swelog ニュースで語るスウェーデン

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政府の気候政策にダメ出しをした気候政策諮問委員会とは

スウェーデンにはある時期に「権力は腐敗する、都合のいいようにごまかそうとする」ということを徹底的に考えた人たちがいて、それを防ぐためのさまざまな仕組みを作ったことが、今のスウェーデンの透明性の高い社会を支えているとつくづく思う。

スウェーデンの人は誠実でごまかさないととかではなくて、権力を握ったものは悪いことをするという前提の上、いわば徹底的に人を信じていないが故に、権力者がやっていることを監視しようとする仕組みがいくつもある。

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昨日の夜のトップニュースは、気候政策諮問委員会が「新政権がこれまでに発表した政策では、スウェーデンは気候目標を達成できない。排出量削減の先送りは深刻な事態をもたらす。スウェーデン国会が定めた気候目標を達成するためにはより強力な気候政策が必要だ」と年次報告書をまとめたことだった。

気候政策諮問委員会は8名の気候問題の学術専門家からなる2018年にできた機関で、年に一回スウェーデン政府の気候政策を評価し、報告書をまとめている。昨日発表された報告書は、政策の変更がこの20年間で初めて排出量の増加につながったことを深刻な事態とし、早急な政策転換が必要であることを指摘している。

またEUが気候目標を強化する中で、スウェーデンは逆に近い将来の排出量の増加につながる政策を発表しており、国として勢いを失っていると厳しく批判した。中道右派の穏健党が中心の新政権になってから、電気自動車購入時の補助金がなくしたり、鉄道網整備計画が中止したり、ガソリン税の一時的な引き下げなどを行っている。

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ニュースで厳しく批判する諮問委員会議長のセシリア・ヘルマンソンを見ながら、私が思い出していたのは日本でウヤムヤになってしまっている日本学術会議で6名の学者が任命されなかったというニュースなのだけれど、この件はこうしてウヤムヤなまま葬られるのだろうか?

気候政策諮問委員会・政府の政策は気候目標の達成に十分ではない(SVT)

© Hiromi Blomberg 2023