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私たちはなぜヘラジカスローテレビにひきつけられるのか

今朝取り上げるニュースとしては、「連続握手時間新記録!25時間!」もいいなと思ったのだけれど、いや、それよりも皆さまにお伝えしないといけないことが。

昨日から、今年のSVTの「ヘラジカスローテレビ」が始まっている。(下記のリンクから全世界で視聴可能)

www.svtplay.se

これから2週間にわたりノンストップで、春先のヘラジカの川渡りや、その他の大自然の中の動物の様子を伝えるこの番組も今年で5年目。今年は、餌場をつくり、そこに屍肉を食べに来る肉食動物を撮影するカメラの設置や、360カメラで視聴者が自分のみたい角度を選ぶことができる新企画、またネット放送のSVT Playだけではなく、地上波でも放送枠を拡大、などのニュースがある。去年からコメント欄ができたが、今年からは現場のスタッフや他の視聴者とのやりとりがもっとインタラクティブになった。

屍肉カメラの前には、さっそく本番の放送前からクマがちょっとご飯を食べにきたり、昨日は美しいキツネ(!!!本当に優雅)が何度もその場所を訪れていた。毎日の動画は24時間分あるが、最近はどこで動物がでてくるかのマークもあるので、急ぐ人はそちらだけ確認することもできる。

しかし! 野生動物生態学のヨーラン・エリクソン教授は「ヘラジカを見ることだけが目的ではなく、カメラに映る平和な静寂が私たちを幸福にする」と、ヘラジカスローテレビの人気を分析する。ヘラジカはたまにしか画面にあらわれないが、一面氷、雪の世界の中で、他の野生動物や鳥たちを時折カメラがとらえる。しかし全体としてほとんどの時間はなにも起きないのが人気の秘密だろうと言う。時々、鳥の声や風の音が聞こえるくらいでスローテレビには音楽すらない。

教授は、ヘラジカスローテレビが多くの高齢者施設や学校でバックグラウンドビデオとして使われている例を紹介する。いっそのこと、この期間中、スウェーデン中のすべての屋外やバスなどの交通広告用のスクリーンで、このヘラジカスローテレビを流せば、みんなのマインドフルネスが高まること間違いなしなのに。

ヘラジカスローテレビ・今年の新企画はこれ(SVT)

クマがヘラジカスローテレビのカメラの前に登場(SVT)

ウメオの専門家が説明する、私たちがテレビでヘラジカを追いかける理由(SVT)

© Hiromi Blomberg 2023