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猛暑の中の労働生産性から、新しい労働環境基準へ

一時は8月なのに手袋がほしい!と思うほど寒くなりかけていたけど、今週は25度前後の暑い日が続くよい天気。オフィスには短パン姿の男性がまだ大量にいる。

アメリカでの調査によれば、気候温暖化による生産性の低下は社会に多大な損失をもたらしており、暑さにより毎年25億時間分の労働力が失われているそう。Lancet Countdown(すごい名前の調査だな。奈落に落ちるまでの時間をカウントダウンしているのだろうか?)の2022年版の報告書は、2021年に世界全体で暑さにより失われた労働時間は4700億時間であると算出しており、国際労働機関(ILO)は、気候変動により2030年までにフルタイムの8000万人分の雇用相当の生産性が低下すると見ている。

スウェーデンには同様の統計はなく(なにしろ夏場はもとより働いていないし)、また暑さと労働に関する唯一の規制は1997年につくられたものが最新で、それは熱波の中で働くことを扱ったものではなく、熱を発生させる機械や工程での職場環境を扱ったものなのだそう。

スウェーデン気象庁(SMHI)の気候変動適応担当者は、は新しい労働環境基準の策定が必要だと話す。スウェーデンには「気候変動適応に関する国家諮問委員会」というのがあって、気象庁と一緒に2022年2月に最初の提言取りまとめをしている。報告書は気候変動により、森や海、飲料水や室内環境、保険、さらにはスウェーデンと他国との依存関係がどうなるかなど、多岐にわたってまとめられているが、トナカイ飼育環境がどうなるかについて1章割かれているのが、北欧らしい。

労働環境についていうと、スウェーデンでは1年の大半はまだ寒冷な気候のため、即座に冷房設備を導入するようなことは必要ないが、水分補給や休憩時間などをもっとよく考える必要があるそうで、ヒートアイランド減少を減らすため工業地帯ではもっと緑地化を進める必要があることも指摘している。

気候に関する国家諮問委員会って、なんかよく似たのがあったよなとちょっと自分のブログを検索してみたら、怒り狂っていたのは気候政策を専門に扱う別の諮問委員会だった。

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昨日はまた環境大臣がへんな発表をしていたのだけれど、そちらについてはまた別の記事で。

異常気象は雇用主のコストを増大させる(Arbetsliv)

© Hiromi Blomberg 2023