などをいとも簡単に信じてしまうのか、そして騙されないためにはどうすればいいのか」についての講演会があった。

チャブリスは前作同様シモンズと『Nobody's Fool』という新刊を書いたばかり。こちらの本では、超大型金融詐欺で大手銀行、著名人、慈善団体などから合計650億ドル(含み損ベース。約7兆円)の被害総額をだし、150年の懲役を言い渡されたバーナード・マドフのような人から、私たちは何を学ぶことができるかについて書かれている。

チャブリスが例として上げたのはマジシャン、イリュージョニスト、占い師、霊媒師、マーケティングの専門家、政治家(!)、詐欺師、偽造犯、ペテン師、マルチ商法やネズミ講に関わる人たちで、このリストではエンターテイメント性は頭から後ろに行くに従って低くなり、騙された時の深刻度は前から後ろにいくにつれ高くなる。(政治家をどこに位置づけるについては、議論の余地があるとチャブリスは言っているし、もちろん政治家、個々人による違いは大きいだろう)。

チャブリスはこれらの詐欺師はみんな同じ方法で私たちを混乱させ、信用させ、騙すと説明する。彼らのやり口と私たちの行動には以下のようなパターンがある。

  • まず私たちには人から言われたことを信じ、受け入れるという傾向がある
  • ひとつのことに集中していると、周りで起こっていることに注意が向かなくなる
  • 今起こっているように見えることが、起こるであろうと予想していたことと一致すれば、私たちは簡単にそれを信じてしまう
  • これまでに時間やお金を投資してきたものには、これからも信じたいと思っているし、信頼をよせたいし、よせることになる
  • 私たちの脳は、多く情報を集めて分析することよりも、できれば迅速かつ効率的に意思決定をしたいと思っている
  • 私たちは自分が知っているものに多大な信頼をおく。ゆえに詐欺師は著名人や信頼できる人たちを利用し、彼らと一緒にいるところをみせることでで信頼を構築する
  • 細心の注意を払って自信に満ちてされた発言なら、私たちは容易に信じてしまう

つまり、想定範囲で一貫性があり自信を持って発言されたことは疑われることが少なく、私たちはいとも簡単に信じてしまう。しかし、最も用心しないといけないのは、そういうもの言いを耳にする時だとチャブリスは言う。

なるほど、そうか! 論理が一貫していてこの人は素晴らしい! と思った時は注意する必要があるし、この人ちょっと頼りないな、と思った時は信頼できるのかもしれない。世の中、そんなにはっきり言い切れることは実はそんなに多くはない、というのは私の実感としても理解できる。

マドフは常々「今の法規制上、そんな大がかかりのねずみ講などはできるわけがないし、仮に彼や彼のスタッフが人を騙すようなことをしようと思っても、それを監視、阻止するための枠組みがウォール街にはある」と自信に溢れてリラックスした様子で堂々と説明していたという。

あなたが信頼をよせている人物の話に一貫性がありすぎてはいないだろうか?

コラム・あなたと私はこうして騙される(ダーゲンス・ニュヘテル)

© Hiromi Blomberg 2022